この記事の結論
愛知の中小企業がWeb集客やシステム、AIの活用を外部に任せる前には、「サイトを、今の取引先のためだけでなく、新しい取引先にも見つけてもらえる形にするか」と「自社のある地域で、どの仕事から仕組みにするか」の2点を決めておくと、依頼先との話がぶれにくくなります。
愛知県の製造品出荷額等は、令和3年の経済センサスで1977年から44年連続の全国1位で、その半分あまりを輸送機械が占めています。
同じ調査の表から私たちが計算すると、従業者4人以上の製造業の事業所のうち、29人以下の事業所が約7割でした。
また、県の市町村民経済計算では、第3次産業が中心の尾張、製造業が集まる西三河、製造業に加えて施設園芸農業などが盛んな東三河と、3つの地域で産業の形が違います。
依頼先が決まる前でも、国が設置した無料の経営相談所である愛知県よろず支援拠点、あいち産業振興機構のデジタル技術の相談窓口や専門家派遣、名古屋商工会議所などが使えます。
bundlyzeでは、大阪市北区のグラングリーン大阪を拠点に、大阪・兵庫を中心とした関西の会社からのご相談に対応していて、打ち合わせはWeb会議でも対面でもできます。
全国からオンラインでもご相談いただけます。
愛知の会社は、頼む前に「誰に見つけてもらうか」と「自社の地域の事情」を決めておく
ホームページや業務システムの相談は、「問い合わせを増やしたい」「手作業を減らしたい」から始まるのがふつうです。
愛知の会社の場合は、その手前で、県が公表している統計を2つ見ておくことをおすすめします。
サイトに誰に向けて何を書くか、どの仕組みから手をつけるかが、そこから決まってくるからです。
県の資料を読んで、私たちが依頼の前に押さえておきたいと考えた愛知の事情は、次の3つです。
| 公的な資料から分かること | 出典 | 頼む前に決めておくこと |
|---|---|---|
| 製造品出荷額等は、1977年から44年連続で全国1位。輸送機械が53.1%を占める | 愛知県「令和3年経済センサス 製造業の詳細版」 | 今の取引先のほかに、新しい取引先にも見つけてもらいたいか。そのために、サイトに何を書くか |
| 従業者4人以上の製造業の事業所1万4,593のうち、29人以下が1万607(私たちの計算で約72.7%) | 同じ調査の統計表(従業者の規模別) | 少ない人数で回す前提で、見積もりや受発注、社内の管理のどこを仕組みにするか |
| 尾張は第3次産業が71.5%、西三河は第2次産業が70.0%、東三河は第2次産業が57.4%で第1次産業も1.7%と高い | 愛知県「2023年度 あいちの市町村民経済計算」 | 自社の地域で、お客様や取引先が何を調べて自社にたどり着くか |
ものづくりの県。小さな事業所が多く、取引の相手は県の外にも広がる
愛知県統計課がまとめた令和3年経済センサスの製造業の結果では、県内の製造業(従業者4人以上の事業所)は1万4,593事業所、従業者は80万7,694人、製造品出荷額等は43兆9,880億円でした。
製造品出荷額等は1977年以来44年連続で全国第1位で、業種別では輸送機械が53.1%と最も大きく、次いで電気機械、鉄鋼、生産用機械、食料品の順です。
市町村では、豊田市、名古屋市、安城市、岡崎市、刈谷市の順に大きくなっています(愛知県:令和3年の経済センサス(製造業の詳細版)、2026年10月3日確認)。
同じ調査の統計表(従業者規模別の結果表)から、私たちが計算すると次のようになります(愛知県:従業者の規模別の結果表(Excel)、2026年10月3日確認)。
- 従業者29人以下の事業所は1万607で、全体の約72.7%
- 従業者1,000人以上の事業所は93(全体の約0.6%)で、製造品出荷額等の約56.2%を占める
- 豊田市だけで、県の製造品出荷額等の約33.4%。上位5市を合わせると約52.4%
ここから私たちが考えるのは、愛知のものづくりの会社の多くは、大きな会社を中心とした取引の中で、少ない人数で仕事を回している、ということです。
決まった取引先とのやりとりが中心だと、ホームページは「会社があることが分かれば十分」とされがちです。
ただ、新しい取引先を探す担当者は、まず検索やAIの答えで、どんな加工ができて、どんな設備があり、どのくらいの量から受けられるかを確かめます。
そこで分からなければ、県外の会社も含めた候補の中で、比べる前に外れてしまいます。
| 決めること | 新しい取引先にも見つけてもらいたいとき(私たちの考え) | 今の取引先とのやりとりが中心のとき(私たちの考え) |
|---|---|---|
| サイトに書くこと | 加工や製品の種類、設備、対応できる材料や量、品質の管理のしかたを、具体的な仕事の例で書く | 会社の所在地、連絡先、担当の窓口を、間違いなく書く |
| 問い合わせの受け方 | 図面や仕様を添えて相談できるフォームと、返事までの目安 | 電話とメールの窓口を分かりやすく |
| 社内の仕組み | 見積もりの依頼を、誰が受けて、いつまでに返したかを追えるようにする | 受発注や納期の管理を、紙やExcelの手作業から少しずつ減らす |
ものづくりの会社がWebで何を伝えるかは、東大阪の町工場が、Webで新しい取引先に見つけてもらうために最初に整えることにも書いています。
AIの答えの中で、どんな会社で、どこに対応するかを正しく伝える書き方は、会社概要を、AIに正しく伝わる形に書く手順にまとめています。
同じ愛知でも、尾張、西三河、東三河で産業の形が違う
愛知県統計課の「2023年度 あいちの市町村民経済計算」は、県内を尾張、西三河、東三河の3つの地域に分けています。
2023年度の市町村内総生産は、尾張が27兆5,998億円(構成比61.1%)、西三河が13兆1,833億円(同29.2%)、東三河が4兆3,929億円(同9.7%)でした。
尾張のうち、名古屋市だけで全体の33.3%を占めます。
人口1人あたりの市町村民所得は、西三河が511万6千円で最も高くなっています(愛知県:愛知県の市町村民経済計算(2023年度)、愛知県:2023年度あいちの市町村民経済計算(概要編、PDF)、2026年10月3日確認)。
なお、名古屋市の数字は同市が独自に推計したもので、全市町村の合計は県民経済計算の数字と少し違う、と注記されています。
同じ報告書では、地域ごとの産業の形を次のように説明しています。
右の列は、そこから私たちが考える、Webとシステムで先に考えたいことです。
| 地域(主な市町) | 報告書で説明されている産業の形 | Webとシステムで先に考えたいこと(私たちの考え) |
|---|---|---|
| 尾張(名古屋市、一宮市、春日井市、小牧市、半田市など) | 卸売・小売業や不動産業などの第3次産業が71.5%を占める | 同じ地域で比べられる相手が多い前提で、検索や地図、AIの答えで比べられたときの材料を、具体的に書く。問い合わせや予約の受け方と、返事までの目安 |
| 西三河(豊田市、岡崎市、刈谷市、安城市、西尾市など) | 第2次産業が70.0%で、特に輸送用機械関連の製造業が集まり、県内で第2次産業の割合が最も高い | 取引先向けに、何が作れて、どんな加工ができる会社かを確かめられるページ。見積もりや図面のやりとり、工程や納期の管理を、紙と電話だけに頼らない仕組み |
| 東三河(豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市、新城市など) | 地域の中では第2次産業が57.4%と最も大きい。施設園芸農業などが盛んで、第1次産業が1.7%と他の地域より高い | 製造業の会社は西三河と同じく取引先向けの説明を。農業や食品の会社が県外に売るなら、通販の受付と発送の流れ、季節で変わる情報を誰が直すか |
もちろん、同じ地域の中でも会社ごとに事情は違います。
ただ、「愛知の会社だから」とひとまとめにせず、自社の地域の数字を一度見ておくと、依頼先に伝えることがはっきりします。
手作業が限界かどうかを見分ける目安はExcelでの業務管理が限界になったときの、7つのサインに、出来合いのサービスで済ませるか作るかの判断はSaaSか、オーダーメイドか。
業務システム選びで迷ったときの判断基準に書いています。
愛知で、依頼先を決める前に使える相談先
愛知県内の公的な窓口を、困っていることの種類ごとに並べました。
| こんなときに | 窓口 | 公式ページで確かめた内容(2026年10月3日) |
|---|---|---|
| Web集客やIT、AIを、何から始めるか相談したい | 愛知県よろず支援拠点 | 国が全国に設置している無料の経営相談所。名古屋市中村区名駅のウインクあいちにあり、相談は事前予約制で1回60分。原則は来訪しての対面相談で、遠くの相談者のためにWeb会議や電話での相談も行っている。ホームページやチラシなどの制作代行は行っていないと書かれている。あいち産業振興機構が運営する |
| 東三河から相談したい | 愛知県よろず支援拠点(豊橋サテライト) | 豊橋駅前に常設のサテライトがあり、東三河と周辺の地域の会社に利用を呼びかけている |
| 現場の作業を、省力化で楽にしたい | 愛知県よろず支援拠点:生産性向上支援センター | 令和8年4月に、よろず支援拠点の中に開設。人手不足の中でも、省力化などで生産性を上げられるよう、伴走して支援するとしている |
| 生産管理や勤怠、会計などのデジタル化を相談したい | あいち産業振興機構:デジタル技術の相談窓口 | あいち産業振興機構の窓口で、ITコーディネーターや中小企業診断士などの経営とITの専門家が対応する。無料で何回でも相談でき、出張やWeb会議での相談もできる。長く支援が必要な場合は伴走支援も行う。相談の例に、生産管理システムの更新や情報セキュリティを挙げている |
| ITや業務システムの専門家に、会社に来てもらいたい | あいち産業振興機構:経営と技術の専門家派遣 | 利用のテーマに、社内のIT化、業務システムの改善、マーケティング戦略を挙げている。年度内に必要に応じて最大10回まで。専門家への謝金と旅費の一部は自己負担。ホームページの作成など、実務の代行は対象にならないと書かれている |
| 県内の会社のデジタル化の事例や、セミナーの情報を集めたい | あいち産業振興機構:産業DXの推進コンソーシアム | 産学金行政が連携して、県内企業のデジタル化・DXを支援するしくみ。事務局はあいち産業振興機構で、県内企業の事例やセミナーの情報を載せている |
| 名古屋市内で、経営の専門家に相談したい | 名古屋商工会議所:経営・創業・事業承継の相談 | 弁護士、中小企業診断士、社会保険労務士、税理士などの専門家が、無料で相談に応じる専門相談がある |
| 西尾市内で、WebやSNSの集客を相談したい | 西尾市:WEB・SNSを活用したマーケティング経営相談 | 愛知県よろず支援拠点のコーディネーターを市に招いた無料の相談窓口。月に1回、事前申込制で、相談内容の例にWebサイトのリニューアルを挙げている |
市の補助金には、申請の前に窓口での相談が要るものもあります。
たとえば名古屋市の、中小企業のデジタル活用を支える補助金は、申請するには名古屋市の新事業支援センターか名古屋商工会議所で、デジタル技術の活用について相談し、支援内容の確認書を受け取る必要があると案内されています。
確かめた時点(2026年10月3日)では、今年度の申請の受付期間は終わっていました(名古屋商工会議所:名古屋市のデジタル活用の補助金、名古屋産業振興公社:デジタル活用の補助金、2026年10月3日確認)。
制度を使うつもりなら、依頼先と契約を結ぶ前に、窓口の公式ページで、何が対象になるかを含めて最新の条件を確かめておきます。
窓口や依頼先と話す日までに、「この1年の問い合わせや注文が、今の取引先と新しい相手のどちらから、県内と県外のどこから来たか」と「社内で、電話や紙、Excelで回していて手間がかかっている作業はどれか」をメモに書いておきます。
たとえば「新しい取引先からの問い合わせは年に数件で、ほとんどが紹介」「見積もりの依頼をFAXと電話で受けて、手書きで控えている」といった書き方で十分です。
同じメモは、愛知県よろず支援拠点や、あいち産業振興機構のデジタル技術の相談窓口での相談にも、依頼先との最初の打ち合わせにも使えます。
依頼先には、誰に見つけてもらいたいかと、自社の地域の事情を最初に伝える
依頼先を選ぶときの物差しは、大阪で、システム開発やホームページ制作を頼むときの選び方に書いたものが、愛知の会社でもそのまま使えます。
頼む前に書き出しておきたいことは、要件定義とは。
システム開発を頼む前に、発注する側が準備することにまとめています。
そのうえで、候補の会社との最初の打ち合わせでは、この記事の事情に沿って、次のことを話してみてください。
- 今の取引先のほかに、新しい取引先やお客様にも見つけてもらいたいか。その相手は、県内か、県外か
- 自社のある地域で、お客様や取引先が何を調べて自社にたどり着くか。Webと業務の仕組みのどちらから整えたいか
- 少ない人数で回す前提で、見積もりや受発注、社内の管理のどこを先に仕組みにしたいか。今回の範囲はどこまでか
サイトの見た目より先に、誰に見つけてもらいたいかや、地域の事情、頼む範囲の分け方を聞いてくる相手なら、愛知の会社の事情を踏まえて考えてくれていると判断できます。
bundlyzeでは、大阪市北区のグラングリーン大阪を拠点に、大阪・兵庫を中心とした関西の会社からのご相談に対応していて、打ち合わせはWeb会議でも対面でもできます。
全国からオンラインでもご相談いただけます。
この記事を書いている技術責任者の津嘉山は、業務システム開発とAWSを専門とするエンジニアです。
SEO・LLMOの対策からホームページ制作、業務システムの開発、AIの活用までを一社で対応しているので、新しい取引先に見つけてもらうためのサイトと、見積もりや受発注のやりとりを減らす仕組みを、分けずに一緒に考えられます。
愛知の会社とはWeb会議を中心に進め、対面での打ち合わせは日程を相談して決めます。
顔を合わせて相談したいことは、県内の窓口とあわせてお使いください。
よくある質問
愛知の会社が、大阪の会社にホームページやシステムを頼んでも大丈夫ですか?
愛知県よろず支援拠点に、ホームページを作ってもらえますか?
生産管理や受発注のシステムを入れるかどうか、どこに相談すればよいですか?
誰に見つけてもらうかと、地域の事情が決まれば、頼む中身が決まる
愛知の会社が外部に頼む前にできることは、思ったより多くあります。
ものづくりの県で、小さな事業所が多いという前提で、今の取引先のほかに新しい相手にも見つけてもらいたいかを決め、サイトに何を書くかを決めておく。
尾張、西三河、東三河で産業の形が違うという前提で、自社の地域の数字を見て、Webと業務の仕組みのどちらから整えるかを決めておく。
この2つがそろうと、依頼先に頼む範囲と、社内に残す仕事がはっきりします。
途中で迷ったら、愛知県よろず支援拠点や、あいち産業振興機構のデジタル技術の相談窓口、名古屋商工会議所などに持ち込めます。
最初の一歩は、この1年の問い合わせや注文を、今の取引先と新しい相手、県内と県外に分けて数えてみることです。
ご相談
Webからの集客について、いまの状況をお聞かせください。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。