この記事の結論
業務システムの見積もりは、金額だけを並べても比べられません。差が出るのは、含まれている作業の範囲、見積もりの前提、公開後の保守、途中で変更したときの費用の決まり方です。見積もりを受け取ったら、まずこの4点を同じ表に並べ、条件をそろえてから金額を比べます。
金額の差は、作業の範囲の差
同じ内容を伝えたつもりでも、開発会社によって見積もりの金額が大きく違うことがあります。安い会社が得、高い会社が損、とは限りません。
多くの場合、差の正体は「どこまでの作業が含まれているか」です。ある会社は業務の聞き取りからテスト、公開後の保守まで含めて見積もり、別の会社は画面を作る作業だけを見積もっている。これでは、金額を比べても意味がありません。
見積もりで確かめたい4つのこと
1. 含まれている作業の範囲
見積もりの内訳に、次の作業が含まれているかを確かめます。
| 作業 | 内容 | 抜けているとどうなるか |
|---|---|---|
| 業務の聞き取りと要件の整理 | 何を作るかを決める | 作り始めてから「これじゃない」が起きる |
| 設計 | 画面、データ、動きの設計 | 途中で作り直しが増える |
| 開発 | 実際に作る | ― |
| テスト | 動作の確認 | 公開後に不具合が見つかる |
| データの移し替え | 今のExcelなどから移す | 自社で手作業になる |
| 使い方の説明 | 社内への説明、マニュアル | 使われないまま終わる |
| 公開の作業 | サーバーの準備、公開 | 別の見積もりが出てくる |
表のどれが含まれ、どれが含まれていないかを、会社ごとに確かめます。
テストは、「含まれている」と書かれていても中身が会社ごとに違います。何を確かめるのかまで聞くと、差が見えます。
| 聞くこと | 例 |
|---|---|
| どの画面で確かめるか | パソコンだけか、スマホでも確かめるか |
| 入力から完了まで通すか | フォームやボタンを、送信が終わるまで実際に動かすか |
| いつ確かめるか | 公開の前だけか、直すたびに毎回か |
| 人の目か、自動か | 同じ点検を、決まった手順で繰り返せるか |
私たちは自社のサイトでも、本番に出す前に、手元で表示とフォームの動き・改行を自動で点検してから公開しています。業務システムでも、直すたびに同じ点検を通せるかどうかで、公開後の不具合の出方が変わります。
2. 見積もりの前提
見積もりには、必ず前提があります。「画面は10枚程度」「利用者は20人まで」「既存システムとの連携はなし」といった前提が変われば、金額も変わります。前提が書かれていない見積もりは、後から金額が変わりやすいので、書いてもらうようにします。
3. 公開後の保守
システムは、作った後の方が長く付き合います。公開後に何が含まれるかを確かめます。
- 不具合が見つかったときの修正
- OSやブラウザの更新に合わせた対応
- サーバーの管理と、データのバックアップ
- 使い方の問い合わせへの対応
保守が別の契約になっている場合は、その内容と、契約しなかったときにどうなるかも聞いておきます。
4. 途中で変更したときの費用の決まり方
開発の途中で「やっぱりこうしたい」が出てくるのは、よくあることです。そのとき、費用がどう決まるかを事前に確かめます。
- 変更の大きさを、誰が、どう判断するのか
- 小さな変更は、見積もりの範囲に含まれるのか
- 追加の費用は、作業時間で決まるのか、変更ごとに見積もるのか
ここが曖昧なままだと、最終的な金額が見積もりから大きく離れることがあります。
IPA(情報処理推進機構)のモデル契約書(第二版)も、この問題を前提にしています。工程ごとに契約を分ける「多段階契約」と、要件がはっきりした段階で見積もり直す「再見積り」の進め方をとり、仕様の変更は「変更管理手続」で、費用と納期を話し合って決める形を示しています(IPA:情報システム・モデル取引・契約書(第二版)、2026-10-02 確認)。最初の見積もりが、どの工程までの確かな金額なのかを聞いておくと、比べやすくなります。
見積もりを比べる手順
- 受け取った見積もりを、上の4点で同じ表に並べる
- 含まれていない作業があれば、その分を追加で見積もってもらう
- 前提をそろえる(画面の数、利用者の数、連携など)
- 条件がそろったところで、金額と、保守を含めた数年分の総額を比べる
金額だけでなく、見積もりを出すまでに、どれだけ業務の話を聞いてくれたかも大事な判断材料です。業務を聞かずに出された見積もりは、前提がずれている可能性があります。

見積もりを依頼する前に、用意しておくこと
見積もりの精度は、依頼する側が渡す情報で大きく変わります。
- 対象の業務の流れ(誰が、何を受けて、何をして、誰に渡すか)
- 今の管理方法(Excel、紙、既存のシステム)と、困っていること
- 使う人の人数と役割
- つなぎたい既存のシステム
- いつまでに使い始めたいか
完璧でなくて構いません。同じ資料を各社に渡すことで、見積もりの前提がそろい、比べやすくなります(依頼先の選び方は大阪で、システム開発やホームページ制作を頼むときの選び方にもまとめています)。
bundlyzeは、業務システムを受託で開発する立場ですが、見積もりを比べるときは、金額より先にこの4点をそろえることをおすすめしています。条件がそろわないまま安さで選ぶと、後から追加の費用が出やすいためです。私たちの場合に費用と期間が何で決まるか、相談の前に何を準備すればよいかは、システム開発のサービスにまとめています。
よくある質問
相見積もりは、何社くらいから取ればいいですか?
見積もりが一番安い会社を選ぶのは危ないですか?
見積もりの段階で、費用はかかりますか?
比べるのは、金額ではなく中身
業務システムの見積もりは、金額の大小より、何が含まれているかで比べます。条件をそろえてから比べれば、どの会社が自社に合っているかが、ずっと見えやすくなります。
見積もりを受け取ったら、まずは4点を1枚の表にまとめてみてください。
ご相談
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「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。


