この記事の結論
最初にやることは、移すことではなく、何が誰の名義になっているかを一覧にすることです。ドメイン、DNS、サーバー、メール、計測や広告のアカウントを洗い出し、自社が「持ち主」になっていないものから順に移します。ドメインを移すときは、メールとサイトを止めないよう、今の設定を控えてから作業します。
名義が制作会社のままだと、何が困るのか
ホームページを制作会社に任せると、ドメインの登録、サーバーの契約、計測のアカウントの作成まで、まとめて代行してもらうことがよくあります。そのとき、名義や権限が制作会社のままになっていることがあります。
普段は困りません。困るのは、次のようなときです。
- 取引をやめたい、ほかの会社に任せたいとき
- 担当者が退職した、会社と連絡が取れなくなったとき
- ドメインの更新の連絡が自社に届かず、期限が切れそうなとき
ドメインの期限が切れると、サイトもメールも止まります。自社の名前で使っているものは、自社が持ち主になっておくのが基本です。
まず、何が誰の名義かを一覧にする
移す前に、次の表を埋めます。分からない欄があっても構いません。分からないこと自体が、確かめるべきことです。
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| ドメイン | 登録者(名義)は誰か、どこの事業者で管理しているか、更新日はいつか |
| DNS | どこで設定しているか、誰がログインできるか |
| サーバー | 契約者は誰か、支払いは誰か、ログインできるか |
| メール | どのサービスで動いているか(サーバー付属か、Google Workspace などか) |
| 計測・広告 | GA4、Google タグ マネージャー、Search Console、広告のアカウントの持ち主は誰か |
| 地図・SNS | Googleビジネスプロフィール、SNSのアカウントの持ち主は誰か |
| サイトのデータ | ページの元データ(WordPress のデータなど)を受け取れるか |
移す順番:止まらないものから
一度に全部を移そうとすると、どこで止まったのか分からなくなります。影響の小さいものから順に進めます。
- 計測・広告・地図のアカウント。 自社のアカウントに一番強い権限(GA4の「管理者」、Search Console の「オーナー」、Googleビジネスプロフィールの「オーナー」など)を付けてもらいます。サイトは止まりません
- ページの元データ。 今のサイトの元データを受け取り、自社で保管します
- サーバー。 契約を自社の名義にするか、自社で契約したサーバーへ移します
- ドメインとDNS。 最後に、一番慎重に進めます
権限を付けてもらうときは、担当者個人のアカウントではなく、会社として管理するアカウントに付けます。個人のアカウントにだけ権限があると、その人が辞めたときに同じことが起きます。
ドメインを移すときの流れ
「.co.jp」「.jp」などのJPドメイン名は、管理している事業者(指定事業者)を変える手続きで移します。大まかには、今の事業者から認証コード(AuthCode)を受け取り、移し先の事業者で申請する流れです。JPRSの案内では、認証コードの有効期限は、作られた日の翌日から数えて35日後までです。手続きには数日かかることがあります(JPRS:JPドメイン名の指定事業者変更について、2026-10-01 確認)。
- 登録者(名義)を確かめる。 登録者が自社になっていなければ、先に名義を直す必要があります
- ロックを確かめる。 移すのを防ぐロック(指定事業者変更ロック、レジストリロック)がかかっている場合は、先に外してもらいます
- 更新日を確かめる。 期限の直前は避け、余裕のある時期に進めます
「.com」など、ほかの種類のドメインでも、認証コードを使って移す流れは似ています。細かな手続きは、今の事業者と移し先の事業者に確かめます。
メールとサイトを止めないために
ドメインを移すときに一番怖いのは、メールが届かなくなることです。
- 今のDNSの設定を、すべて控える。 サイトの向き先(Aレコードなど)、メールの受け取り先(MXレコード)、送信の認証(SPFなど)を、画面の写しでも構わないので残します
- 移し先で、同じ設定を先に作っておく。 ドメインの管理を移しても、DNSの中身が同じなら、サイトもメールもそのまま動きます
- 移した後に、メールの送受信とサイトの表示を確かめる。 社外のアドレスとのあいだで、送る・受け取るの両方を試します
私たちも、自社のドメインでDNSを変えたときは、変更前の値を控えておき、何かあればすぐ元に戻せるようにしてから作業しました(そのときの考え方はSSL証明書の期限切れを防ぐ。自動で更新される仕組みへの移し方にまとめています)。

制作会社への頼み方
移すことを伝えるのは気まずいものですが、名義を自社にしておくこと自体は、ごく普通のお願いです。
- 「今後の管理のために、名義と権限を自社にそろえたい」と、理由を添えて伝える
- 何を、いつまでに、どの形で受け取りたいかを、上の一覧の形で渡す
- 取引を続ける場合も、名義は自社、作業の権限を制作会社に付ける、という形にできます
連絡が取れない場合は、ドメインを管理している事業者やサーバーの会社に、名義の確認の方法を問い合わせます。登録者が自社であれば、手続きを進められることがあります。
SEOやLLMOの対策を外に頼むときも、計測のアカウントの名義は契約の前に確かめておきます。確かめる質問は、SEO・LLMO対策を頼む会社の選び方にまとめています。
よくある質問
ドメインを移すと、ホームページは止まりますか?
制作会社と連絡が取れません。ドメインは取り戻せますか?
取引を続けながら、名義だけ自社にできますか?
一覧を作ることから始める
名義を移す作業は、急ぐと事故が起きます。まずは上の表を埋め、自社が持ち主になっていないものを見つけるところから始めてみてください。
サイトの作り直しを考えているなら、名義の整理はその前にやっておくと進めやすくなります(判断の仕方はホームページは作り直すべきか、直せば足りるかにまとめています)。
ご相談
ホームページやLPについて、いまの状況をお聞かせください。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。



