この記事の結論
高知の中小企業がホームページや業務システムを外部に頼む前には、「県の外の、誰に、何を届けるか」と「高知市から離れた店や現場、取引先とのやりとりを、どうつなぐか」の2点を決めておくと、依頼先との話がぶれにくくなります。
高知県の産業振興計画は、県内の市場が縮み続ける前提で、県の外や海外に高知県産のモノを売る「地産外商」を戦略の柱にしていて、関西圏との経済連携の強化も掲げています。
令和3年の経済センサスでは、1事業所あたりの従業者数は8.3人で全国47位、事業所の47.4%が高知市にあり、半分あまりは高知市の外にあります。
県の計画によると、小規模事業者の約48%はデジタル化に取り組んでいません。
依頼先が決まる前でも、何度でも無料で相談できる高知県よろず支援拠点、高知県産業振興センターのデジタル化の相談、商工会や商工会議所が使えます。
bundlyzeでは、大阪市北区のグラングリーン大阪を拠点に、大阪・兵庫を中心とした関西の会社からのご相談に対応していて、打ち合わせはWeb会議でも対面でもできます。
全国からオンラインでもご相談いただけます。
高知の会社は、頼む前に「県の外の誰に届けるか」と「離れた場所をどうつなぐか」を決めておく
ホームページや業務システムの相談は、「問い合わせを増やしたい」「手作業を減らしたい」から始まるのがふつうです。
高知の会社の場合は、その手前で、県がまとめている計画や統計を一度見ておくことをおすすめします。
サイトを誰に向けて作るか、どの仕事から仕組みにするかが、そこから決まってくるからです。
県の資料を読んで、私たちが依頼の前に押さえておきたいと考えた高知の事情は、次の3つです。
| 公的な資料から分かること | 出典 | 頼む前に決めておくこと |
|---|---|---|
| 県内の市場が縮み続ける前提で、県の外や海外に売る「地産外商」を戦略の柱にしている。関西圏との経済連携の強化も掲げている | 高知県「第5期高知県産業振興計画ver.3」 | 県の外の誰に、何を届けたいか。その相手が、会う前にサイトで確かめたいことは何か |
| 県土の約9割が中山間地域。事業所の47.4%は高知市にあり、1事業所あたりの従業者数は8.3人で全国47位 | 高知県「令和3年経済センサス-活動調査(確報)高知県分」 | 離れた店や現場、取引先とのやりとりのうち、どれを電話や移動から仕組みに移すか |
| 小規模事業者の約48%がデジタル化に取り組んでいない。「何を入れればよいか分からない、分かる人がいない」という会社も多い | 高知県「第5期高知県産業振興計画ver.3(商工業分野)」 | 今の自社がどの段階にいて、外に何を頼み、何を社内に残すか |
県の計画は、県の外に売ることを柱にしている
高知県の「第5期高知県産業振興計画ver.3」の総論では、県の人口は全国より15年早く、平成2年から自然減に入り、高齢化も全国より10年早く進んでいると書かれています。
今後も当分の間は人口が減り、県内の市場は小さくなり続ける見込みであるため、計画は県内の市場に頼るのではなく、活力のある県外や海外の市場に高知県産のモノを売る「地産外商」を戦略の柱にしています。
同じ総論では、東京や大阪といった大消費地から遠いことを、地理的なハンディキャップとして挙げています(高知県:第5期高知県産業振興計画ver.3、総論(PDF)、2026年10月3日確認)。
売り先として、県が特に力を入れているのが関西です。
同じ計画の「関西圏との経済連携の強化」では、近い場所にあり歴史的にもつながりの深い関西圏で、卸売の事業者や量販店、飲食店などのパートナーとの連携を強め、外商をさらに広げるとしています。
戦略の期間は令和6年度から令和9年度までの4年間です(関西圏との経済連携の強化(PDF)、2026年10月3日確認)。
ここから私たちが考えるのは、高知の会社のホームページは、県内のお客様だけでなく、まだ会ったことのない県の外の相手に読まれる場所になる、ということです。
県の外の仕入れの担当者や、遠くに住むお客様は、気軽に会社や店まで来られません。
会う前に、サイトと、検索やAIの答えで候補を比べます。
そのときに確かめたいことは、サイトに書く中身と、社内の仕組みの両方に関わります(私たちの考え)。
| 県の外の相手が、会う前に確かめたいこと | サイトに書いておくこと | 社内で用意しておく仕組み |
|---|---|---|
| 何を、どのくらいの量、いつ頃から出せるか | 扱う品目や加工の範囲、出荷できる時期と量の目安 | 在庫や出荷の予定を、社内の誰でも同じ画面で見られる管理 |
| どうやって注文し、どう届くか | 注文の受け方、送り方、県外への発送にかかる日数 | 電話やFAX、メールで来た注文を、一か所にまとめる受付 |
| どんな会社が、どこで作っているか | 所在地、作っている場所、会社の歴史や作り方 | 会社概要や商品の情報を、サイトと地図、通販で同じ書き方にそろえる手順 |
| 問い合わせに、どのくらいで返事が来るか | 問い合わせの受け方と、返事までの目安 | 担当者が現場に出ている日でも、問い合わせを見落とさない連絡の流れ |
会社の説明が、検索やAIの答えで正しく伝わる書き方は会社概要を、AIに正しく伝わる形に書く手順に、ものづくりの会社が新しい取引先に見つけてもらうための整え方は東大阪の町工場が、Webで新しい取引先に見つけてもらうために最初に整えることに書いています。
県土の約9割が中山間地域。事業所の約半分は高知市の外にある
同じ総論によると、高知県は県土の約9割を中山間地域が占め、そこに県民の約4割が暮らしています。
高知県統計分析課がまとめた令和3年経済センサス-活動調査の結果では、県内の事業所は3万3,064事業所(事業内容などが不詳のものを除く)、従業者は27万5,477人でした。
1事業所あたりの従業者数は8.3人で、全国の11.2人を下回り、全国47位です。
従業者の規模別では、1〜4人の事業所が60.6%で、全国の56.2%より高くなっています(高知県:令和3年経済センサス-活動調査、確報の概要(PDF)、2026年10月3日確認)。
市町村別に見ると、高知市が1万5,661事業所で県全体の47.4%、従業者では52.8%を占め、次いで四万十市(事業所の6.2%)、南国市(同6.0%)と続きます。
前回の平成28年の調査と比べると、29の市町村で事業所の数が減り、そのうち10の市町では10%を超えて減っていました。
同じ概要の数字から私たちが計算すると、従業者10人未満の事業所は全体の約79.4%、高知市の外にある事業所は約52.6%です。
ここから私たちが考えるのは、高知の会社の多くは、少ない人数で、離れた場所とのやりとりを抱えながら仕事を回している、ということです。
本社と現場、店と倉庫、県内各地の取引先との間を、電話と車での移動でつないでいる会社も多いはずです。
そうした会社がシステムを頼むときは、まず「移動しないと分からないこと」を減らすところから考えるのがよいと、私たちは考えています。
| よくある場面 | まず考えたいこと(私たちの考え) |
|---|---|
| 現場や店の様子を、電話で聞くか、車で見に行かないと分からない | 作業の日報や売上、在庫を、現場からスマホで入れて、本社で同じ画面を見られるようにする |
| 県内の離れた取引先と、見積もりや注文のたびに電話とFAXをやりとりしている | 取引先が自分で注文や問い合わせを入れられる受付を作るか、まずは受けた内容を一か所にまとめる |
| 打ち合わせのたびに、片道1時間以上かけて会いに行っている | 資料を共有しながら話せるWeb会議を基本にし、現地で確かめる必要があることだけ訪ねる |
| 書類や見積もりが、担当者の机とパソコンの中にしかない | 社内の誰でも、外出先からでも見られる場所に置き、最新の版がどれかを分かるようにする |
手作業が限界かどうかを見分ける目安はExcelでの業務管理が限界になったときの、7つのサインに、出来合いのサービスで済ませるか作るかの判断はSaaSか、オーダーメイドか。
業務システム選びで迷ったときの判断基準にまとめています。
デジタル化は「何を入れればよいか分からない」から始まる
県の計画の商工業分野では、県内の事業者のデジタル化の現状として、小規模事業者でも少しずつ取り組む事業者が増えているものの、約48%がデジタル化の取り組みを実施していない(令和7年の中小企業・小規模企業版の県政世論調査)と書かれています。
課題としては、「どのようなツールを導入すればよいか分からない、分かる人材がいない」という企業も多く、まずは身近な業務や、効果を実感しやすいテーマでの支援が必要だとしています(商工業分野(PDF)、2026年10月3日確認)。
同じ資料では、県内のデジタル化の支援を3つの段階に分けています。
最初の一歩の段階は、県内の事業者の9割を占める小規模事業者を対象に、商工会や商工会議所の経営指導員が経営指導の中で啓発し、そこから引き継がれた相談によろず支援拠点の専門家が対応します。
次の段階では、産業振興センターが、続けてデジタル化に取り組むための中期的な「デジタル化計画」づくりと実行を支え、県内のIT企業との引き合わせも行います。
その先は、部門ごとの効率化にとどまらず、会社全体の最適化(DX)を目指す段階です。
商工会と商工会議所が受けたデジタル化の指導や相談は、令和4年の479件から、令和7年には932件に増えています。
ここから私たちが考えるのは、依頼先に頼む中身も、自社が今どの段階にいるかで変わる、ということです。
| 自社の今の段階 | 先に相談したい窓口 | 依頼先に頼むこと(私たちの考え) |
|---|---|---|
| 何から手をつければよいか分からない | 地元の商工会・商工会議所、高知県よろず支援拠点 | まだ大きく作らない。今の仕事の流れを一緒に書き出し、手間の大きい作業を1つ選ぶ |
| 減らしたい作業は決まっていて、道具を選びたい | 産業振興センターのデジタル化の相談 | 出来合いのサービスで足りるかを比べ、足りない部分だけを作るか、つなぐ |
| サイトと業務の仕組みを、会社全体で見直したい | 産業振興センターの伴走支援 | 県の外への発信と、受注から出荷までの社内の流れを、分けずに設計する |
高知で、依頼先を決める前に使える相談先
高知県内の公的な窓口を、困っていることの種類ごとに並べました。
どれも、依頼先を決める前から使えます。
| こんなときに | 窓口 | 公式ページで確かめた内容(2026年10月3日) |
|---|---|---|
| ホームページやネットでの販売、ITの活用を、何から始めるか相談したい | 高知県よろず支援拠点 | 国が全国に設置する無料の経営相談所で、高知県では高知県産業振興センターの中に置かれている。何度でも無料で相談でき、主な相談分野に「WEB/EC」「SNS」「IT・生産性向上」がある。会社の現場に伺う訪問相談や、電話・メールでの相談にも応えている |
| 高知市まで行かずに、近くで相談したい | 高知県よろず支援拠点:アクセスマップ | 県土が広いため、高知市の常設の拠点のほかに、須崎、四万十町、室戸、四万十市中村、宿毛などでサテライト相談所を決まった日に開いている。相談は電話かWEBで予約する |
| 人手が足りず、現場の仕事の回し方から見直したい | 高知県よろず支援拠点:生産性向上の支援センター | 国の取り組みで、全国のよろず支援拠点に専門のサポーターを置いている。生産性向上の専門家が、無料で、何度でも現場へ伺うと書かれている |
| 業務のデジタル化を、県内のIT企業に頼みたい | 産業振興センター:県内IT企業とのマッチング | 何をしたいか決まっていない段階から、センターが聞き取りをして課題を整理する。相談とIT企業の紹介は無料で、紹介された会社と必ず契約する必要はない。オンライン会議での相談もできる。登録されているのは、県内に本店か主な事業所があるIT企業 |
| デジタル化を、計画を立てて続けたい | 高知県産業振興センター:事業戦略・デジタル化推進部 | デジタル化の相談窓口、デジタル化計画づくりの支援、事業戦略の策定と実行の支援などを案内している |
| 県の外への販路を広げたい | 高知県産業振興センター:外商推進部 | ものづくり企業の外商の支援や展示会、海外展開の支援を案内していて、大阪にも営業の拠点を置いている |
| 地元で、まず経営の相談をしたい | 高知県商工会連合会、高知商工会議所 | 商工会は、中小・小規模事業者の経営を支える経営改善普及事業の実施機関。県の商工会連合会は、デジタル技術で経営課題の解決に取り組む小規模事業者を支える「デジタル化支援員」を置いている。高知商工会議所は、創業や補助金、融資などの経営相談を受けている |
県の補助金は、年度ごとに内容や受付の期間が変わり、受付を終えているものもあります。
たとえば、産業振興センターが案内している令和7年度の、デジタル技術の活用を後押しする県の補助金は、確かめた時点(2026年10月3日)では募集を終了していました。
この補助金では、継続的にデジタル化に取り組むための中期的な実行計画を作ることが、申請の要件の1つになっていました(産業振興センター:令和7年度の補助金の案内、2026年10月3日確認)。
補助金を使うかどうかにかかわらず、何を、どの順番でデジタル化するかを先に書き出しておくと、窓口でも依頼先でも話が早く進みます。
制度を使うつもりなら、依頼先と契約を結ぶ前に、公式ページで最新の条件を確かめておきます。
窓口や依頼先と話す日までに、「県の外のお客様や取引先は、どこに、どのくらいいるか。これから増やしたいのはどこか」と「電話や車での移動でしか分からないことは何か」をメモに書いておきます。
たとえば「注文の3割は関西から、メールとFAXで来る」「出荷できる量を聞かれるたびに、倉庫に電話して確かめている」「四万十の現場の日報は、週に1回まとめて紙で届く」といった書き方で十分です。
同じメモは、高知県よろず支援拠点や産業振興センターでの相談にも、依頼先との最初の打ち合わせにも使えます。
依頼先には、届けたい相手と、離れた場所の仕事の流れを最初に伝える
県内の会社に頼むか、大阪など県外の会社に頼むかは、どちらが正しいということはありません。
比べるときの物差しは、大阪で、システム開発やホームページ制作を頼むときの選び方に書いたものが、高知の会社でもそのまま使えます。
頼む前に書き出しておきたいことは要件定義とは。
システム開発で決めること、要件定義書に書く項目、発注する側の進め方に、見積もりを比べるときに確かめることは業務システムの見積もりの読み方。
金額を比べる前に確かめることにまとめています。
そのうえで、候補の会社との最初の打ち合わせでは、この記事の事情に沿って、次のことを話してみてください。
- 県内と県の外のどこに、どんなお客様や取引先がいて、これから誰に届けたいか
- 高知市から離れた店や現場、取引先とのやりとりのうち、電話や移動で済ませているものはどれか
- 自社のデジタル化が今どの段階にあり、今回はどこまでを頼み、何を社内に残すか
サイトの見た目より先に、届けたい相手と、離れた場所どうしの仕事の流れを聞いてくる相手なら、高知の会社の事情を踏まえて考えてくれていると判断できます。
bundlyzeでは、ホームページや業務システムを作るときに、誰に読んでもらうか、作ったあとに誰がどう使うかを、作る前の打ち合わせで一緒に決めるようにしています。
この記事を書いている技術責任者の津嘉山は、業務システム開発とAWSを専門とするエンジニアです。
SEO・LLMOの対策からホームページ制作、業務システムの開発、AIの活用までを一社で対応しているので、県の外のお客様に見つけてもらうためのサイトと、離れた現場をつなぐ仕組みを、分けずに一緒に考えられます。
高知の会社とはWeb会議を中心に進め、対面での打ち合わせは日程を相談して決めます。
顔を合わせて相談したいことは、県内の窓口とあわせてお使いください。
よくある質問
高知の会社が、大阪の会社にホームページやシステムを頼んでも大丈夫ですか?
高知県よろず支援拠点には、高知市の本部まで行かないと相談できませんか?
県内のIT企業を探すときに、公的な手助けはありますか?
届けたい相手と、つなぎたい場所が決まれば、頼む中身が決まる
高知の会社が外部に頼む前にできることは、思ったより多くあります。
県内の市場が縮み、県が県の外に売ることを柱にしているという前提で、県の外の誰に何を届けるか、その相手が会う前に確かめたいことを決めておく。
県土の多くが山あいで、事業所が県内に散らばっているという前提で、電話や移動でしか分からないことのうち、どれから仕組みにするかを決めておく。
この2つがそろうと、依頼先に頼む範囲と、社内に残す仕事がはっきりします。
途中で迷ったら、高知県よろず支援拠点や産業振興センター、地元の商工会・商工会議所に持ち込めます。
同じ四国の会社向けには、香川の会社がWebやシステムを頼む前にと愛媛の会社がWebやシステムを頼む前にも書いています。
最初の一歩は、この1か月の注文や問い合わせが、県内のどこと、県の外のどこから来たかを数えてみることです。
ご相談
Webからの集客について、いまの状況をお聞かせください。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。