この記事の結論
鳥取の中小企業がホームページや業務システムを外部に頼む前には、「サイトやシステムの持ち主と鍵を、社長個人ではなく会社のものにしておくか」と「社長の頭の中にある仕事の決まりごとを、次の人が読める形で残すか」の2点を決めておくと、依頼先との話がぶれにくくなります。
鳥取県の産業振興未来ビジョン(令和6年4月改訂)は、令和3年度の事業承継の調査結果として後継者不在率を57%と記し、令和6年度から令和9年度に事業承継160件、そのうち第三者承継80件の実現を目標にしています。
同じビジョンは、2020年から2030年の10年間で県の生産年齢人口が12%減ると見込んでいます。
依頼先が決まる前でも、何度でも無料で相談できる鳥取県よろず支援拠点、国の公的な窓口である鳥取県事業承継・引継ぎ支援センター、県内の商工会議所・商工会が使えます。
bundlyzeでは、大阪市北区のグラングリーン大阪を拠点に、大阪・兵庫を中心とした関西の会社からのご相談に対応していて、打ち合わせはWeb会議でも対面でもできます。
全国からオンラインでもご相談いただけます。
鳥取の会社は、頼む前に「誰の名義で持つか」と「次の人に何を残すか」を決めておく
ホームページや業務システムの相談は、「問い合わせを増やしたい」「手作業を減らしたい」から始まるのがふつうです。
鳥取の会社の場合は、その手前で、県が産業の計画に書いている事業承継の数字を一度見ておくことをおすすめします。
作ったサイトやシステムを、今の社長が引退したあとも使い続けられるかどうかが、そこで決まってくるからです。
県の資料を読んで、私たちが依頼の前に押さえておきたいと考えた鳥取の事情は、次の3つです。
| 県の資料から分かること | 出典 | 頼む前に決めておくこと |
|---|---|---|
| 令和3年度の事業承継の調査結果では、後継者不在率は57% | 鳥取県「産業振興の未来ビジョン(改訂版)」 | ドメインやサーバー、各種アカウントの名義と、ログインの情報を、社長個人ではなく会社で持つか |
| 令和6年度から令和9年度に、事業承継160件、第三者承継80件の実現を目標にしている | 同上 | 親族や従業員、社外の人が引き継ぐとき、会社の中身をどこで伝えるか |
| 2020年から2030年の10年間で、生産年齢人口は12%減ると見込まれている | 同上(国立社会保障・人口問題研究所の推計) | 人が減っても回るように、社長しか知らない決まりごとをどこに残すか |
県の計画は、事業承継を産業の柱の一つに置いている
鳥取県は、令和3年4月に策定した「鳥取県産業振興未来ビジョン」を、令和6年4月に改訂しました。
改訂版は、県の課題として「経営者の高齢化による後継者不足」を挙げ、令和3年度の事業承継の調査結果では後継者不在率が57%だったと記しています。
そのうえで、10年後の県内産業の姿の一つに「若手経営者への円滑な事業承継が進展している」ことを掲げ、令和6年度から令和9年度の目標として、事業承継の実現160件(令和4年度は38件)と、第三者承継の実現80件(令和4年度は21件)を置いています(鳥取県:産業振興の未来ビジョン、産業振興の未来ビジョン(改訂版・PDF)、2026年10月3日確認)。
同じ改訂版は、国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとに、2020年から2030年の10年間で、県の生産年齢(15〜64歳)人口が12%減ると見込んでいます。
また、経営者の高齢化や後継者不足が進む中で、第三者承継やM&Aが「有力な選択肢になりつつある」とも書いています。
ここから私たちが考えるのは、鳥取では、今作るホームページや業務システムが、数年のうちに次の経営者の手に渡る可能性を、最初から考えておいたほうがよい、ということです。
引き継ぐ相手は、子どもや親族のこともあれば、従業員や、社外の人のこともあります。
どの場合も、サイトやシステムが「今の社長がいないと動かせない」状態だと、引き継いだ人がまず困ります。
代替わりで困りやすいのは、サイトやシステムの「鍵」がどこにあるか分からないこと
事業承継の相談では、決算書や取引先、借入れの話が中心になります。
ホームページや業務システムのことは、後回しにされがちです。
けれども、代替わりのあとに次のようなことが起きると、問い合わせや注文の窓口が止まってしまいます。
| 代替わりのあとに起きやすいこと(私たちの考え) | 今のうちに確かめておくこと |
|---|---|
| ドメインやサーバーの契約者が前の社長個人で、更新の案内が届かず、サイトやメールが止まる | 契約者の名義と、更新の案内が届くメールアドレス。会社の共有のアドレスにしておけるか |
| Googleマップの情報やSNS、LINE公式アカウントに、誰もログインできない | 各アカウントの管理者が誰か。管理者を2人以上にしておけるか |
| サイトを作った会社や、システムを作った人と連絡が取れない | 作った会社との契約の内容と、連絡先。中身の資料(設計書や管理画面の使い方)を受け取っているか |
| 顧客の一覧や見積もりの決まりが、社長のスマートフォンやExcelにしかない | 情報の置き場所を会社の共有の場所にし、誰が見られるかを決めているか |
制作会社が持っているドメインやアカウントを自社に移す手順は制作会社から、ドメインやアカウントを自社に移す手順に、作った会社と連絡が取れないときの進め方はシステムを作った会社と連絡が取れない。
業務システムを引き継ぐ手順にまとめています。
これから外部に頼む場合は、依頼の段階で「名義は会社」「管理者は2人以上」「中身の資料を納品物に含める」と決めておけば、後で移す手間がかかりません。
これは代替わりの予定がない会社でも、担当者が辞めたときや、依頼先を変えるときに同じように効いてきます。
ホームページは、次の担い手が会社を知るための資料にもなる
鳥取県事業承継・引継ぎ支援センターは、事業を引き継ぐ方法として、子どもや親族への「親族内承継」、社内の役員や従業員への「役員・従業員承継」、他社への「第三者承継」の3つを挙げています。
センターのページでは、会社やお店が培ってきたスタッフ・機材・知名度・ノウハウなどの財産を上手に引き継ぐことが、承継後の経営を安定させるために重要だと説明しています。
相談のときに用意する資料にも、決算書などと並んで「会社案内等の事業内容が分かるもの」が挙がっています(鳥取県の事業承継・引継ぎ支援センター、事業承継について、2026年10月3日確認)。
センターは「後継者人材バンク」も運営していて、創業を目指す人や、県内へのUターン・Iターンを希望する人などと、後継者がいない会社や個人事業主を引き合わせています。
創業する側にとっては、お客様や仕入先、機材などの経営資源や、地域での知名度を引き継げることを利点に挙げています(事業承継の支援センター:後継者人材バンク、2026年10月3日確認)。
県外から来る人や、社外から引き継ぐ人は、最初にその会社のホームページを読んで、何をしている会社かを確かめる、と私たちは考えています。
ホームページに、扱っている商品やサービス、お客様の地域、仕事の進め方が書かれていれば、それがそのまま会社の中身を伝える資料になります。
逆に、何年も更新されていないサイトや、電話番号だけのページでは、知名度やノウハウといった目に見えない財産が伝わりません。
| ホームページに書いておくこと(私たちの考え) | 誰の役に立つか |
|---|---|
| 扱っている商品・サービスと、お客様の地域や業種 | 新しいお客様、次の担い手、検索やAIの答え |
| 仕事の流れ(問い合わせから納品までの手順) | お客様、新しく入る従業員、次の担い手 |
| 会社の歩みと、地域で続けてきたこと | 次の担い手、取引先 |
| 問い合わせの窓口と、返事の目安 | お客様 |
会社概要の書き方は、会社概要ページに書く項目と書き方。
AIに正しく伝わるチェック表付きにまとめています。
社長の頭の中にある決まりごとを、仕組みに移す
鳥取県の改訂版ビジョンは、県内企業のDXについて、人的資源の限られる小規模事業者にも優しい「草の根的な」取り組みから、生成AIの活用まで、企業のデジタル化の段階に応じて進めると書いています。
導入の段階では、商工団体などの身近なサポーターによる支援を展開するとしています。
引き継ぎを見据えた会社が、最初に手をつけやすいのは、社長や古くからいる担当者の頭の中にある決まりごとを、書き出して、仕組みの中に入れることだと私たちは考えています。
| 頭の中にある決まりごとの例 | 移す先の例(私たちの考え) |
|---|---|
| 取引先ごとの値引きや支払いの条件 | 見積もりや受注の仕組みの中に、取引先ごとの設定として持つ |
| どの仕入先に、いつ、どれだけ頼むか | 発注の記録と、目安の表を共有の場所に置く |
| よく聞かれる質問への答え方 | ホームページのよくある質問と、社内の手順書 |
| 繁忙期の段取り | 予定表と、作業の一覧 |
いきなり大きなシステムを作る必要はありません。
まずはExcelや紙で回している仕事のうち、社長しか分からない部分を書き出すだけでも、引き継ぐ人の負担は大きく減ります。
手作業が限界かどうかの目安はExcelでの業務管理が限界になったときの、7つのサインに、社内の手順書にAIで答えさせる仕組みは社内のマニュアルや規程にAIで答えさせる仕組み。
中小企業が作る前に決める6つのことに書いています。
鳥取で、依頼先を決める前に使える相談先
鳥取県内の公的な窓口を、困っていることの種類ごとに並べました。
どれも、依頼先を決める前から使えます。
| こんなときに | 窓口 | 公式ページで確かめた内容(2026年10月3日) |
|---|---|---|
| ホームページやIT活用を、何から始めるか相談したい | 鳥取県よろず支援拠点、よくあるご質問 | 国(中小企業庁)の事業として運営していて、何度でも無料で利用できる。予約制で、1回60〜90分程度が目安。相談できるテーマに、売上拡大・販路開拓、事業承継、IT・DX活用、人手不足・生産性向上を挙げている。補助金の申請書の代行作成は行っていないと書かれている |
| 鳥取市まで行かずに相談したい | 鳥取県よろず支援拠点:アクセス | 東部(鳥取市)、中部(北栄町)、西部(米子市)のサテライトで相談を受けている。サテライトは相談日が限られていて、来訪が難しい場合はオンラインでも相談できる |
| 人手が足りず、現場の仕事の回し方から見直したい | 鳥取県よろず支援拠点:生産性向上支援センター | 令和8年4月に新設された窓口。サポーターが事業所を訪問し、業務の見える化から省力化投資(IoT・ロボット・DXなど)まで、概ね10回程度、伴走する。相談・支援は無料 |
| 後継ぎのことや、事業を誰に引き継ぐかを相談したい | 鳥取県の事業承継・引継ぎ支援センター | 鳥取県産業振興機構が国の委託を受けて運営する公的な相談窓口。相談は何度でも無料で、秘密は守られる。親族や従業員への承継から第三者への引き継ぎまで扱い、米子商工会議所会館に西部窓口がある |
| 引き継いでくれる人を、県の内外から探したい | 事業承継の支援センター:後継者人材バンク | 創業を目指す人や、県内へのUターン・Iターンを希望する人などと、後継者がいない会社を引き合わせる |
| 近くの窓口で、続けて相談したい | 鳥取県:商工会議所・商工会 | 県内の商工会議所(鳥取・倉吉・米子・境港)と商工会には経営支援専門員がいて、小規模企業の経営相談に当たっている。商工会は県内の東部・中部・西部に産業支援センターを置いている |
県や国の補助金は、年度ごとに内容や受付の期間が変わり、受付を終えているものもあります。
制度を使うつもりなら、依頼先と契約を結ぶ前に、担当の窓口の公式ページで最新の条件を確かめておきます。
窓口や依頼先と話す日までに、「ドメイン・サーバー・メール・Googleマップ・SNSの契約者と管理者が誰か」と「社長しか分からない仕事の決まりごと」をメモに書いておきます。
たとえば「ドメインは社長個人の名義で、更新の案内は社長の個人アドレスに届く」「取引先ごとの値引きの条件は社長の手帳にだけある」「サイトを作った人とは数年連絡を取っていない」といった書き方で十分です。
同じメモは、事業承継の相談をするときにも、依頼先との最初の打ち合わせにも使えます。
依頼先には、名義と引き継ぎの予定を最初に伝える
県内の会社に頼むか、大阪など県外の会社に頼むかは、どちらが正しいということはありません。
比べるときの物差しは、大阪で、システム開発やホームページ制作を頼むときの選び方に書いたものが、鳥取の会社でもそのまま使えます。
作ったあとの保守の範囲は、システムの保守契約で確かめること。
「何かあったら直す」の中身を決めるで確かめてください。
そのうえで、候補の会社との最初の打ち合わせでは、この記事の事情に沿って、次のことを話してみてください。
- ドメインやサーバー、各種アカウントの名義を会社にし、管理者を2人以上にしたいこと
- 数年のうちに、代替わりや社外への引き継ぎがありうるかどうか。あるなら、誰が使う前提で作るか
- 設計の資料や管理画面の使い方を、納品物に含めてもらえるか
名義や資料の話をしたときに、嫌がらずに具体的な手順を答えられる相手なら、作ったあとのことまで考えてくれていると判断できます。
bundlyzeでは、ホームページや業務システムを作るときに、名義を会社にし、作ったものの中身を資料として残すことを、作る前の打ち合わせで一緒に決めるようにしています。
この記事を書いている技術責任者の津嘉山は、業務システム開発とAWSを専門とするエンジニアです。
SEO・LLMOの対策からホームページ制作、業務システムの開発、AIの活用までを一社で対応しているので、会社の中身を伝えるサイトと、社長の頭の中にある決まりごとを移す仕組みを、分けずに一緒に考えられます。
鳥取の会社とはWeb会議を中心に進め、対面での打ち合わせは日程を相談して決めます。
事業承継そのものの相談は、県内の窓口とあわせてお使いください。
よくある質問
事業承継の予定がまだなくても、ホームページの名義を確かめておいたほうがよいですか?
鳥取県よろず支援拠点には、鳥取市まで行かないと相談できませんか?
後継ぎがいないとき、どこに相談すればよいですか?
名義と決まりごとが整えば、頼む中身が決まる
鳥取の会社が外部に頼む前にできることは、思ったより多くあります。
後継者不在率が高く、県が事業承継を計画の柱に置いているという前提で、サイトやシステムの名義と鍵を会社のものにしておく。
人が減っても回るように、社長の頭の中にある決まりごとを書き出し、ホームページや仕組みの中に移しておく。
この2つがそろうと、依頼先に頼む範囲と、社内に残す仕事がはっきりします。
途中で迷ったら、鳥取県よろず支援拠点や、県の事業承継・引継ぎ支援センター、地元の商工会議所・商工会に持ち込めます。
同じ中国地方の会社向けには、島根の会社がWebやシステムを頼む前に、岡山でホームページ制作やシステム開発を頼む前に、広島の会社がWebやシステムを頼む前にも書いています。
最初の一歩は、自社のドメインとサーバーの契約者が誰になっているかを、確かめてみることです。
ご相談
Webからの集客について、いまの状況をお聞かせください。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。