この記事の結論
岡山の中小企業がWeb集客やシステム、AIの活用を外部に任せる前には、「どこまでのお客様や取引先に届けるのか」と「サイトやシステムが止まったら、どう戻すのか」の2点を決めておくと、見積もりや提案の中身がぶれにくくなります。岡山県は、東西と南北の高速道路が県内2か所で交わる交通の結節点で、新幹線なら神戸まで約31分、広島まで約34分、大阪まで約44分です。お客様や取引先が県の外まで広がりやすい分、サイトには対応できる範囲と、県外からの問い合わせの受け方を書いておく必要があります。また、岡山県は雨の少ない「晴れの国」ですが、平成30年7月豪雨では県内で初めての特別警報が出され、死者・行方不明者が60名を超えました。県は、地震・風水害・感染症・サイバーリスクに備える「岡山県版かんたんBCPシート」を用意しています。依頼先が決まる前でも、何度でも無料で相談できる岡山県よろず支援拠点、岡山県産業振興財団のデジタル化の相談窓口、地元の商工会議所・商工会が使えます。
岡山の会社は、頼む前に「どこまで届けるか」と「止まったらどうするか」を決めておく
制作会社や開発会社との打ち合わせは、「どんなデザインにするか」「どんな機能を入れるか」から始まりがちです。岡山の会社の場合、その手前で決めておきたいことが2つあります。県の立地の資料と災害の記録を読むと、岡山の会社が置かれている事情が、Webやシステムの頼み方に直接つながっているからです。
県の資料を読み比べて、私たちが依頼の前に押さえておきたいと考えた岡山の事情は、次の3つです。
| 県の資料から分かること | 出典 | 頼む前に決めておくこと |
|---|---|---|
| 東西の2本の高速道路と、日本海から瀬戸内海を経て太平洋へ至る高速道路が、県内の2か所で交わる。中国四国地域の倉庫面積は岡山県が最も広い | 岡山県「企業立地ガイド2026」 | お客様や取引先は、県内だけか、中四国や関西まで広がるか。県外からの問い合わせに、誰がどう答えるか |
| 降水量1mm未満の日数は全国1位。一方で、平成30年7月豪雨では県内で初めて特別警報が出され、平成に入って最大の被害になった | 岡山県「企業立地ガイド2026」(気象庁の資料)、岡山県「平成30年7月豪雨災害検証報告書」 | 事務所が使えなくなったとき、サイトと問い合わせの窓口、お客様のデータをどこから使い続けるか |
| 県のかんたんBCPシートに、サイバーリスクの版が加わっている | 岡山県・岡山県産業振興財団 | サイトやメール、業務システムが攻撃や故障で止まったとき、誰に連絡し、どこから戻すか |
交通の結節点にある岡山では、お客様が県の外まで広がりやすい
岡山県の「企業立地ガイド2026」は、岡山県を「西日本における陸上交通のクロスポイント」と説明しています。東西に延びる2本の高速道路と、日本海から瀬戸内海を経て太平洋へ至る高速道路が、県内の2か所で交差しているからです。同じ資料に載っている主な都市から岡山までの時間(令和3年4月現在)は、新幹線で神戸から約31分、広島から約34分、大阪から約44分、博多から約1時間37分です。高松からは、高速道路を使って車で約1時間です(岡山県:やっぱり岡山!企業立地ガイド、企業立地ガイド2026(PDF)、2026年10月1日確認)。
物流の面でも、同じ資料は、中国四国地域の1〜3類の倉庫面積で岡山県が1位(約149.5万平方メートル)であることを、中国運輸局・四国運輸局の数字(2024年3月現在)で示しています。
移動の時間が短く、物の流れの拠点でもある県では、県外のお客様や取引先からの問い合わせが来やすい、と私たちは考えています。逆に言えば、サイトに「岡山県内で対応」としか書いていないと、県外の人は自分が相手にしてもらえるのかを判断できません。お客様との距離ごとに、サイトに書いておきたいことを並べると、次のようになります。
| お客様や取引先の場所 | 相手が最初に知りたいこと | サイトに書いておくこと |
|---|---|---|
| 県内(車で行き来できる範囲) | 近くで頼めるか、来てもらえるか | 所在地と、対応している市町村の範囲。Googleマップの情報と同じ書き方にする |
| 新幹線で1時間ほどの都市(神戸・広島・大阪など) | 打ち合わせや納品を、どこまでオンラインで済ませられるか | オンラインで済む作業と、現地に行く必要がある作業の分け方 |
| 瀬戸大橋の先(四国) | 県をまたいでも頼めるか、移動の費用はどう考えるか | 四国からの依頼を受けているか。受けているなら、その条件 |
| それより遠く | 自社の業種や課題に合っているか | 何ができる会社かと、相談から納品までの流れ |
対応できる範囲を文章で書いておくことは、地図の検索やAIの答えで自社が正しく紹介されるための土台にもなります。会社概要の書き方は会社概要を、AIに正しく伝わる形に書く手順に、Googleマップの整え方はMEO対策とは。来店型のお店でない会社が、Googleマップに出るためにやることにまとめています。
取引先が県外に広がるほど、注文や在庫の問い合わせを、電話やFAX、メールで担当者が一件ずつ受けていると、手が回らなくなります。業務システムを考えるなら、どの取引先から、何についての問い合わせが、週に何件くらい来ているかを書き出してから依頼すると、作るものの大きさが決まりやすくなります。発注する側の準備は、要件定義とは。システム開発を頼む前に、発注する側が準備することが参考になります。
晴れの国でも、平成30年7月豪雨では大きな被害が出た
岡山県の「企業立地ガイド2026」は、降水量1mm未満の日数が276.7日(1991年から2020年の平均)で全国1位であることを、気象庁の「全国気候表」をもとに示しています。県内には活断層がほとんどなく、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率も低いことから、精密機器や情報関連などの企業が多く立地している、とも書かれています(企業立地ガイド2026(PDF)、2026年10月1日確認)。
一方で、県の災害検証委員会がまとめた報告書は、平成30年7月豪雨について、「歴史的に災害が少ないと言われていた岡山県においても、初めてとなる特別警報が発表され」たと記録しています。倉敷市真備町を中心に、県内の死者・行方不明者数は60名を超え、平成に入って最大の被害になりました。真備町では堤防の決壊で約1,200haが浸水し、浸水の深さが5m程度になったところもありました(岡山県:「平成30年7月豪雨」災害検証委員会、検証報告書(本編・PDF)、2026年10月1日確認)。
災害が少ないことは、岡山の会社の強みです。それでも、Webやシステムを頼むときに「岡山は災害が少ないから」と止まったときの話を省くのは避けたい、と私たちは考えています。事務所が水に浸かったり、停電したりしても、お客様からの問い合わせは届き続けるからです。
県のかんたんBCPシートで、Webとシステムが止まったときの手順を決めておく
岡山県は、事業継続計画(BCP)の第一歩として、策定に欠かせない項目を簡単にまとめた「岡山県版かんたんBCPシート」を用意しています。A3用紙1枚に書き込むだけで作れる形で、地震、風水害、新型感染症、サイバーリスクの4種類に対応しています。製造業や建設業、運輸業など、業種別に7つのフォーマットがあり、サイバーリスクは全業種で共通です(岡山県:事業継続計画(BCP)策定について、2026年10月1日確認)。
岡山県産業振興財団は、サイバー攻撃が増えていることから、サイバーリスクに対応したシートを新たに加えたと説明しています。財団は、このシートの策定の支援を中心に、専門家を派遣してBCPの策定や見直し、訓練を支援していて、随時受け付けています(岡山県産業振興財団:BCP策定支援、2026年10月1日確認)。
ホームページや業務システムを外に頼む会社は、このシートを書くときに、次のことも一緒に決めておくと、依頼先と話すべきことがはっきりします。
| 止まるもの | 社内で確かめておくこと | 依頼先に聞いておくこと |
|---|---|---|
| ホームページ | ドメインとサーバーの契約者は誰か。ログインの情報を、社内の誰が持っているか | 止まったとき、誰がどう気づき、何時間以内に連絡が来るか |
| 問い合わせフォームとメール | フォームが止まったとき、お客様に代わりの連絡先(電話など)をどこで伝えるか | 送信できなくなったときに気づく仕組みがあるか |
| お客様や受注のデータ | データがどこに保存されているか。事務所のパソコンやサーバーの中だけになっていないか | バックアップをどこに、どのくらいの間隔で取り、どこまで戻せるか |
| 業務システム | システムが使えない間、紙や電話で業務を続ける手順 | 攻撃や故障で止まったとき、誰がどこまで対応する契約か |
フォームが止まっていないかを確かめる方法は予約・問い合わせフォームが止まっていないか、見張る方法に、証明書の期限切れでサイトに警告が出るのを防ぐ方法はSSL証明書の期限切れを防ぐ。自動で更新される仕組みへの移し方に書いています。
岡山で、依頼先を決める前に使える相談先
岡山県内の公的な窓口を、困っていることの種類ごとに並べました。どれも、依頼先を決める前から使えます。
| こんなときに | 窓口 | 公式ページで確かめた内容(2026年10月1日) |
|---|---|---|
| ホームページやネット販売、業務のデジタル化を、何から始めるか相談したい | 岡山県よろず支援拠点 | 国が全国に設けている無料の経営相談所で、何度でも無料。相談は1回1時間(1日1回まで)。悩みの例に「ホームページを作って宣伝したい」「ECサイトで販路を拡大したい」「顧客管理・在庫管理で業務の効率化」を挙げている |
| 岡山市まで行く時間が取りにくい | 岡山県よろず支援拠点:web相談、よろずQ&A | 相談はweb相談が主体で、会社や自宅から相談ルームに接続する。事前の予約が必要。来所の場合は、岡山サテライトと津山サテライトがあり、公民館などでの出張出前相談もある |
| パソコンがなく、ネットでの相談が不安(倉敷市) | 倉敷市:Web経営相談(岡山県よろず支援拠点) | 倉敷市の商工課の窓口に、よろず支援拠点へのweb相談に使えるパソコンを置いている。事前の予約が必要 |
| 人手が足りず、仕事の回し方から見直したい | 岡山県よろず支援拠点:生産性向上支援センター | よろず支援拠点の中に開設されたセンター。サポーターを派遣して伴走し、支援は無料で標準10回。支援の内容に、ITやデジタルツールの活用、自動化・省力化を挙げている |
| どんなITツールが自社に合うか、導入の進め方を相談したい | 岡山県産業振興財団:デジタル化に関する相談窓口 | 県内の事業者が対象。データ化やシステムの導入など、デジタル技術の活用の相談に応じる。申し込みの後、職員から連絡があり、Web面談か訪問・電話で対応する |
| 災害やサイバー攻撃で止まったときの備えを作りたい | 岡山県:かんたんBCPシート、岡山県産業振興財団:BCP策定支援 | A3用紙1枚のシートで、サイバーリスクの版もある。財団は専門家の派遣で、策定や見直し、訓練を支援している(随時受付) |
| 県内のIT関連の事業者を、課題から探したい | おかやまDX応援隊 | 岡山県商工会議所連合会が運営するマッチングサイト。県内の12の商工会議所の会員であるIT関連の事業者が登録していて、顧客を増やす、在庫管理、決済、経営の把握などの課題から探せる |
| 近くの窓口で、続けて相談したい | 岡山県:県内の商工関係団体 | 県内には12の商工会議所と20の商工会があり、巡回相談などで小規模事業者の経営を支えている。一覧は県のページから見られる |
県や市の補助金は、年度ごとに内容や受付の期間が変わり、受付を終えているものもあります。制度を使うつもりなら、依頼先と契約を結ぶ前に、担当課や財団の公式ページで最新の条件を確かめておきます。国の「デジタル化・AI導入補助金」の条件は、公式サイトで確かめられます。
窓口に行く日までに、「お客様や取引先がいる都道府県」と「サイトや受注の仕組みが1日止まったら困ること」をメモに書いておきます。たとえば「取引先の3割は香川と広島」「受注はメールとFAXで、2人で回している」「顧客の一覧は事務所のパソコン1台にしかない」といった書き方で十分です。同じメモは、かんたんBCPシートを書くときにも、依頼先との最初の打ち合わせにも使えます。
依頼先には、届けたい範囲と、止まったときの約束を最初に聞く
県内の会社に頼むか、大阪など県外の会社に頼むかは、どちらが正しいということはありません。比べるときの物差しは、大阪で、システム開発やホームページ制作を頼むときの選び方に書いたものがそのまま使えます。見積もりを比べる段階では、業務システムの見積もりの読み方。金額を比べる前に確かめることで、保守や障害対応がどこまで含まれているかを確かめてください。
候補の会社との最初の打ち合わせでは、この記事の3つの事情に沿って、次のことを話してみてください。
- お客様や取引先が、県内のどこと、県外のどこにいるか。県外からの問い合わせに、誰がどう答えているか
- 事務所が使えない日に、問い合わせとお客様のデータを、どこから使い続けたいか
- サイトやシステムが攻撃や故障で止まったとき、どこまでを依頼先に任せ、どこからを社内でやるか
届けたい範囲を聞いてから、サイトに書く内容や問い合わせの受け方を変えてくる相手なら、岡山の会社の事情を踏まえて考えてくれていると判断できます。止まったときの話をしたときに、連絡の流れやバックアップの取り方を具体的に答えられるかも、比べるときの材料になります。
bundlyzeでは、ホームページや業務システムを作るときに、県外からの問い合わせの受け方と、止まったときの戻し方を、作る前の打ち合わせで一緒に決めるようにしています。拠点は大阪(グラングリーン大阪)で、関西を中心に、西日本や全国の会社のご相談にオンラインで応じています。扱う分野は、検索やAIの答えに出るためのSEO・LLMO対策から、Web広告、ホームページ制作、業務システムの開発、AIの活用まで広がっています。
よくある質問
岡山県よろず支援拠点には、岡山市まで行かないと相談できませんか?
岡山県版かんたんBCPシートは、ホームページや業務システムにも関係しますか?
岡山の会社が、大阪など県外の会社にWebやシステムを頼んでも大丈夫ですか?
届ける範囲と止まったときの手順が決まれば、頼む中身が決まる
岡山の会社が外部に頼む前にできることは、思ったより多くあります。交通の結節点という立地を前提に、お客様や取引先がどこまで広がっているかを確かめ、サイトに対応できる範囲を書く。災害が少ない県でも止まることを前提に、かんたんBCPシートで、サイトとシステムが止まったときの手順を決めておく。この2つがそろうと、依頼先に頼む範囲と、社内に残す仕事がはっきりします。途中で迷ったら、岡山県よろず支援拠点や岡山県産業振興財団、地元の商工会議所・商工会に持ち込めます。
神戸や阪神間にも取引先がある会社は、神戸・兵庫で、Web集客やシステムを頼むときの選び方と、使える公的な相談先もあわせて確かめてください。最初の一歩は、お客様や取引先がいる都道府県を、紙に書き出してみることです。
ご相談
Webからの集客について、いまの状況をお聞かせください。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。