この記事の結論
慌てて新しい会社を探す前に、まず「手元に何があるか」を確かめます。見るのは、契約書、ソースコード、サーバーやクラウドのログイン、ドメイン、パスワードの5つです。次に、今動いているシステムを止めないよう、支払いと更新を自社で押さえます。そのうえで、引き継ぐか、作り直すかを判断します。
最初の1週間で、止めてはいけないもの
作った会社と連絡が取れなくなったとき、一番怖いのは、ある日突然システムが止まることです。多くの場合、原因は技術ではなく、支払いと更新です。
- サーバーやクラウドの支払い。 支払いが作った会社の名義だと、その会社が支払いをやめた時点で止まります
- ドメインの更新。 期限が切れると、システムにアクセスできなくなります
- 証明書の更新。 期限が切れると、ブラウザに警告が出ます
まず、これらの更新日と支払いの名義を確かめ、期限が近いものから自社で押さえます。
手元にあるものを確かめる
次に、次の5つが自社の手元にあるかを確かめます。
| 確かめるもの | なぜ必要か |
|---|---|
| 契約書・発注書 | ソースコードの権利が誰にあるか、引き渡しの約束があるかが書かれている |
| ソースコード | ないと、直すことも、ほかの会社に頼むこともできない |
| サーバー・クラウドのログイン | 動いている環境に入れないと、何も確かめられない |
| ドメインとDNSの管理画面 | システムの住所にあたる。名義が誰かを確かめる |
| 管理者のパスワード・外部サービスの鍵 | システムの管理画面や、メール送信などの外部サービスに使われている |
ドメインや計測のアカウントの名義の確かめ方は、制作会社から、ドメインやアカウントを自社に移す手順にまとめています。

契約書で、ソースコードの権利を確かめる
受託開発で作ったプログラムの著作権を、作った会社に残すか、発注した会社に移すかは、契約で決めるものです。国のモデル契約書でも、どちらにするかを合意しておく項目になっています(IPA:情報システム・モデル取引・契約書)。
- 権利が自社に移る契約なら、ソースコードを受け取り、ほかの会社に直してもらうことができます
- 権利が作った会社に残る契約でも、使い続けることや、直すことを認める条項が入っていることがあります
- 契約書が見つからない場合は、発注書、見積書、メールのやり取りも手がかりになります
権利の扱いがはっきりしない場合は、引き継ぎの作業を始める前に、専門家に相談します。
ソースコードが手元になくても、動いているサーバーの中にプログラムが置かれていることがあります。ただし、サーバーの中のものが最新とは限らず、権利の問題も残ります。取り出す前に、契約を確かめます。
引き継ぎ先を探す前に、今の姿を書き出す
引き継ぐ会社に見積もりを頼むとき、システムの今の姿が分からないと、正確な見積もりが出せません。分かる範囲で、次を書き出しておきます。
- 何に使っているか。 誰が、どの業務で、どのくらいの頻度で使っているか
- 困っていること。 動きが遅い、直したい画面がある、など
- つながっているもの。 メール送信、決済、会計ソフトなど、外部のサービスとのつながり
- 止まったときの影響。 半日止まったら、何が起きるか
これがあるだけで、引き継ぐ会社はソースコードを読む前に、どこが大事かをつかめます。
引き継ぐか、作り直すか
ソースコードを読んだうえで、引き継いで直していくか、作り直すかを判断します。
| 引き継ぐほうが向いている | 作り直すほうが向いている |
|---|---|
| ソースコードがそろっている | ソースコードがない、または一部しかない |
| 使っている技術が今も広く使われている | 使っている技術のサポートが終わっている |
| 業務の流れが、今もシステムと合っている | 業務が変わり、システムが合わなくなっている |
作り直す場合も、今のシステムのデータをどう移すかが一番の山場です。データの形式と、書き出す方法を先に確かめます。見積もりを比べるときは、業務システムの見積もりの読み方も参考にしてください。
同じことを繰り返さないために
引き継ぎが済んだら、同じことが起きないように、持ち主を自社にしておきます。
- ソースコードは、自社が持ち主のアカウント(GitHub など)で管理し、作業する会社に権限を付ける
- サーバーやクラウドの契約と支払いは、自社の名義にする
- パスワードや鍵は、個人のメモではなく、会社として管理する
- 契約書に、ソースコードの引き渡しと権利の扱いを書いておく
私たち自身も、作ったシステムのソースコードは、個人ではなく会社のアカウントで管理しています。パスワードなどの秘密の情報は、ソースコードとは別に保管し、ソースコードの中には書かないようにしています。
よくある質問
ソースコードがありません。引き継ぎはできませんか?
作った会社に無断で、ほかの会社に直してもらってもいいですか?
引き継ぎには、どのくらいかかりますか?
まず、支払いと更新日を確かめる
作った会社と連絡が取れなくても、すぐにシステムが止まるとは限りません。まずは支払いの名義とドメインの更新日を確かめ、期限の近いものから自社で押さえてください。それから、落ち着いて引き継ぎ先を探します。
ご相談
業務システムについて、いまの状況をお聞かせください。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。

