この記事の結論
島根の中小企業がホームページや業務システムを外部に頼む前には、「Webで、自社の価値をきちんと伝えて値段に見合う仕事を取りにいくのか」と「仕組みで、同じ人数でこなせる仕事を増やすのか」のどちらを先にするかと、自社のデジタル化が今どの段階にあるかを決めておくと、依頼先との話がぶれにくくなります。
島根県の中小企業・小規模企業振興基本計画(令和8年度版)は、令和3年の経済センサスをもとに、県内企業の従業員1人あたりの付加価値額が373万4千円で、全国平均より238万8千円低いことを示し、「稼ぐ力が弱い状況」と書いています。
県は、付加価値の向上と効率の向上の両方にデジタル技術が効くとして、デジタル化の段階に応じた支援を用意しています。
依頼先が決まる前でも、無料の経営相談所である島根県よろず支援拠点、無料で回数の制限なく使えるITイノベーションセンター(ITOC)のIT経営相談会とWebマーケティング相談会、県内の商工会・商工会議所が使えます。
bundlyzeでは、大阪市北区のグラングリーン大阪を拠点に、大阪・兵庫を中心とした関西の会社からのご相談に対応していて、打ち合わせはWeb会議でも対面でもできます。
全国からオンラインでもご相談いただけます。
島根の会社は、頼む前に「価値を伝えるのか、手間を減らすのか」と「今どの段階か」を決めておく
ホームページや業務システムの相談は、「問い合わせを増やしたい」「手作業を減らしたい」から始まるのがふつうです。
島根の会社の場合は、その手前で、県が中小企業の計画に載せている「稼ぐ力」の数字を一度見ておくことをおすすめします。
Webとシステムのどちらから手をつけるかが、そこから決まってくるからです。
県の資料を読んで、私たちが依頼の前に押さえておきたいと考えた島根の事情は、次の3つです。
| 県の資料から分かること | 出典 | 頼む前に決めておくこと |
|---|---|---|
| 従業員1人あたりの付加価値額は373万4千円で、全国平均より238万8千円低い | 島根県「島根県中小企業・小規模企業振興基本計画(令和8年度版)」(令和3年経済センサス) | 稼ぐ力を上げるのに、値段に見合う仕事を取りにいくのか、同じ人数でこなせる量を増やすのか |
| 1企業あたりの従業者は10.4人で、全国平均より5.4人少ない | 同上 | 少ない人数で、どの仕事を仕組みに任せるか |
| 県は、デジタル化を3つの段階に分けて支援している | 島根県「しまねDX推進事業」 | 自社は今どの段階にいて、次の一歩に何を頼むか |
島根の企業は、1人あたりの付加価値額が全国平均の約6割
島根県の中小企業・小規模企業振興基本計画は、令和7年度から令和11年度までの5か年の計画で、令和8年度版が公表されています。
計画は、令和3年の経済センサスをもとに、県内の農林業を除く企業の1企業あたりの付加価値額が3,884万9千円で、全国平均より5,764万5千円低いことを示しています。
1企業あたりの従業者は10.4人で、全国平均より5.4人少なく、規模の小さな企業が多いことも要因の一つとしています(島根県:「島根県中小企業・小規模企業振興基本計画」について、計画(本文・PDF)、2026年10月3日確認)。
ただし、計画は、従業員1人あたりの付加価値額で見ても373万4千円で、全国平均の612万2千円より238万8千円低いと書いています。
この数字から私たちが計算すると、全国平均の約6割(約61%)です。
計画は、付加価値額を「稼ぐ力」と言い換え、島根県の企業は全国平均と比べると稼ぐ力が弱い状況だとしています。
また、付加価値の伸び悩みで、賃金アップや最低賃金の上昇への対応が難しい実態があると推察しています。
同じ計画によると、県内の中小企業は1万9,550者で、県内企業の99.9%を占めます。
そのうち小規模企業が1万6,866者(全企業数の86.2%)です。
県の人口は令和7年に63万3,105人で、平成2年からの35年間で約15万人減っています。
人が減って県内の市場が小さくなる中で、1人あたりの稼ぐ力を上げるには、大きく2つの道がある、と私たちは考えています。
1つは、自社の商品やサービスの価値をきちんと伝え、値段に見合う仕事を取ること。
もう1つは、同じ人数でこなせる仕事の量を増やすことです。
前者にはホームページなどのWebが、後者には業務の仕組みが向いています。
県も、デジタル技術は「付加価値」と「効率」の両方に効くとしている
島根県の「しまねDX推進事業」のページは、生産性を上げる手法として、(1)付加価値の向上や革新ビジネスの創出と、(2)効率の向上の2つを挙げ、デジタル技術の導入はその両方に効果が期待できると書いています。
一方で、県内の中小企業には、デジタル活用に精通した人材を抱えている企業は少なく、関心があっても実際の導入に踏み切れない企業が多いとしています(島根県:しまねDX推進事業、2026年10月3日確認)。
この2つの道に沿って、Webと仕組みでできることを分けると、次のようになります。
| 稼ぐ力を上げる道 | 向いている手段 | 依頼の前に確かめておくこと(私たちの考え) |
|---|---|---|
| 価値をきちんと伝え、値段に見合う仕事を取る | ホームページ、検索やAIの答えでの見え方、問い合わせの受け方 | 自社が選ばれている理由を、お客様の言葉で説明できるか。値段だけで比べられていないか |
| 値上げや価格の見直しを、お客様に納得してもらう | 商品・サービスの説明ページ、よくある質問、見積もりの出し方 | 何にどれだけ手間がかかっているかを、外に向けて書けるか |
| 同じ人数でこなせる量を増やす | 受注や予約、在庫、請求の仕組み。AIによる下書きやまとめ | 毎日くり返している手作業は何か。どこで二度打ちや転記をしているか |
県の計画は、適正な価格転嫁ができる取引環境の整備に向けて国と連携するとも書いています。
島根県よろず支援拠点も「価格転嫁サポート窓口」として、価格交渉の基礎的な知識や原価計算の手法の習得を支援しています(島根県よろず支援拠点、2026年10月3日確認)。
原価が分かったうえで、その価値をサイトでどう伝えるかを考えると、Webに頼む中身が決まりやすくなります。
価値を伝えるサイトの作り方は問い合わせが来るホームページ・LPは、何が違うのか。
作る前に決めておく5つのことに、手作業が限界かどうかの目安はExcelでの業務管理が限界になったときの、7つのサインにまとめています。
自社のデジタル化が、県の3つの段階のどこにいるかを確かめる
しまねDX推進事業は、支援をデジタル化の段階に応じて分けています。
| 県が示す段階 | 県の説明 | この段階で外に頼むことの例(私たちの考え) |
|---|---|---|
| ステージ1 | デジタル未導入・デジタル技術による業務効率化(デジタイゼーション) | 紙やFAXの受付をフォームにする。ホームページの情報を今の事業に合わせる |
| ステージ2 | デジタル技術による既存事業の利益率向上(デジタライゼーション) | 受注から請求までをつなぐ仕組みを作る。サイトからの問い合わせを数えて、効いているページを確かめる |
| ステージ3 | デジタル技術による新ビジネス創出(デジタルトランスフォーメーション=DX) | ネットでの販売や予約など、新しい売り方の仕組みを作る |
段階を飛ばして大きなシステムを頼むと、社内で使いこなせず、かえって手間が増えることがある、と私たちは考えています。
今の段階で効果が出ることを先に頼み、次の段階に進むときにまた考える、という進め方のほうが、少ない人数の会社には合いやすいはずです。
発注する側で準備しておくことは、要件定義とは。
システム開発で決めること、要件定義書に書く項目、発注する側の進め方が参考になります。
島根で、依頼先を決める前に使える相談先
島根県内の公的な窓口を、困っていることの種類ごとに並べました。
どれも、依頼先を決める前から使えます。
| こんなときに | 窓口 | 公式ページで確かめた内容(2026年10月3日) |
|---|---|---|
| ホームページやIT活用、価格の見直しを、何から始めるか相談したい | 島根県よろず支援拠点、よろず支援拠点とは | 国が全国に設置している無料の経営相談所。しまね産業振興財団が運営している。コーディネーターの得意分野に、WEB活用、DX・業務効率化・システム関連、IT全般などがあり、悩みから選んで予約できる |
| 松江まで行かずに相談したい | 島根県よろず支援拠点:アクセス、初めてご利用される方 | 松江オフィスと浜田サテライトオフィスのほか、出雲と益田のサテライトオフィスなどで相談を受けている。来訪かリモートかを選べ、リモートはWebexで行う |
| 人手が足りず、現場の仕事の回し方から見直したい | 島根県よろず支援拠点:生産性向上支援センター | 令和8年度からよろず支援拠点の中に置かれた公的な支援組織。サポーターが無料で複数回、現場を訪問して伴走する |
| どんなITツールが自社に合うか、ITに詳しくなくても相談したい | ITイノベーションセンター(ITOC):しまねデジタル推進事業 | しまね産業振興財団の窓口。ITコーディネータによるIT経営相談会を毎月2回開いている。相談は無料で、回数の制限はなく、ITの知識がなくても相談できると書かれている。松江(テクノアークしまね)と浜田の会場のほか、Web会議(Zoom)でも相談できる |
| Webでの集客や販売の進め方を相談したい | ITOC:Webマーケティング相談会 | Webマーケティングの専門家が、毎月2回、商品・サービスの認知拡大や販売促進の相談に応じる。事前予約制で、参加費は無料。Web会議(Zoom)でも相談できる |
| デジタル技術を、見て触って確かめたい | 島根県:しまねDX推進事業 | 松江市のテクノアークしまね2階に、5Gやデジタル技術を体験・実証できる「しまねデジタルBASE」がある。県は、専門家の派遣による伴走支援も用意している |
| 近くの窓口で、続けて相談したい | 島根県:商工会・商工会議所へのリンク | 県内の商工会と商工会議所への案内を、県のページにまとめている |
県や国の補助金は、年度ごとに内容や受付の期間が変わり、受付を終えているものもあります。
県のしまねDX推進事業のページでも、デジタル導入に使える県の補助金を紹介しています。
制度を使うつもりなら、依頼先と契約を結ぶ前に、担当の窓口の公式ページで最新の条件を確かめておきます。
窓口や依頼先と話す日までに、「お客様に選ばれている理由と、値段だけで比べられていると感じる場面」と「毎日くり返している手作業と、二度打ちや転記をしている場所」をメモに書いておきます。
たとえば「納期の早さで選ばれているが、サイトには書いていない」「注文はFAXで受けて、Excelと請求ソフトに2回入力している」といった書き方で十分です。
同じメモで、自社がWebと仕組みのどちらから始めるべきかを、窓口でも依頼先でも相談できます。
依頼先には、どちらの道から始めるかと、今の段階を最初に伝える
県内の会社に頼むか、大阪など県外の会社に頼むかは、どちらが正しいということはありません。
比べるときの物差しは、大阪で、システム開発やホームページ制作を頼むときの選び方に書いたものが、島根の会社でもそのまま使えます。
見積もりを比べる段階では、業務システムの見積もりの読み方。
金額を比べる前に確かめることも確かめてください。
そのうえで、候補の会社との最初の打ち合わせでは、この記事の事情に沿って、次のことを話してみてください。
- 稼ぐ力を上げるために、価値を伝えることと、手間を減らすことの、どちらから始めたいか
- 自社のデジタル化が、県の3つの段階のどこにいると考えているか
- 社内で、誰が新しいサイトや仕組みを使い、更新するか
どちらの道から始めるかを聞いてから、作るものの大きさを提案してくる相手なら、島根の会社の事情を踏まえて考えてくれていると判断できます。
bundlyzeでは、ホームページや業務システムを作るときに、価値を伝える部分と、手間を減らす部分のどちらから始めるかを、作る前の打ち合わせで一緒に決めるようにしています。
この記事を書いている技術責任者の津嘉山は、業務システム開発とAWSを専門とするエンジニアです。
SEO・LLMOの対策からホームページ制作、業務システムの開発、AIの活用までを一社で対応しているので、Webと仕組みを分けずに、稼ぐ力に効く順番で考えられます。
島根の会社とはWeb会議を中心に進め、対面での打ち合わせは日程を相談して決めます。
顔を合わせて相談したいことは、県内の窓口とあわせてお使いください。
よくある質問
ホームページと業務システム、どちらから頼めばよいですか?
ITに詳しくなくても、県内で相談できる窓口はありますか?
島根の会社が、大阪の会社にホームページやシステムを頼んでも大丈夫ですか?
道と段階が決まれば、頼む中身が決まる
島根の会社が外部に頼む前にできることは、思ったより多くあります。
1人あたりの稼ぐ力が全国平均の約6割という前提で、価値を伝えて値段に見合う仕事を取るのか、同じ人数でこなせる量を増やすのかを決めておく。
県の3つの段階のどこにいるかを確かめ、今の段階で効果が出ることから頼む。
この2つがそろうと、依頼先に頼む範囲と、社内に残す仕事がはっきりします。
途中で迷ったら、島根県よろず支援拠点や、ITイノベーションセンター(ITOC)、地元の商工会・商工会議所に持ち込めます。
同じ中国地方の会社向けには、鳥取の会社がWebやシステムを頼む前に、広島の会社がWebやシステムを頼む前に、岡山でホームページ制作やシステム開発を頼む前にも書いています。
最初の一歩は、この1か月に受けた仕事のうち、値段の相談が出たものと、手作業に時間がかかったものを、それぞれ数えてみることです。
ご相談
Webからの集客について、いまの状況をお聞かせください。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。