この記事の結論
堺市の中小企業が、Web集客やシステム、AIの活用を外に頼むときは、「自社のお客様はどの区に、どれくらいの範囲にいるか」と「何を、どの売り場で売るか」を先に整理しておくと、依頼先との話が具体的になります。市の統計では、事業所の数は「卸売業、小売業」が最も多く、7つの区のうち美原区を除く6区で同じ傾向です。一方で美原区だけは製造業の事業所が最も多く、区によって事業所の顔ぶれが違います。整理の段階から、堺市産業振興センターの産業DX支援センター(無料で最大6回)や、堺商工会議所のIT専門家派遣など、市内の窓口を頼れます。
堺の会社は、「どの区の誰に」と「どこで売るか」を先に決めてから頼む
「ホームページを作り直したい」「業務をシステムにしたい」「AIを使ってみたい」と依頼先に相談すると、多くの場合、作るものの話から始まります。けれど堺の会社なら、その前に決めておきたいことがあります。Webで届けたいお客様がどこにいるか、そして、自社の商品やサービスを、どの売り場で届けるかです。
堺市の統計と、市や商工会議所の支援策を確かめると、堺には次のような事情があります。私たちが、依頼の前に整理しておくとよいと考えているのは、この3つです。
| 堺の事情 | 出典 | 依頼の前に整理すること |
|---|---|---|
| 事業所の数は「卸売業、小売業」が最も多く、次いで「医療、福祉」「宿泊業、飲食サービス業」 | 堺市「令和3年経済センサス(活動調査)結果」 | お客様は、近くに住む人か、市外の会社か、遠くから探して来る人か |
| 美原区だけは製造業の事業所が最も多く、ほかの6区は「卸売業、小売業」が最も多い | 同上(行政区別の集計) | 自社のある区と、お客様が実際にいる区や市町村はどこか |
| 刃物、注染・和晒、線香の伝統産業について、市がブランドづくりと販売の場を設けている | 堺市「sakai kitchen」 | 自社のサイトで売るか、市や産地の売り場とどう組み合わせるか |
堺は、事業所の数では、地域のお客様を相手にする業種が多い
堺市がまとめた「令和3年経済センサス(活動調査)」の結果によると、市内の民営事業所のうち、産業別に最も多いのは「卸売業、小売業」の5,883事業所で、全体の21.5%です。次いで「医療、福祉」が3,352事業所(12.3%)、「宿泊業、飲食サービス業」が3,033事業所(11.1%)と続きます。一方、売上(収入)の金額で見ると、製造業が全体の44.3%を占めて最も大きくなっています(堺市:堺の事業所 令和3年経済センサス(活動調査)結果、2026年10月2日確認)。
つまり堺は、金額では大きな工場の存在感が大きい一方で、数の上では、お店や病院・介護、飲食など、地域に暮らす人を相手にする事業所が多い市だと、私たちは読んでいます。ここから、次のことを考えておくとよいと見ています。
- 地域のお客様を相手にする会社は、ホームページを作る前に、近くで探されたときに見つかるかを先に確かめます。Googleマップの検索で、「堺市」「堺区」などの地名と一緒にどんな言葉で探されていそうかを、分かる範囲で書き出しておきます
- 会社を相手にする会社は、同じ市内の取引先だけでなく、府内や関西、全国の担当者にも比べられます。何を、どの量まで、どの地域まで対応できるかを、初めて見る人に伝わる言葉で書けるかを確かめます
- 人を採用したい会社は、同じ区や近くの区で、同じ業種の会社と比べられます。仕事の中身や働く場所、通勤のしやすさなど、比べるときに知りたいことを書けるかを確かめます
地図の検索で見つけてもらう準備は、MEO対策とは。来店型のお店でない会社が、Googleマップに出るためにやることにまとめています。
7つの区で、事業所の顔ぶれが違う
堺市は政令指定都市で、7つの区に分かれています。同じ調査で、区ごとの事業所の数と、区の中で最も割合の高い業種を見ると、次のようになります(出典は上と同じ)。
| 区 | 事業所の数(市全体に占める割合) | 区の中で最も多い業種(割合) |
|---|---|---|
| 堺区 | 7,519(27.5%) | 卸売業、小売業(22.4%) |
| 北区 | 4,609(16.9%) | 卸売業、小売業(21.7%) |
| 西区 | 4,578(16.8%) | 卸売業、小売業(22.1%) |
| 中区 | 3,814(14.0%) | 卸売業、小売業(20.2%) |
| 南区 | 2,831(10.4%) | 卸売業、小売業(23.2%) |
| 東区 | 2,144(7.8%) | 卸売業、小売業(19.8%) |
| 美原区 | 1,820(6.7%) | 製造業(27.7%) |
ほかにも、東区と南区では「医療、福祉」の事業所の割合が15%台と、市全体(12.3%)より高くなっています。従業者の数で見ると、堺区・西区・美原区では製造業が、中区・東区・南区・北区では「医療、福祉」が最も多いと、市はまとめています。
同じ「堺市の会社」でも、どの区にあるかで、まわりにいるお客様や取引先、採用で比べられる相手が違う、と私たちは考えています。依頼先と話すときは、次のことを伝えておきます。
- 自社のある区と、お客様や取引先が実際にいる区や市町村(市外も含めて)
- 対応できる地域の範囲と、それを会社概要やGoogleビジネスプロフィールにどう書いているか
- 店や事務所に来るお客様と、電話やWebで相談してくるお客様の、おおよその割合
対応地域の書き方は、会社概要を、AIに正しく伝わる形に書く手順にまとめています。
伝統産業の品をWebで届けるなら、売り場の組み合わせから考える
堺には、市が紹介している伝統産業があります。堺打刃物は国の伝統的工芸品に指定されていて、鍛造、刃付け、柄付けの工程を職人が分業して作っています。堺線香は、大阪府知事が指定する伝統工芸品です(堺市:堺打刃物、堺市:堺線香、2026年10月2日確認)。
堺市は、刃物、注染・和晒、線香の3つの伝統産業を対象に「sakai kitchen(堺キッチン)」というブランドづくりの事業を行っています。認定された商品は、堺伝匠館の店頭やオンラインショップ、首都圏での展示・販売などで紹介されます。市内に拠点のある中小企業や個人事業主が対象で、2026年度からは通年で募集しています(堺市:sakai kitchen〈堺キッチン〉、2026年10月2日確認)。
伝統産業に関わる会社が、自社のサイトでの販売やWeb集客を外に頼むときは、いきなりネットショップを作る前に、次のことを書き出しておくと話が早くなります。
| 書き出すこと | 例 |
|---|---|
| 今ある売り場 | 自社の店、産地の売り場や催し、卸先、市のブランド事業 |
| 自社のサイトで伝えたいこと | 作り手と工程、手入れの方法、名入れや修理の受付 |
| 問い合わせの相手 | 個人のお客様か、お店や飲食店などの会社か、市外や海外の人か |
自社のサイトだけで売ろうとすると、商品の写真や説明、在庫や発送の管理まで、すべて自社で整える必要があります。今ある売り場で知ってもらい、自社のサイトでは作り手や手入れの情報を伝えて、名入れや修理などの相談を受ける、といった分け方もあると、私たちは考えています。
堺で、依頼先を決める前に使える相談先
堺市は政令指定都市として、市独自の産業支援の窓口を持っています。今の段階に合わせて選びます。
| 今の段階 | 相談先 | 確かめたこと(2026年10月2日) |
|---|---|---|
| デジタル化や自動化で、何から手をつけるか決めたい | 堺市産業振興センター:産業DX支援センター | 堺市内の中小企業(個人事業主を含む)が対象。DXの専門家が現状を聞いて診断し、ロードマップの作成まで、最大6回まで無料で支援する。その後、必要に応じて市内のシステム提供企業の紹介も無料で受けられる。申込みは随時で、Web面談にも対応。面談には、経営の意思決定ができる人と、社内のシステム環境に詳しい人の同席が必要 |
| ホームページやSNS、会計ソフトなど、身近なIT化を相談したい | 堺商工会議所:IT導入・デジタル化支援専門家派遣 | 堺市内の中小企業が対象で、相談は無料。販路開拓のためのホームページ作成、SNSの活用、会計ソフトの導入、社内のセキュリティの見直しなどを、IT専門家が助言する |
| 税務や労務、法律なども含めて、経営全体を相談したい | 堺市:各種相談窓口 | 堺商工会議所のワンストップ窓口で、経営全般、創業、税務・経理、法律、労務、IT支援の相談ができる。日時が決まっている相談は予約制 |
| これから創業する、または新しい事業を立ち上げる | さかい新事業創造センター(S-Cube)、堺市:特定創業支援等事業 | このセンターは、創業前後の事業者や、新分野進出・第二創業に挑む中小企業に、オフィスやラボを貸し、入居者にはインキュベーション・マネージャーが経営の相談に応じる。市が認定した創業支援の事業を受けると、会社設立時の登録免許税の軽減などを受けられる |
堺市には、中小企業のデジタル化の費用の一部を補助する市の制度もあり、上の産業DX支援センターか、堺商工会議所の専門家派遣の支援を受けていることが、申請の条件になる年度もあります。募集の有無や条件、時期は年度ごとに変わるので、使えそうな場合は、依頼先との契約の前に、必ず堺市の公式ページで最新の内容を確かめてください。国の「デジタル化・AI導入補助金」も、条件が合えば使えます(公式サイト)。
大阪府全体で使える窓口は、大阪で、システム開発やホームページ制作を頼むときの選び方に載せています。
相談先に行く前に、自社について次の3行を書いておくと、話が早くなります。「お客様の多くは、南区と隣の市に住む人」「店と電話の問い合わせが中心で、Webからはまだ少ない」「商品は産地の売り場でも売っていて、自社のサイトでは修理の相談を受けたい」のように、この記事の3つの事情を自社に当てはめた一文にしておくと、そのまま依頼先への説明にも使えます。
依頼先には、区と相手と売り場を最初に伝える
依頼先を選ぶときは、近さよりも、自社の業務や集客の話をどこまで聞いてくれるかを重視します。確かめたい点は、大阪府全体の記事と同じです。AIを業務に使う前の整理は、AIで業務効率化するなら、どの業務から始めるかも参考にしてください。
そのうえで堺の会社なら、最初の打ち合わせで、次の3つを伝えてみてください。
- 自社のある区と、お客様や取引先がいる地域
- お客様は、近くに住む人か、会社か、遠くから探して来る人か
- 今ある売り場や問い合わせの経路と、Webやシステムで変えたいところ
この3つを聞いて、ホームページに書く中身や、地図の検索への備え、システムで最初に扱う業務まで提案が変わる相手かどうかが、堺の事情まで考えてくれる依頼先かどうかの目安になります。
bundlyzeでは、大阪(グラングリーン大阪)を拠点に、堺を含む大阪・兵庫を中心とした関西の会社からのご相談に対応していて、全国からオンラインでもご相談いただけます。SEO・LLMOの対策からWeb広告、ホームページ制作、業務システムの開発、AIの活用までを一社で対応しているので、地域のお客様に見つけてもらう準備と、問い合わせの後の業務の仕組みを、分けずに一緒に考えられます。
よくある質問
堺市の産業DX支援センターには、どんな会社でも相談できますか?
ホームページの相談は、産業DX支援センターと商工会議所のどちらに行けばよいですか?
伝統産業の商品をネットで売るには、自社でネットショップを作るべきですか?
区と相手と売り場が決まれば、頼む中身が決まる
堺の会社がWeb集客やシステム、AIを外に頼むときは、地域のお客様を相手にする事業所が多いこと、区によって事業所の顔ぶれが違うこと、伝統産業には市の売り場もあることの3つを、自社に当てはめてから依頼先と話すと、提案が具体的になります。整理に迷ったら、産業DX支援センターや堺商工会議所の窓口を頼れます。
AIに地域の条件をつけて探されたときの備えは、大阪の中小企業が、LLMO対策を始めるときに最初にやることにまとめています。まずは、自社のお客様がどの区に多いかを1行で書き出すところから始めてみてください。
ご相談
Webからの集客について、いまの状況をお聞かせください。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。