この記事の結論
八尾の中小企業が、ホームページや自社製品の販売、業務のシステムを外に頼むときは、「取引先に向けた仕事」と「一般のお客様に向けた製品や体験」を、誰に、どこで見せるかを先に分けておくと、依頼先との話が具体的になります。八尾市の令和3年経済センサス(活動調査)の結果では、市内で働く人の31.6%が製造業で、事業所の数でも4か所に1か所が製造業です。市は、条例にもとづいて「下請け、価格競争からの脱却」を掲げ、近鉄八尾駅前の「みせるばやお」で、市内のものづくりを市民や子どもに見せる取り組みを続けてきました。取引先向けの仕事と、一般の人に届けたい製品を、一つのWebの中で混ぜずに伝えることが、八尾の会社の出発点だと私たちは考えています。
八尾の会社は、「誰に向けたWebか」が2つに分かれやすい
「ホームページを作り直したい」「自社の製品をネットで売りたい」と依頼先に話すと、多くの場合、見た目や載せる写真の話から始まります。けれど、取引先から仕事を受けながら、自社の製品も作り始めている八尾の会社なら、その前に確かめておきたいことがあります。自社のWebを読むのが、取引先の担当者なのか、製品を買う一般のお客様なのか、その両方なのかです。
八尾市と八尾商工会議所が公表している資料を確かめると、八尾には次の4つの事情があります。私たちは、依頼の前にこれを自社に当てはめておくとよいと考えています。
| 八尾の事情 | 出典 | 依頼の前に整理すること |
|---|---|---|
| 市内で働く人の31.6%が製造業。製造業の事業所のうち約3割は個人の経営 | 八尾市「令和3年経済センサス(活動調査)」の統計表 | 自社の仕事のうち、取引先向けと一般向けがそれぞれどれくらいあるか |
| 市は条例の方針にもとづき、「下請け、価格競争からの脱却」に向けて、デザインの手法で自社の強みを磨く事業を行ってきた | 八尾市「令和4年度・令和5年度八尾市産業振興会議 資料集」 | 自社の製品を、誰に、どの売り場で届けたいか |
| 近鉄八尾駅前の「みせるばやお」で、市内のものづくり企業がワークショップや展示を行っている | 八尾市、みせるばやお | 体験や見学に来た人が、あとで何を検索するか |
| 市内の製造業1,000社以上が載る「八尾ものづくりnet.」があり、登録と更新は無料 | 八尾市「八尾ものづくりnet.」 | 市のサイトと自社のホームページで、会社の説明がそろっているか |
八尾は、働く人の約3割がものづくりに関わる街
八尾市が公開している令和3年経済センサス(活動調査)の統計表によると、2021年6月1日の時点で、市内の事業所は11,068か所、そこで働く人は117,359人でした。このうち製造業は、事業所が2,780か所、働く人が37,144人です。私たちが計算すると、製造業は事業所の数で25.1%、働く人の数で31.6%になります。同じ表で、卸売業・小売業は働く人の17.8%、医療・福祉は14.6%でした(八尾市:1.経済センサス‐活動調査 令和3年6月1日、2026年10月3日確認)。
同じ表で製造業の事業所を経営の形で分けると、個人の経営が824か所、法人が1,956か所で、個人の経営が約3割です。1つの事業所あたりで働く人は、平均すると約13人になります(どちらも統計表の数字から私たちが計算)。家族や少ない人数で営む工場が、街の中に多くあることが分かります。
八尾商工会議所は、八尾の工業について、古くは刷子や河内木綿から発展し、今では地場産業として伝統のある歯ブラシの生産や、金属製品、電子機器、環境や情報通信技術に関わる技術まで、多様な業種が集まっていると紹介しています(八尾商工会議所:八尾市の工業、2026年10月3日確認)。
こうした会社の多くは、取引先から仕事を受けて部品や製品を作っています。一方で、八尾では、自社の名前で製品を作り、一般のお客様に直接届けようとする動きを、市が後押ししてきました。
市は、「下請けからの脱却」と「ものづくりを見せること」を後押ししてきた
八尾市は、2001年に「八尾市中小企業地域経済振興基本条例」を施行し、2011年に全部を改正しています。条例は、「地域産業の栄えるにぎわいのあるまちづくり」を目標に掲げています(八尾市:八尾市中小企業地域経済振興基本条例、2026年10月3日確認)。
市が2024年3月にまとめた「令和4年度・令和5年度八尾市産業振興会議 資料集」には、この条例の方針にもとづく「八尾市デザインイノベーション推進事業」が載っています。事業の目的は、「下請け、価格競争からの脱却」に向けて、市内の事業所が自社の強みを磨き上げ、地域の内外のデザイナーやクリエイター、販路先と出会う機会をつくることです。デザインの手法を使った勉強会やワークショップで自社の現状を分析し、自社をPRするための企画をまとめるほか、小売店のバイヤーなどと出会う場も設けたと書かれています(八尾市:令和4年度・令和5年度八尾市産業振興会議 資料集、2026年10月3日確認)。
同じ資料集には、近鉄八尾駅前の商業施設の8階にある「みせるばやお」の活動もまとめられています。地元の中小企業や大手企業、金融機関、行政が連携してつくった拠点で、2023年12月末の時点で、参画企業は135社、ものづくりなどの体験ワークショップは1,887回、来場者は111,071人でした。みせるばやおは、2018年8月に開いた「ものづくりのワザを魅せる場」で、ものづくり体験ワークショップを通じて、子どもたちをはじめとする来場者が楽しみながら市内企業の魅力を知ることができる場を目指すと書いています(みせるばやお:みせるばやおとは、2026年10月3日確認)。市は、みせるばやおの人材育成の活動が、第9回ものづくり日本大賞の人材育成支援部門で優秀賞を受けたことを紹介していて、その活動として、子ども向けのものづくりのワークショップや、ものづくりの現場を一般に公開するオープンファクトリー「FactorISM」を挙げています(八尾市:第9回ものづくり日本大賞の受賞のお知らせ、2026年10月3日確認)。FactorISMの公式サイトでは、2026年は107社のまちこうばが参加すると案内されています(FactorISM、2026年10月3日確認)。
取引先の工場の中でしか知られていなかった技術を、一般の人に見せ、自社の製品として届ける。八尾の市と会社が続けてきたのは、そういう取り組みだと私たちは読んでいます。そうであれば、自社のWebも、取引先に向けた入口と、一般の人に向けた入口の両方を考えて作るのが自然です。ワークショップや見学で会社を知った人は、帰ってからスマホで会社の名前や製品の名前を検索するからです。
Webでは、取引先向けと一般のお客様向けの入口を分ける
取引先向けの仕事と、自社の製品の両方がある会社のホームページは、1つのページに全部を並べると、どちらの読み手にも分かりにくくなります。私たちは、読み手ごとに入口を分けて、次のように考えるとよいと考えています。
| 読み手 | 知りたいこと | ページに置くもの |
|---|---|---|
| 取引先の担当者 | 何を、どの量で、どこまで頼めるか | 得意な加工や材料、設備、対応できる数量、相談の窓口 |
| 製品を買う一般のお客様 | どんな製品で、どこで買えて、どう使うのか | 製品ごとのページ、使い方や手入れの方法、買える場所(自社の通販、店頭、展示の場) |
| ワークショップや見学で会社を知った人 | さっきの会社は何をしている会社か。次はいつ体験できるか | 会社の一文の説明、体験や見学の案内、製品のページへの道筋 |
| 小売店のバイヤー | 卸の相談ができるか。作れる数と、届けられる時期の目安 | 卸の相談の窓口、製品の仕様、作り手としての会社の紹介 |
取引先の担当者が図面を持って探しに来るときに、何を書くかは、東大阪の町工場が、Webで新しい取引先に見つけてもらうために最初に整えることにまとめています。八尾の会社なら、それに加えて、一般のお客様向けの入口をどう作るかが、整理のポイントになります。
一般のお客様向けの入口では、会社の歴史や設備より先に、製品そのものの話を書きます。何に使う製品で、ほかの製品と何が違い、どこで買えるかです。自社の通販を始めるか、すでにある売り場に置くかは、作れる数と、問い合わせに答えられる人手で決めます。いきなり大きな通販のサイトを作るより、まず製品のページと、買える場所の案内を置くところから始めても十分です。
体験や見学で会社を知った人は、会社の名前を覚えていないことも多いはずです。「八尾 歯ブラシ」「八尾 ワークショップ」のように、地名と製品や体験の名前で検索されたときに、自社のページが出てくるかを確かめておきます。ChatGPTやGoogleのAIに「八尾で、ものづくりの体験ができる会社は」と聞かれたときも同じです。そのとき候補に入るかどうかは、Web上の情報で決まります。
- 自社のホームページ、八尾ものづくりnet.、Googleビジネスプロフィールで、社名、住所、何をしている会社かの説明が食い違っていないか
- 「八尾市の〇〇町で、〇〇を作っている会社」と、どこで何をしている会社かが一文で分かるか
- 製品の名前と会社の名前が、どちらで検索しても、同じ会社にたどり着けるか
どこで何をしている会社かを、AIが取り違えない形で書く手順は会社概要を、AIに正しく伝わる形に書く手順にまとめています。
八尾ものづくりnet.は、八尾市内の製造業の会社が登録できる企業検索のサイトで、業種や加工の内容から会社を探せます。市の案内では、登録と更新はいつでも無料です(八尾市:「八尾ものづくりnet.」がリニューアルしました!、2026年10月3日確認)。自社のホームページと、社名や仕事の説明の書き方をそろえておくと、検索やAIの答えでも同じ会社だと分かりやすくなります。
受注の仕事と製品の販売が混ざるなら、仕組みも一緒に考える
取引先から受ける仕事に加えて、自社の製品を一般のお客様に売り始めると、会社の中の仕事も増えます。取引先からの注文と、通販の注文、製品の在庫、ワークショップの予約、一般のお客様からの問い合わせが、それぞれ別の電話やメール、紙やExcelで管理されていると、少ない人数の会社ほど手が回らなくなります。
依頼先に「通販を始めたい」「システムを入れたい」と伝える前に、次のことを書き出しておくと、何から手をつけるかが決めやすくなります。
| 書き出すこと | 例 |
|---|---|
| 注文や予約が入ってくる経路 | 取引先からのファクスやメール、通販の注文、展示の場での注文、ワークショップの申し込み |
| それぞれを記録している場所 | 紙の台帳、担当者ごとのExcel、通販サイトの管理画面、誰かの頭の中 |
| いちばん手が回っていない仕事 | 在庫の数の確認、発送の手配、予約の受付、問い合わせへの返事 |
ワークショップや見学の予約を受けるなら、予約の仕組みを選ぶ前に決めておくことを予約管理システムの選び方。比較表を見る前に、自社の「予約の型」を書き出すにまとめています。Excelでの管理を見直す目安はExcelでの業務管理が限界になったときの、7つのサインが参考になります。
八尾で、依頼先を決める前に使える相談先
八尾には、依頼先を決める前の段階から使える相談先があります。大阪府全体の窓口は大阪で、システム開発やホームページ制作を頼むときの選び方に、関西の地域ごとの窓口は大阪・兵庫・関西で、Webやシステムを頼む前に相談できる公的な窓口。地域別のまとめにまとめています。
| 今の段階 | 相談先 | 確かめたこと(2026年10月3日) |
|---|---|---|
| ITやデジタル化、販路の開拓を、何から始めればよいか分からない | 八尾市立中小企業サポートセンター | 専門のコーディネーターが、業務のデジタル化やIT導入に向けた支援、販路開拓やビジネスマッチングの支援、新規事業の開発の支援などの相談に応じる。対象は中小企業と創業を予定している人で、相談は無料。窓口は八尾商工会議所と同じ建物にある(八尾市:中小企業サポートセンター) |
| 小さな会社で、使えるデジタルの道具を知りたい | 八尾商工会議所:デジタルツールお悩み相談のご案内 | 小規模事業者を対象に、無料で相談できる。人手不足や業務の効率化、ECサイトなどの新しい売上の柱づくりについて、申し込み後に聞き取りを行い、専門家が個別に助言する |
| 自社のホームページを新しく作る、みせるばやおに展示するなどの費用を、市の補助で一部まかなえるか知りたい | 八尾市:令和8年度 意欲ある事業者経営・技術支援補助金(区分1) | 市内の中小企業者が対象。販路開拓の対象経費として、自社ホームページを新たに開設する際の経費や、掲載するコンテンツ作成の外注費、みせるばやおへの展示などのためのコンテンツ作成の外注費が挙がっている。問い合わせ先は市の産業政策課 |
| 市内の製造業として、企業検索のサイトに会社を載せたい | 八尾ものづくりnet. | 市内の製造業の会社が、特徴や強み、保有する設備などを載せられる。登録と更新は無料 |
補助の対象や上限、申請の時期は、年度ごとに変わることがあります。申し込みや依頼先との契約の前に、必ず公式ページで最新の内容を確かめてください。
依頼先や相談先に会う前に、自社について次の3行を書いておくと、話が早くなります。「仕事の大半は、取引先から受ける部品の加工」「一般のお客様に届けたいのは、自社で作り始めた〇〇という製品」「ワークショップで会社を知った人に、製品のページまで来てほしい」のように、この記事の事情を自社に当てはめた一文にしておくと、そのまま依頼先や相談先への説明にも使えます。
依頼先には、読み手を何通りに分けたいかと、今の注文の流れを最初に伝える
依頼先を選ぶときに確かめたい点は、大阪で、システム開発やホームページ制作を頼むときの選び方にまとめていて、八尾の会社でも同じです。そのうえで八尾の会社なら、最初の打ち合わせで、次の3つを伝えてみてください。
- 仕事の中で、取引先向けの仕事と、自社の製品や体験が、それぞれどれくらいの割合か。これから、どちらを増やしたいか
- Webで見つけてほしいのは誰か。取引先の担当者、一般のお客様、体験で会社を知った人、小売店のバイヤーのうち、どこから先に増やしたいか
- 注文や予約が、今どの経路で入り、どこに記録されているか
この3つを聞いて、ページの見た目だけでなく、入口の分け方や、製品のページの書き方、注文や予約を受ける仕組みまで提案が変わる相手かどうかが、八尾の会社の事情まで考えてくれる依頼先かどうかの目安になります。
bundlyzeでは、大阪(グラングリーン大阪)を拠点に、大阪・兵庫を中心とした関西の会社からのご相談に対応していて、全国からオンラインでもご相談いただけます。SEO・LLMOの対策からWeb広告、ホームページ制作、システム開発、AIの活用までを一社で対応しているので、取引先とお客様のそれぞれに見つけてもらうためのホームページと、注文や予約を受ける仕組みを、分けずに一緒に考えられます。
よくある質問
取引先向けの仕事と自社の製品は、別々のホームページに分けたほうがいいですか?
八尾市の補助金で、ホームページの制作費を払えますか?
八尾ものづくりnet.に載っていれば、自社のホームページはなくてもよいですか?
誰に何を見せるかが分かれば、作るWebが決まる
八尾の会社がホームページや製品の販売、業務の仕組みを外に頼むときは、働く人の約3割が製造業で、少ない人数の工場が多いこと、市が下請けからの脱却を掲げて自社の強みを磨く事業を行ってきたこと、みせるばやおなどでものづくりを一般の人に見せる取り組みが続いていることの3つを、自社に当てはめてから依頼先と話すと、提案が具体的になります。整理に迷ったら、八尾市立中小企業サポートセンターや、八尾商工会議所の相談を頼れます。
まずは、自社の仕事を、取引先向けと一般のお客様向けに分けて、それぞれ一文で書き出すところから始めてみてください。
ご相談
Webからの集客について、いまの状況をお聞かせください。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。