この記事の結論
ホームページを外注するとき、任せてよいのは、デザイン、組み込み、撮影、サーバーの手入れのような「作業」です。
社内に残すのは、何を載せて何を約束するかの判断、最後に決める人、ドメインや計測のアカウントの名義、デザインや写真、ソースの元データ、そして契約をやめるときに何を受け取るかの取り決めです。
元データを受け取れるかは納品の範囲の話で、受け取ったデータを直したりほかの会社に渡したりしてよいかは著作権の話です。
著作権法では著作者は著作物を創作した人で、著作権を移すには譲渡が要るので、どちらも契約に書いておかないと自社の自由にならないことがあります。
費用は「外注か社内か」の二択で比べず、何にお金を払い、何に社内の時間を使うかで比べます。
外注のほうが必ず安いとは限らず、社内に作れる人を置くほうが合う会社もあります。
外注しても、決めることと持ち物は社内に残る
ホームページの外注で後から困るのは、作業の出来よりも、作業と一緒に「決めること」や「持ち物」まで外に出してしまったときだ、と私は考えています。
デザインの良し悪しは公開の前に目で確かめられます。
けれど、ドメインが誰の名義か、写真の元のデータがどこにあるか、契約をやめたら何が残るかは、困ったときに初めて表に出てきます。
この記事では、外注するかどうかを決めた後の段階で、何を任せて、何を手放さないかの線引きを書きます。
依頼の前に社内で決める項目と、依頼書のひな形はホームページ作成を依頼する前に、社内で決めておくことに、すでに外注先が管理しているサイトを引き取る手順はホームページの管理を引き継ぐ最初の1週間に分けて書いています。
任せてよい作業と、社内に残す判断を分ける
線を引くときは、仕事を「手を動かす作業」と「その作業の答えを決める判断」に分けてみます。
作業は外に出せます。
判断は、外注先に案を出してもらえても、決めるのは会社の側です。
| 仕事 | 外に任せやすい作業 | 社内に残す判断・持ち物 |
|---|---|---|
| 構成とデザイン | ページの構成案、デザインの案、組み込み | 誰に何を伝えるか、最後にどの案にするか |
| 原稿 | 話を聞いて文章にする、言い回しを整える | 会社の事実、約束することと約束しないこと |
| 写真 | 撮影、加工 | 載せてよいかの確認(人が写る写真は本人に) |
| ドメイン・サーバー | 取得や設定の手続き、証明書の設定 | 名義、更新の通知が届く先、管理画面に入れる人 |
| 計測 | タグの設定、数字のまとめ | アカウントの持ち主、何を数えるか |
| 公開後の修正 | 修正の作業、仕組みの更新 | 何を直すかの優先順位、公開してよいかの確認 |
| 契約 | (外には出せない) | 元データの扱い、やめるときに受け取るもの |
表の右の列は、どれも社内の誰かが答えを持っていないと、外注先は代わりに決めるか、止まるかしかありません。
特に原稿は、文章を書く作業は任せられても、「うちはこれを約束できる」「これは書かないでほしい」は会社の中にしかない答えです。
原稿の進め方はホームページの原稿が書けないときに書いています。
判断の役まで含めて外に頼みたい場合は、作業の外注とは別の頼み方になります。
その違いはWeb担当者がいない会社の対策にまとめました。
名義は会社で持ち、外注先には作業の権限だけを渡す
ドメイン、計測(Search ConsoleやGA4)、Googleビジネスプロフィール、ソースコードの置き場所。
こうしたアカウントは、外注先に作ってもらう場合でも、持ち主は会社にしておき、外注先の担当者には作業に要る権限だけを付けます。
外注先のアカウントの中に自社のサイトがある状態だと、担当者が替わったときや、別の会社に頼み直すときに、自社では何も決められません。
「.co.jp」のドメインは、JPRSの案内では日本国内で登記を行っている会社が登録でき、原則として1つの組織で1つです(JPRS:JPドメイン名の種類と対象、2026年10月5日確認)。
会社そのものに付く住所のようなものなので、手続きを外注先に頼んでも、登録者が自社になっているかは確かめておきます。
私たちのドメインを、JPRSのWHOISで引いてみました(2026年10月5日)。
組織名は自社、登録は2026年4月27日、状態の欄には「Connected (2027/04/30)」と、次の期限が出ます。
「.jp」で終わるドメインなら、登録している組織と期限は、こうして誰でも数分で確かめられます。
引き方と、制作会社の管理になっていたときの移し方はドメイン移管とはに書きました。
私たちのサイトは、ドメイン、公開の仕組み、計測、ソースコードがそれぞれ別のサービスにありますが、どれも会社のアカウントで持っています。
ソースコードは会社のGitHubの組織の中に置いています。
外注先にコードを触ってもらうことになったら、置き場所はこちらのまま、その人に権限を足す形にするつもりです。
アカウントごとの確かめ方の一覧は、引き継ぎの記事の表がそのまま使えます。
デザインや写真、ソースの元データは、契約に書かないと手元に来ないことがある
名義と同じくらい見落としやすいのが、公開されたページの「元」になるデータです。
デザインのファイル、撮影した写真の元の画像、ロゴのデータ、サイトのソースコード。
ページが見られれば十分に思えますが、別の会社に直してもらうときや、作り直すときに要るのはこちらです。
著作権法では、著作者は「著作物を創作する者」と決められています(第2条第1項第2号)。
著作権は全部か一部を譲渡でき(第61条第1項)、譲渡の契約で、翻案などの権利(第27条・第28条)が譲渡の対象として特に書かれていないときは、それらは譲渡した側に残ると推定されます(第61条第2項)。
契約書に「著作権を譲渡する」とだけ書くと、別の会社に手直しを頼むときに引っかかることがあるので、第27条・第28条の権利も含むと書いておくのが確実です。
また、著作者人格権は譲渡できません(第59条)。
いずれもe-Gov法令検索:著作権法で確かめました(2026年10月5日確認)。
会社の発意で、会社の業務に従事する人が職務上作り、会社の名義で公表するもの(プログラムは公表の条件なし)は、契約や勤務規則に別の定めがない限り、会社が著作者になる決まりがあります(第15条)。
外の会社に頼んで作ってもらうものをどう扱うかは、条文の当てはめを自分で考えるより、契約に書いておくほうが確実です。
法律の判断が要る場面では、弁護士などの専門家に確かめてください。
契約の前に、外注先と次のことを書面でそろえておきます。
- 納品されるもの:公開されたページだけか、デザインのファイル、写真の元の画像、ソースコードまで含むか
- 使ってよい範囲:ほかの会社に修正や作り直しを頼むときに、そのデータを渡して使ってよいか
- 外注先が持ち込むもの:素材集の写真やフォント、外注先の独自の仕組みのように、自社のものにならない部品があるか
3つ目は、責めるような話ではありません。
有料の素材や、外注先が多くの会社で使い回している仕組みは、譲ってもらえないのが普通です。
知りたいのは、それが何で、契約が終わった後にどうなるかです。
公開した後の修正は、頼み方と待ち時間を先に決める
外注したサイトは、公開した日から、直すたびに誰かに頼む形になります。
電話番号が変わった、お知らせを1件足したい、採用の募集を閉じたい。
こうした小さな修正のたびに、誰が、どこに、どう頼むのかが決まっていないと、頼むのが面倒になって、古い情報が残ります。
契約の前に、外注先と次の3つを決めておきます。
修正を頼む窓口と方法(メールか、決まった様式か)。
月額や保守の料金に含まれる修正の範囲と、含まれないときの扱い。
頼んでから直るまでの目安の日数です。
お知らせのように社内で頻繁に足すものがあるなら、そこだけ自分で更新できる仕組みにする選び方もあります。
仕組みごとの違いはホームページを自分で更新する方法は4つに、WordPressで作るときに続く手入れはWordPressのデメリットは、作った後の更新にあるに書いています。
ページの中身とは別に、期限のあるものの手入れもあります。
ドメインの更新、証明書の更新、CMSやプラグインの修正です。
私たち自身、2026年9月に、wwwなしのアドレスの証明書だけが、以前のサーバーの仕組みのせいで自動で更新できない形になっていることに対処し、自動で更新される仕組みに移しました。
wwwありのほうは問題がなかったので、気づくのが遅れやすい所でした(SSL証明書の期限切れを防ぐ)。
外注するなら、こうした期限を見ているのが外注先なのか、自社なのか、通知のメールが誰に届くのかを、言葉にしておきます。
外注先から抜けられなくなるのは、やめ方を決めずに始めたとき
外注先を変えたいのに変えられない、という状態は、たいてい契約の始めに「やめるとき」の話をしなかったことから生まれます。
始める前は関係がよいので、やめる話はしにくいものです。
それでも、やめ方を聞くのは相手を疑うことではなく、どちらにとっても後で揉めないための確認です。
聞いておくのは次のようなことです。
| 聞くこと | 答えで分かること |
|---|---|
| 契約をやめるとき、何日前までに伝えればよいか | 最低の利用期間や、解約の手続き |
| やめたとき、ドメインとサーバーはどうなるか | 名義が外注先にあるなら、移すのに何が要るか |
| やめたとき、渡してもらえるデータは何か | デザイン・写真・ソース・お知らせの記事の書き出し |
| 外注先の独自の仕組みで作るか | 別の会社では同じ形で動かせない部分があるか |
| 月額の料金に、作ったときの費用が含まれているか | 途中でやめると残りを払う形になっていないか |
最後の質問は、初期の費用をかけずに月額で始める契約のときに特に大事です。
月額の中に制作の費用を分けて含めている契約だと、やめる時期によって扱いが変わることがあるからです。
外注先と連絡が取れなくなってから引き取る場合の手順は、業務システムの話ですがシステムを作った会社と連絡が取れないに書いています。
費用は「外注か社内か」ではなく、何にお金と時間を払うかで比べる
ここでも金額の目安は出しません。
外注先によって見積もりに入る作業がばらばらで、数字だけを並べると、むしろ判断を誤りやすいと思うからです。
見積もりの並べ直し方は大阪でホームページ制作の会社を選ぶときの費用の節に譲り、ここでは外注と社内の比べ方だけを書きます。
外注で払うのは、作ったときの費用と、続けてかかる費用、それに範囲の外の修正を頼んだときの費用です。
社内で持つ場合は、外に払うお金は小さく見えても、担当する人の時間、覚えるための時間、使う道具の費用がかかります。
そして、その人が休んだり辞めたりしたときに、誰も直せなくなる心配が残ります。
どちらが安いかは、会社によって変わります。
外注すると、人を雇う固定の負担を持たずに、要る分だけ頼めます。
一方で、更新が毎日のようにある会社や、サイトを事業の中心で動かしている会社では、作れる人を社内に置くほうが、待ち時間もなく、結果として合うことがあります。
私たちは、話を聞いて社内で人を雇ったほうが合うと考えたときは、そうお伝えしています。
雇うか外に頼むかの比べ方は、業務システムとAIの話が中心ですが社内にAIも使えるエンジニアを1人雇うか、外部に任せるかにまとめています。
外注と社内のどちらにしても、この記事の前半に書いた「判断」と「持ち物」は社内に残ります。
外注で減らせるのは手を動かす時間で、決める時間はなくなりません。
大阪・兵庫で外注先を探す前に
線引きができたら、外注先を探す段階に進みます。
大阪の会社なら大阪でホームページ制作の会社を選ぶとき、神戸や兵庫の会社なら神戸・兵庫でホームページ制作の依頼先を選ぶに、候補の絞り方や使える公的な相談先を書いています。
いまのサイトを作り直すべきか、直せば足りるかで迷っているなら、外注の範囲そのものが小さくなることもあるので、先にホームページのリニューアルは必要かを読んでみてください。
打ち合わせでは、この記事の表を手元に置いて、「どこまでを任せて、どこを自社に残すつもりか」をこちらから先に伝えると、外注先の答えも具体的になります。
名義や元データの話に、はっきり答えてくれるかどうかも、比べる材料になります。
任せる作業を決める前に、手放さないものを決める
ホームページの外注は、作業を減らすための選び方です。
何を載せるかの判断、最後に決める人、名義、元データ、やめ方の5つを社内に残しておけば、外注先を変えることになっても、サイトは自社のものとして続けられます。
逆に、この5つが外にあると、どれだけ出来のよいサイトでも、自社では動かせません。
よくある質問
ホームページを外注するとき、自社に残すべきものは何ですか?
ドメインは外注先に取ってもらっても大丈夫ですか?
外注して作ったデザインや写真は、自社のものになりますか?
ホームページは外注と社内で作るのと、どちらが安いですか?
外注先を変えられなくならないために、契約前に何を聞けばいいですか?
bundlyzeは、大阪市北区のグラングリーン大阪を拠点に、大阪・兵庫を中心とした関西の会社のホームページ制作と、公開した後の運用を受け持っていて、打ち合わせはWeb会議でも対面でもできます。
この記事を書いた津嘉山は、業務システム開発とAWSを専門とするエンジニアで、自社のサイトも、ドメインやアカウントを会社の名義で持つ形で、自分で組み立てて運用しています。
まずは、自社のドメインが「.jp」で終わるなら、JPRSのWHOISで引いて、組織名の欄に自社の名前が出るかを確かめてみてください。
ご相談
ホームページやLPについて、いまの状況をお聞かせください。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。