この記事の結論
Web広告の運用代行で成果が出るかどうかは、依頼する前にほぼ決まります。何を成果とするか(問い合わせ、予約、資料請求など)、それをどう数えるか、毎月の報告で何を見るかを、依頼する側が先に決めておくことです。とくに「広告から来た問い合わせが、実際の商談や売上になったか」まで追える状態にしておくと、運用の良し悪しを数字で話せるようになります。
頼み先は、大きく3種類ある
運用を任せる先は、大きく分けて次の3つです。どれが良いかは、社内にどれだけ手と知識があるかで変わります。
| 頼み先 | 向いている会社 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 広告代理店 | 広告の種類が多い、予算が大きい | 担当者が誰で、どれくらいの数の会社を受け持っているか |
| フリーランス(個人) | 1つの広告媒体で、小さく始めたい | 病気や休みのときの体制、引き継ぎ |
| 社内運用の支援(インハウス支援) | いずれは社内で運用したい | 社内に、学ぶ時間と担当者を確保できるか |
どれを選ぶにしても、次に書く「成果の定義」と「計測」を自社で持っておくことが、うまく任せるための前提になります。
任せる前に、「何を成果とするか」を決める
広告の運用を任せるときに、いちばん多い行き違いは、成果の定義がずれていることです。
運用する側は、クリック数やクリック単価、サイト上での「コンバージョン」の数を見ています。一方、依頼した側が知りたいのは、「問い合わせが増えたか」「その問い合わせが仕事になったか」です。この2つは、同じとは限りません。
たとえば、フォームの送信ボタンが押された回数をコンバージョンとして数えている場合、いたずらや営業の売り込みも1件に入ります。数字は増えているのに、仕事は増えていない、ということが起きます。
依頼する前に、次の3つを決めておきます。
- 成果とする行動。 問い合わせ、予約、資料請求、電話など。1つに絞るのが理想です
- 数え方。 何が起きたら1件と数えるか。フォームの送信か、完了画面の表示か、電話の発信か
- その先の確認方法。 広告経由の問い合わせのうち、何件が商談や成約になったかを、誰がどう確認するか
広告から来た問い合わせだと、分かる状態にしておく
3つ目の「その先の確認」をするには、問い合わせが届いた時点で、その人がどこから来たかが分かっている必要があります。
私たちの会社のサイトでは、問い合わせが届くと、その人が最初に入ってきたページと、どこから来たか(検索、SNS、広告など)が一緒に記録されるようにしています。広告のリンクに付く計測用の印(Google広告の gclid、Meta広告の fbclid、utm_source などのパラメータ)も、問い合わせと一緒に残ります。
こうしておくと、「今月の問い合わせ10件のうち、広告から来たのは何件で、そのうち何件が商談になったか」を、あとから確かめられます。運用会社の報告だけに頼らず、自社の手元に答え合わせの材料が残ります。
計測の設定は、運用会社に任せきりにしないのがおすすめです。設定の中身を自社でも把握しておくと、運用会社を変えたときにも、数字の比較が途切れません。
アカウントは自社の名義で持ち、運用会社には権限だけを渡す
広告と計測のアカウントは、運用会社に作ってもらうのではなく、自社の名義で持ちます。運用会社には、IDとパスワードを渡すのではなく、それぞれのサービスの仕組みで権限を付けます。
| サービス | 権限の付け方 |
|---|---|
| Google広告 | 管理者、標準、読み取り専用、メール専用、お支払いとご請求のアクセスレベルから選んで招待する(Google 広告 ヘルプ:アクセスレベル) |
| Meta広告(Facebook・Instagram) | 自社のビジネスポートフォリオに担当者を追加し、広告アカウントなどの資産を割り当てる(Metaビジネスヘルプセンター) |
| GA4・Googleタグマネージャー | 作業に要る役割だけを付ける。管理者は社内に置く |
こうしておけば、運用会社を変えるときも、権限を外して新しい会社に付け直すだけで済み、配信の記録と計測の設定が手元に残ります。
私たちの会社でも、GA4、Googleタグマネージャー、Google広告、Search Consoleは会社名義のアカウントで持ち、作業する人には必要な権限だけを付けています。権限の分け方と、付けるときに確かめたことは、Web担当がいない会社のための、外部Web責任者という選択肢に書いています。
毎月の報告書で、見るべき項目
報告書は、項目が多ければ良いわけではありません。依頼する側が判断に使えるかどうかが大事です。最低限、次の項目が入っているかを確認します。
| 項目 | 何が分かるか |
|---|---|
| 使った広告費 | 予算どおりに使われているか |
| 成果の件数(最初に決めた定義で) | 広告が目的どおりに働いているか |
| 1件あたりの費用 | 前の月や、他の集客手段と比べて高いか安いか |
| 成果の中身 | 実際に仕事につながりそうな問い合わせだったか |
| 先月から変えたこと | 運用会社が何を考えて、何を試したか |
| 来月やること | 次の打ち手と、その理由 |
とくに下の2つ、「先月から変えたこと」と「来月やること」が書かれていない報告書は、数字を並べているだけになりがちです。運用とは、数字を見て手を入れ続けることです。その中身が見えるかどうかで、任せている相手の仕事ぶりが分かります。

契約の前に聞いておきたい質問
打ち合わせの段階で、次の質問をしておくと、任せてからの行き違いが減ります。
- 毎日、数字を見て調整するのは誰ですか
- その人は、ほかに何社を担当していますか
- 何を成果として数えますか。その設定は誰が行いますか
- 報告は、いつ、どんな形で届きますか
- 報告には、先月変えたことと、来月やることが書かれますか
- 広告アカウントは、誰の名義で作りますか
- 広告の行き先のページも、一緒に見直してもらえますか
- 契約を終えるとき、これまでの記録やデータはどうなりますか
答えがはっきりしない項目があれば、それが契約前に詰めておくべき点です。
手数料の決まり方は、3つの型がある
運用代行の手数料の決まり方は、大きく次の3つの型に分かれます。金額は会社ごとに違うので、ここでは型の違いだけを整理します。
| 型 | 仕組み | 気をつけること |
|---|---|---|
| 広告費の一定割合 | 使った広告費に応じて手数料が決まる | 広告費を増やすほど手数料も増えるので、増やす理由を確かめる |
| 定額 | 広告費にかかわらず、毎月決まった額 | 作業の範囲(何をどこまでやるか)を契約で確かめる |
| 成果報酬 | 問い合わせなどの成果の数で決まる | 成果の数え方を最初に細かく決めておく |
比べるべきは、手数料の額そのものより、その手数料でどこまでの作業をしてもらえるかです。
よくある行き違い
- 広告のクリックは増えたが、問い合わせは増えない。 広告の先にあるページが、問い合わせにつながる作りになっていないことがあります。広告だけでなく、行き先のページも一緒に見直す必要があります(問い合わせが来るホームページ・LPの作り方)
- 成果の数え方が、途中で変わっている。 設定を変えた月の前後で、数字が比べられなくなります。変えたときは、報告書に明記してもらいます
- 広告のアカウントが、運用会社の名義になっている。 契約を終えたときに、これまでの配信の記録を引き継げないことがあります。アカウントは自社の名義で作り、運用会社には権限を渡す形が安全です
- 問い合わせの後のことを、運用会社が知らない。 どの問い合わせが仕事になったかを共有しないと、運用会社は「数が多い広告」に寄せていきます。質の良い問い合わせを増やすには、結果を伝え返すことが欠かせません
自社側で、用意しておくこと
運用を任せても、自社でしかできないことがあります。
- お客様について知っていること。 どんな人が、どんな悩みで、どんな言葉で探しているか。広告の文言の材料になります
- 問い合わせの結果の共有。 月に1回、広告経由の問い合わせが商談や成約になったかを伝えます
- 判断する人。 予算を増やす、止める、行き先のページを変える。決める人がはっきりしていると、運用の手が止まりません
広告だけで考えないほうがいい場合
広告は、出している間だけ人を連れてくる仕組みです。止めれば、流入も止まります。
検索で見つけてもらえる記事やページを積み上げる、SNSで接点を持ち続ける、といった手段と組み合わせると、広告に頼りきらない集客になります。
私たちは、自社の集客には広告を使わない方針にしています。検索、AI検索、地図、外部での言及から問い合わせを受けられるようにして、その経過を実践記録に残しています。ただ、この方法は効き始めるまでに時間がかかります。早く問い合わせを集めたい時期や、試したい商品があるときは、広告のほうが向いています。検索やAIに見つけてもらうための考え方は、LLMOとは?の記事にまとめています。広告の運用だけを切り出して任せるより、集客全体の中で広告の役割を決めてから任せるほうが、結果として無駄が出にくくなります。成果の決め方と計測から一緒に組み立てる私たちの運用支援は、Web広告の運用代行にまとめています。
よくある質問
少ない予算でも、運用を任せる意味はありますか?
運用会社を変えるとき、気をつけることはありますか?
大阪・兵庫の会社ですが、相談できますか?
任せる前に決めたことが、そのまま成果になる
Web広告の運用代行は、任せる相手の腕も大切ですが、それ以上に、依頼する側が「何を成果とし、どう確かめるか」を決めているかで結果が変わります。
いま広告を出しているなら、まずは先月の問い合わせのうち、広告から来たものが何件あり、そのうち何件が仕事になったかを確かめてみてください。答えがすぐに出なければ、そこが最初に整えるところです。
ご相談
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「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。

