この記事の結論
システムのリプレイス(刷新)は、
始めるのは見積もりを取ることではなく、今のシステムのどこを変えて、どこを変えないかを書き出すことです。
IPA(情報処理推進機構)の
同じガイドは、再構築では「現行踏襲
進め方は、今のシステムの調べ、目的と求めることの整理、やり方の選択、見積もりと契約、データの移行と並行稼働、切り替えと片づけ、の順です。
費用は、範囲、やり方、今の資料が残っているか、データの量、つながる先、止められる時間で変わります。
株式会社bundlyze(バンドライズ)は、
「保守の
「作った
リプレイスの相談は、たいていどちらかの事情から始まります。
この記事は、業務システムを入れ替える計画の立て方に絞って書きます。
データの移し方の細かいところは業務システムを入れ替えるときのデータ移行に、社内のサーバーをクラウドへ移すときの手順と費用は社内のシステムとサーバーをクラウドへ移す進め方に、出来合いのサービスにするか作るかの判断はSaaSか、オーダーメイドかにまとめています。
システムのリプレイスとは?刷新・マイグレーションとの違い
リプレイスは、今使っている業務システムを、新しいシステムに置き換えることです。
刷新、再構築とも呼ばれ、言葉の使い方は会社や本によって違います。
IPAのガイドも、手法の名前の定義は企業や書籍によって異なると断ったうえで、自分たちの分け方を示しています(IPA:システム再構築を成功に導くユーザガイド 第2版(PDF)の1章の注意点、2026年10月30日確認)。
この記事では、次の意味で使います。
| 言葉 | この記事での意味 |
|---|---|
| リプレイス・刷新・再構築 | 今の業務システムを、新しいシステムに入れ替えること全体 |
| マイグレーション | 今のシステムの中身(プログラムや |
| レガシーシステム | 長く使い続けるうちに、中身が分かる人や資料が減り、直すのが難しくなった古いシステム |
| モダナイゼーション | 移すだけでなく、今の技術や業務に合わせて作りを新しくすること |
言葉の違いより大事なのは、自社の話がどれに当たるかを、頼む前に自分の言葉で書いておくことです。
「刷新したい」の
リプレイスのやり方は4つ、何を変えるかで決まる
IPAのガイドは、今のシステムのどの段の設計を残すかで、やり方を4つに分けています。
業務の仕様、動く土台(基盤)、
| やり方 | 業務の仕様 | 動く土台 | 言語 | 向く場合 |
|---|---|---|---|---|
| ハードウェア更改 | 変えない | 変えない | 変えない | 機械の保守の期限が来たが、中身には困っていない |
| リホスト | 変えない | 変える | 変えない | OSやサーバーの環境を替えたいが、プログラムはそのまま動かしたい |
| リライト | 変えない | 変える | 変える | 今の言語を直せる人がいない。動きは今のままでよい |
| リビルド | 変える | 変える | どちらでも | 業務のやり方が変わった、今の作りでは直しにくい |
同じガイドは、リビルドは保守のしやすさや業務への合わせやすさを、リホストやリライトより高められる一方で、費用と、業務をよく知る人が関わる度合いがより大きくなる、としています。
リホストとリライトは、今の資産を使うので業務の動きは再現しやすいが、保守のしやすさは今と同じ、とも書いています。
このほかに、業務に合う出来合いの製品(パッケージや
ガイドも、パッケージ製品を使う場合は、計画で決めることの時期と中身が違うとして、別に章を立てています。
1つのシステムを1つのやり方で決めつけないほうがよい、と私は考えています。
ガイドも、同じシステムでも業務や部分ごとに合うやり方は違うことがあり、複数を候補にしてよい、としています。
画面の入力はリビルドで使いやすくし、夜中に動く集計の処理はリホストで今のまま動かす、といった分け方です。
いちばん揉めやすいのは「今と同じで」という頼み方
リプレイスで多い頼み方が「機能は
IPAのガイドは、この「現行踏襲」の
頼む側は、今動いているシステムがそのまま引き継がれることを期待します。
作る側は、作るために「今と
長く使ったシステムでは、この2つが合っていないことがよくあります。
ガイドは、仕様を変えたときに関わる業務の資料を直し忘れた、障害の対応でプログラムだけを直して資料は直さなかった、といった例を挙げ、資料とプログラムと動いているシステムの間にずれが生まれる、としています。
そのため、ガイドは、企画の段階で、機能と機能以外のことの両方について、今から変えるのか変えないのかをはっきりさせ、その結果を提案の依頼書(RFP)や
はっきりさせられない部分が残るときは、その部分があることと、要件定義の段階でどう決めるかを、依頼書に書いておくことが大事だ、としています。
書き出すときは、次の表を使うと抜けが減ります。
| 書き出すもの | 確かめること |
|---|---|
| 画面 | どの画面を誰が使っているか。使っていない画面はどれか |
| 帳票 | 印刷やPDFで出しているもの。取引先に出す書式は、1文字単位で同じにする必要があるか |
| 夜中や月末に動く処理 | 集計、データの受け渡し、バックアップ。誰も気づかないまま動いているものがないか |
| つながる先 | 会計ソフト、取引先とのデータのやり取り、社内のほかのシステム |
| 速さ | 今どれくらいの時間で返ってくるか。遅くなってもよい画面はどれか |
| 変えたいこと | 今の不満。入れ替えの機会に直したいこと |
「今と
要件の決め方そのものは要件定義とはにまとめています。
システムリプレイスの進め方は?6つの段に分ける
私は、次の6つの段で考えます。
IPAのガイドの手法の選び方も、今のシステムの調べと、新しいシステムに求めることの整理を先にして、そのあとでやり方の候補を選ぶ順になっています。
- 今のシステムを調べる:前の表を埋める。資料、プログラム、契約の名義、保守の期限を集める
- 目的と求めることを書く:なぜ今入れ替えるのか(期限、
直せる人がいない、業務が変わった)と、 変えないこと・変えたいこと - やり方を選ぶ:4つのやり方とパッケージ・SaaSから、部分ごとに候補を選ぶ
- 見積もりと契約:同じ前提の書面で見積もりを取り、作業の範囲と契約の形を決める
- データの移行と並行稼働:何を移すかを決め、新旧を並べて動かして結果を比べる
- 切り替えと片づけ:戻す手順を用意してから切り替え、業務の山を1回越えてから古いシステムを止める
段の1と2を飛ばして、いきなり見積もりを取りにいくと、会社ごとに前提が違う見積もりが並び、比べられなくなります。
見積もりの読み方は業務システムの見積もりの読み方に、請負と準委任の違いはシステム開発の契約は「請負」か
段の5は、思っているより手間がかかります。
画面を作る仕事とは別に数えておかないと、使い始める日の朝に、今日までのデータが入っていない、ということが起きます。
リプレイスの費用は何で変わる?
リプレイスの費用は、同じ「入れ替え」でも、
私が見積もりの前に確かめるのは、次の6つです。
| 変わる理由 | 費用への響き方 |
|---|---|
| 範囲 | 入れ替える画面・帳票・処理の数。使っていない機能を削れば下がる |
| やり方 | 一般に、ハードウェア更改、リホスト、リライト、リビルドの順で、作り直す量が増える |
| 今の資料が残っているか | 設計書が古い、プログラムしかない、という場合は、今の動きを調べる作業が増える |
| データの量と状態 | 件数、表記のゆれ、重複。整える手間がそのまま作業になる |
| つながる先の数 | 会計ソフトや取引先とのやり取りが多いほど、つなぎ直しと確かめが増える |
| 止められる時間 | 短いほど、並行稼働の期間や、夜間・休日の切り替えの作業が要る |
入れ替えたあとに毎月かかる費用も、作る費用とは別に並べます。
保守の契約で決めることはシステムの保守契約で確かめることに、毎月の費用の下げ方は業務システムの運用コストを下げるにまとめています。
bundlyzeが受け持つ場合の金額は、今のシステムを調べた結果を見てからのお見積もりです。
リプレイスが失敗しやすいのはどんなとき?
IPAのガイドの紹介ページは、再構築で失敗やトラブルが起きる大きな原因として、今のシステムの仕様が時間とともにあいまいになったまま、それをもとに新しいシステムの開発を始めてしまうことを挙げています(IPA:システム再構築を成功に導くユーザガイド 第2版、2026年10月30日確認)。
ガイドの本文も、長い保守のあいだに業務の知識が細かく分かれ、ばらばらになった状態のまま進めると、工期・費用・品質のトラブルにつながる、としています。
ずれは頼む側と作る側の間だけでなく、頼む側の社内でも、システムの担当と実際に使う部署の間で起きることがある、とも書いています。
私が危ないと考えるのは、次のようなときです。
- 「今と
同じ」の 中身を、誰も書き出していない - 今のシステムをいちばんよく知る人が、計画に関われない
- データの移行が、見積もりにも日程にも入っていない
- 入れ替えの機会に、業務のやり方も大きく変えようとしているのに、その分の時間を見ていない
- 古いシステムを、切り替えの直後に止める予定になっている
IPAのガイドも、入れ替えと同時に業務の要件を変えたり足したりすると、今と同じにする部分と変えた部分との整合を取るのが難しくなり、品質を保つ難しさが非常に高くなる、としています。
変えることを1つずつ決めてから進めるほうが、結果として早く終わると私は考えています。
作った会社と連絡が取れない・資料がないときは
古いシステムでよくあるのが、作った会社と連絡が取れない、設計書が見つからない、という状態です。
この場合は、入れ替えの計画より先に、今のシステムの中身と、契約やサーバーの名義を取り戻す作業が要ります。
最初にやることはシステムを作った会社と連絡が取れないときに書きました。
資料がなくても、入れ替えはできます。
ただ、今の動きを画面とデータから調べ直す作業が増えるので、その分の時間と費用を最初の計画に入れておきます。
私がリプレイスの相談で最初に聞くこと
bundlyzeは業務システムを受託で開発していて、受託で培った技術で自社のサービスも開発し、運用しています。
2026年9月には、自社のドメイン(wwwの
システムの入れ替えではありませんが、切り替える前に、書き換える値と触らない値を全部書き出し、元に戻す手順を先に書いてから切り替えました。
そのときの手順はSSL証明書の期限切れ。
切れたときの直し方と、自動で更新される仕組みへの移し方に書いています。
入れ替えの作業そのものより、何が今どうなっているかを書き出す準備のほうに時間がかかる、というのが、そのときの実感です。
リプレイスの相談で私が最初に聞くのは、なぜ今入れ替えるのか、と、入れ替えたあとも絶対に変えてはいけないものは何か、の2つです。
前者で、期限から逆算した日程と、やり方の候補が決まります。
後者で、
よくある質問
システムのリプレイスとは何ですか?
リプレイスとマイグレーションは何が違いますか?
レガシーシステムの移行は、何から始めればいいですか?
リホスト、リライト、リビルドはどう選べばいいですか?
「今と同じ機能で」と頼めば、見積もりは出せますか?
リプレイスの費用は何で決まりますか?
リプレイスは、業務を止めずにできますか?
作った会社と連絡が取れず、資料もありません。入れ替えられますか?
出来合いのサービスに乗り換えるのと、作り直すのは、どちらがよいですか?
bundlyzeは大阪市北区のグラングリーン大阪を拠点に、業務システムの開発と、今のシステムからの入れ替え・データの移行を受け持っています。
全国からご相談いただけます。
打ち合わせはWeb会議でも、対面でも可能です。
この記事を書いた津嘉山は、業務システム開発とAWSを専門とするエンジニアで、業務システムの要件定義から開発、保守運用までを経験しています。
入れ替えの予定がまだ先でも、今のシステムで「これだけは
業務システムについて、
いまの状況をお聞かせください
「何から
相談の前に、いまの見え方だけ知りたい場合は
4つのAIに10の質問をした記録と、サイトの点検の結果を、30分ほどでご説明します。費用はかかりません。