この記事の結論
業務システムの運用コストを下げるときは、いきなり削らずに、まず費用を4つに分けます。
クラウドやサーバーの利用料、ソフトやサービスの利用料、保守を外に頼んでいる費用、そして社内の人が手で回している作業の時間です。
分けたら、それぞれに「誰が
そのうえで、使っていない時間とものを止める、予算を超えそうなときの通知を置く、保守の中身を必要な範囲に合わせる、の順に見直します。
AWSは、平日の8時間ほどしか使わない開発やテストの環境を使わない時間に止めれば、費用を75%減らせる
経済産業省のDXレポート(2018年)は、
バックアップ、監視、セキュリティの更新は、削る対象から外して考えます。
「システムの
「保守の
運用コストの話は、たいていこの2つのどちらかから始まります。
この記事では、業務システムを動かし続けるための費用を、どこから見直すかを書きます。
作る前の見積もりの読み方は業務システムの見積もりの読み方に、保守契約で確かめることはシステムの保守契約で確かめることにまとめました。
運用コストは、クラウドの請求額だけではない
運用コストと聞くと、クラウドやサーバーの請求書を思い浮かべます。
けれど、システムを動かし続けるためにかかっている費用は、それだけではありません。
私は、次の4つに分けて書き出すところから始めます。
| 分け方 | 中身の例 | 見落としやすいところ |
|---|---|---|
| 基盤 | クラウドやレンタルサーバー、ドメイン、証明書、データの置き場 | 使っていない環境や、昔の試作が動いたまま |
| ソフトとサービス | 業務ソフトの利用料、外部サービス、メールの送信 | 人数で数える契約で、辞めた人の分が残っている |
| 保守の委託 | 開発した会社への保守費、障害のときの対応 | 何をしてもらっているかが書かれていない |
| 社内の手間 | 手での更新、データの書き写し、毎月の集計、問い合わせへの対応 | 請求書に出ないので、数えられていない |
4つ目の社内の手間は、請求書には出てきません。
ただ、毎月だれかが2日かけてデータを書き写しているなら、それも運用コストです。
クラウドの費用を少し下げるより、この手間を減らすほうが効くこともあります。
書き出したら、それぞれの行に「誰が
払っている人と中身を知っている人が違う行、どちらも空欄の行が、見直しの候補です。
経済産業省のDXレポート(2018年9月)は、
同じレポートは、短い目で開発した結果、長い目で保守費や運用費が高くなっている状態を「技術的負債」と
大きな会社を前提にした数字ですが、中小企業でも、毎月の固定の費用が新しいことに使えるお金を食っている、という構図は同じだと私は考えています。
使っていない時間とものを止める
最初に手を付けやすいのは、使っていないのに動いているものです。
AWSは、費用を最適化するための設計の考え方の中で、開発やテストの環境は平日に1日8時間ほどしか使わないことが多く、使わない時間に止めれば、1週間168時間の稼働が40時間になり、費用を75%減らせる
使った分だけ払う形のクラウドなら、止めた時間の分は払わずに済みます。
止める前に、そのものが何のために動いているかを確かめます。
クラウドの中に、名前だけでは用途が分からないサーバーやデータベースが残っていることは珍しくありません。
AWSなら、リソースに「タグ」という
「どの
ソフトやサービスの契約も同じです。
人数で数える契約なら、今使っている人の数と、契約している数を並べます。
同じことをする道具を2つ契約していないかも見ます。
予算を超えそうなときの通知を、先に置いておく
運用コストが「いつの
削るより先に、気づく仕組みを置いておくほうが、後の手間が少なくて済みます。
AWSの「AWS Budgets」では、
予算の情報は1日に最大3回更新される、とされています(AWS:AWS Budgets によるコストの管理、
更新に時間差があるので、通知を受けた時点で、すでにいくらか使っていることは前提にしておきます。
通知の届け先は、請求を見る人と、中身を知っている人の両方にします。
片方だけだと、
サーバーを持たない形にすると、減るものと残るもの
自前のサーバーを1台持って、画面もデータもそこで動かしている場合、使っていない夜も費用がかかり、OSの更新や証明書の更新も人の手で続けることになります。
呼ばれたときだけ動くクラウドの関数や、管理されたデータベースに分けて載せると、こうした手間の多くをクラウドの側に任せられます。
AWSも、マネージドサービスを使うことで、OSやアプリケーションの管理に伴う運用の負担がなくなる、と説明しています(前に
その構成は小さな会社の管理画面を、サーバーを持たずに作る構成に書きました。
私たちも、自社のドメインのうち、wwwなしの名前の証明書が自動で更新できない形だったものを、自動で更新される仕組みへ移しました。
証明書の更新を人の手で覚えておく必要は、これでなくなりました。
経緯はSSL証明書の期限切れ。
切れたときの直し方と、自動で更新される仕組みへの移し方にまとめています。
ただ、サーバーを持たない形にすれば何でも安くなる、とは考えていません。
ずっと高い負荷で動き続ける処理なら、使った分だけ払う形のほうが高くつくこともあります。
移すための作業にも費用がかかります。
減るのは主に「持っているだけで
移すかどうかは、上の4つの表で、どの行がいちばん重いかを見てから決めます。
保守の費用は、中身を書き出してから見直す
保守の費用が高いと感じたとき、契約をやめるか、値下げを頼むかを考えがちです。
その前に、保守で何をしてもらっているかを書き出します。
- 障害が起きたときの調べと直し
- OSやソフト、使っている部品の更新
- バックアップが取れているかの確認と、戻せるかの試し
- 小さな修正や、項目の追加
- 問い合わせへの回答
書き出してみると、
その場合、直すべきは保守の値段ではなく、何度も直しが要る作りのほうかもしれません。
DXレポートが「技術的負債」と
逆に、バックアップの確認や更新のように、見えないところで続けている仕事を削ると、費用は下がっても、止まったときに戻せなくなります。
私は、バックアップ、監視、セキュリティの更新の3つは、削る対象から外して考えるようにしています。
保守契約で何を決めておくかは、システムの保守契約で確かめることに詳しく書きました。
私が運用コストの相談で最初に聞くこと
bundlyzeは業務システムを受託で開発していて、受託で培った技術で自社のサービスも開発し、運用しています。
自分たちで運用もしているので、作った後にかかる費用と手間は、作る前の設計でかなり決まることを実感しています。
運用コストの相談で、私が最初に聞くのは、毎月の請求書が誰のところに届いているかと、システムの中身を説明できる人が社内か外にいるか、の2つです。
金額を下げる手はその後に考えます。
中身を知る人がいないまま削ると、何が止まるかが分からないからです。
よくある質問
システムの運用コストには、何が含まれますか?
業務システムの運用コストを削減するには、何から始めればいいですか?
クラウドに移せば、運用コストは必ず下がりますか?
AWSの費用が毎月増えている原因は、どう調べればいいですか?
保守費を下げたいのですが、保守契約をやめても大丈夫ですか?
運用コストの見直しを外部に相談するとき、何を用意すればいいですか?
bundlyzeは大阪市北区のグラングリーン大阪を拠点に、業務システムの開発と、クラウドの構成の整理・移行・運用の整備を受け持っていて、運用コストの相談も、費用の内訳と持ち主を書き出すところから受けています。
全国からご相談いただけます。
打ち合わせはWeb会議でも、対面でも可能です。
この記事を書いた津嘉山は、業務システム開発とAWSを専門とする技術責任者です。
まずは、先月の請求書を全部集めて、4つの分け方のどこに入るかを書き出してみてください。
サーバーやクラウドの運用について、
いまの状況をお聞かせください
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