この記事の結論
ホームページの管理を引き継ぐとき、最初の1週間でやることは、作り直しや設定の変更ではなく、何が誰の名義で、誰が入れるのかを確かめて、会社として管理できる状態にすることです。
ドメイン、DNS、サーバー、証明書、CMS、Search Console、GA4とGoogleタグマネージャー、Googleビジネスプロフィール、フォームとメールの送信、ソースコード、広告のアカウントについて、持ち主と権限を一覧にし、自社のアカウントを一番強い権限で加えてから、前の担当者の権限を整理します。
検索の順位を保つうえで一番大事なのは、引き継ぎを理由にURLを変えないことで、変えるなら古いURLから新しいURLへの恒久的な転送を用意します。
DNSは、今の記録をすべて控えるまで触りません。
引き継ぎは、作業より先に「誰の名義か」を確かめる
ホームページの管理を引き継ぐ場面は、大きく2つあります。
制作会社や運用の会社を変えるときと、社内のWeb担当者が辞めたり異動したりしたときです。
どちらも、引き継いだ側がまずやりたくなるのは、気になっていたページの直しや、新しい会社の使い慣れた環境への移し替えです。
私は、最初の1週間はそれを我慢したほうがいいと考えています。
ドメインやSearch Consoleの持ち主が前の会社や辞めた人のままだと、何かが止まったときに、引き継いだ側では直せないからです。
しかも、その状態で設定を変えると、止まった原因が前からあったものか、変えたことによるものかを切り分けられなくなります。
この記事では、引き継ぐものを表にして、それぞれを誰の名義で持つべきか、どう確かめるかを書きます。
ドメインそのものを別の事業者へ移す手続きはドメイン移管とはに、社内に決める人を置く考え方はWeb担当者がいない会社の対策に分けて書いています。
引き継ぐもの、持つべき名義、確かめ方
下の表の「持つべき名義」は、私たちが自社で採っている形と、各サービスの公式ヘルプをもとにした考えです。
作業を頼む相手には、持ち主ではなく、作業に要る権限だけを付ける前提で書いています。
| 引き継ぐもの | 持つべき名義 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| ドメイン | 登録者は自社。管理画面のログインも自社 | WHOISで登録者と期限を見る。管理している事業者の画面に自社で入れるか |
| DNSの管理 | ドメインと同じく自社 | どこで設定しているか(ドメインの事業者か、サーバーか、別のサービスか)。記録の一覧を書き出せるか |
| サーバー・ホスティング | 契約者と支払いは自社 | 請求が誰に届いているか。管理画面に自社で入れるか |
| SSL証明書 | サーバーと同じ契約の中か、自動更新の仕組み | 期限と、更新が自動か手動か |
| CMS(WordPressなど)の管理画面 | 管理者のアカウントを会社で持つ | 管理者の一覧。辞めた人や前の会社の個人名の管理者がいないか |
| Search Console | 会社として管理するアカウントが「所有者」 | 「設定」の「ユーザーと権限」で所有者の一覧を見る。確認済みの所有者が、どの方法(DNSの記録、HTMLファイルなど)で確認しているか |
| GA4・Googleタグマネージャー | 会社のアカウントが管理者。管理者は2人以上 | GA4はアカウントとプロパティの「アクセス管理」、GTMはアカウントの「ユーザー管理」で管理者を見る |
| Googleビジネスプロフィール | メインのオーナーは自社 | 「ユーザーとアクセス権」で、メインのオーナー、オーナー、管理者を見る |
| フォームとメールの送信 | 送信の仕組みと通知先のアドレスを自社が把握している | フォームがどの仕組みで送っているか、控えと社内への通知がどのアドレスから出て、どこに届くか |
| ソースコード・リポジトリ | 会社のアカウントや組織の中に置く | 最新の元データを受け取れるか。GitHubなどなら、どの組織の持ち物か |
| 広告のアカウント(あれば) | 自社。支払い方法も自社 | 管理者の一覧と、支払いが誰のカードや請求先か |
| パスワードと2段階認証 | 個人に紐づかない形で会社が管理する | 2段階認証のコードが、辞めた人のスマートフォンに届く設定になっていないか |
前の担当者から聞きながら表を埋めても、空いたままの欄はたいてい残ります。
空いた欄は、そのまま1週間のうちに片づける宿題の一覧として使います。
私たちの会社での持ち方
私たちは2026年7月に、自社サイトのSearch Console、GA4、Googleタグマネージャー、Googleビジネスプロフィール、Google広告を、会社のドメインのGoogleアカウントで作りました。
個人のGmailでは作っていません。
Search Consoleは、DNSのTXTの記録で所有を確かめるドメインのプロパティを主に使っています。
サイトのソースコードは、会社のGitHubの組織の中に置いています。
最初の1週間の順番
順番は、止まると困るものを守る作業を先に、変える作業を後にします。
次の並びは私たちの考えで、日数は目安です。
- 1日目:表を作り、今の状態を控える。 上の表を埋め、DNSの記録の一覧、Search Consoleの所有者とユーザーの一覧、GA4とGTMの管理者の一覧を、画面の写しやテキストで残します。この日は何も変えません
- 2〜3日目:自社のアカウントを、一番強い権限で加えてもらう。 Search Consoleなら所有者、GA4なら管理者、GTMならアカウントの管理者、Googleビジネスプロフィールならオーナーです。前の担当者に頼むのはこの段階で、外すのはまだ先です
- 3〜4日目:止まると困るものを、実際に動かして確かめる。 問い合わせフォームから送って、控えと社内への通知の両方が届くか。主なページが表示されるか。証明書の期限はいつか
- 5日目以降:前の担当者の権限を整理する。 自社のアカウントで入れることを確かめてから、要らなくなった権限を外します。外し方には注意が要るものがあります(次の節)
- 2週目から:直したいところに手を付ける。 ここで初めて、ページの直しや環境の移し替えを考えます
2の段階で返事が来ない、頼める相手がもういない、ということもあります。
その場合は、ドメインの事業者やサーバーの会社、各サービスのヘルプにある手続きで、名義や権限を確かめることになります。
サイトだけでなく業務システムも作った会社と連絡が取れないときの進め方は、システムを作った会社と連絡が取れないときに書いています。
初日に変えないもの
URLとページの構成
引き継いだ直後にURLの付け方を整理したくなることがありますが、検索の順位に響きやすいのがここです。
理由と、どうしても変えるときのやり方は、後の「検索の順位を保つ」の節に書きます。
DNSの記録
DNSには、サイトの向き先のほかに、メールの受け取り先(MX)、送信元の認証(SPFやDKIM)、Search Consoleなどの所有確認の記録が並んでいます。
管理画面で一覧を見ると、何のための記録か分からないものが必ずあります。
私は、何のための記録か分かるまでは消さない、と決めて扱っています。
消してから役目が分かっても、元の値はもう手元にないからです。
私たちは2026年9月14日、自社のドメインのDNSを書き換える前に、ドメインの記録を持っている大元のDNSサーバーに直接問い合わせて、すべての記録を1枚の表に書き出しました。
そのうえで、変える記録と変えない記録に分け、変えない側には、MX、DKIM、Googleの所有確認のTXTを入れています。
この表が、そのまま切り戻しのときの控えになりました。
そのときの手順はホームページのサーバーを移すとき確かめることに詳しく書いています。
フォームの送信の設定
フォームの送信先のアドレスや、送信に使っているメールの設定は、前の担当者の個人のアドレスに通知が届く形になっていることがあります。
すぐに直したくなりますが、まず実際に送って、どこに何が届くかを確かめてから変えます。
変えた後も、もう一度送って確かめます。
届かないときの原因の探し方は問い合わせフォームのメールが届かないときにまとめています。
前の担当者の権限を外すときに気をつけること
Search Consoleは、所有者を消しても確認の記録が残る
Search Consoleの所有者には、DNSの記録やHTMLファイルなどの確認トークンで所有を確かめた「確認済み所有者」と、確認済み所有者から所有者にしてもらった「委任された所有者」がいます。
ヘルプでは、確認済み所有者をユーザーの一覧から消しても、その人の確認トークンがサイトやDNSに残っていれば、また所有権を確認し直せる、と説明されています。
完全に外すには、一覧から消したうえで、その人の確認トークンも取り除きます(Search Console ヘルプ(ユーザー、所有者、権限)、2026年10月5日確認)。
ただし、同じヘルプには、確認トークンがほかのGoogleのサービスでも使われていることがあり、消すとそちらに影響しうる、とも書かれています。
外す前に、そのトークンが自社のどのサービスの確認にも使われていないかを確かめます。
私たちのドメインのDNSにも、Googleの所有確認のTXTが2つあります。
9月14日の表では、2つとも「変えない記録」に入れました。
また、Search Consoleは確認トークンが残っていて有効かを定期的に確かめていて、確認が有効でないと見なされると通知が届き、解決しないままだと、一定の猶予期間の後にプロパティの権限が失効します(Search Console ヘルプ(サイトの所有権の確認)、2026年10月5日確認)。
前の会社のトークンを消すつもりで、自社の確認に使っているトークンを消してしまうと、自社のほうが外れます。
ドメインのプロパティの確認にはDNSの記録が必要なことも、同じヘルプに書かれています。
GA4とGTMは、管理者が自社に2人以上いる状態にしてから外す
GA4の権限は、アカウントとプロパティの2つの階層で付けられ、親の階層の役割は子の階層に引き継がれます。
ユーザーの追加や削除ができるのは「管理者」の役割です(アナリティクス ヘルプ(アクセス管理)、2026年10月5日確認)。
前の担当者がアカウントの階層の管理者で、自社にはプロパティの階層の権限しかない形だと、プロパティの側からは前の担当者を外せないことがあります。
自社の管理者は、前の担当者と同じアカウントの階層に加えてもらうのが確実です。
Googleタグマネージャーのヘルプは、アカウントに有効な管理者を少なくとも2人置くようすすめています。
管理者が1人だけだと、その人が使えなくなったときに締め出されるからです(タグ マネージャー ヘルプ(ユーザーと権限)、2026年10月5日確認)。
Web担当者が辞める場面は、まさにこれに当たります。
Googleビジネスプロフィールは、メインのオーナーを移すのに待ち時間がある
Googleビジネスプロフィールには、メインのオーナー(1人だけ)、オーナー、管理者の3つの役割があります。
管理者は、ユーザーの追加と削除、プロフィールの削除ができません。
メインのオーナーを移すには、ほかにオーナーか管理者が少なくとも1人いる必要があり、新しくオーナーや管理者になった人は、7日ほどたつまで、メインのオーナー権限を譲ることや、ほかのオーナー・管理者を外すこと、プロフィールの削除ができない、と案内されています(Google ビジネス プロフィール ヘルプ(ユーザーの管理)、2026年10月5日確認)。
1週間の順番で、自社を加えてもらう作業を前半に置いているのは、この待ち時間があるからです。
前の担当者が辞める日が決まっているなら、その7日ほどを見込んで、早めに自社をオーナーに加えてもらっておくと、辞める日までに自社の側で権限を整えられます。
権限の変更は、思ったより日数がかかる
2026年10月1日に私たちの会社に新しいメンバーが加わり、GA4、GTM、Search Console、Google広告に、それぞれ必要な範囲の権限を付けました。
このとき、Google広告では、ユーザーを招待するのに、もう1人の管理者の承認が要りました。
前の担当者しか管理者がいないアカウントだと、この承認のところで止まることになります。
Googleビジネスプロフィールでも、私たちは2026年9月29日に住所の表示や業種を見直した後、オーナー確認を求められ、10月5日の時点でもまだ確認が済んでいません。
引き継ぎの場面でも、権限の付け替えや確認が1日で終わるとは限らないので、前の担当者と連絡が取れる間に、自社を加える作業だけは先に済ませておくのが安全です。
検索の順位を保つには、URLを変えない
私の理解では、管理する人が変わっただけで検索の順位が動くことはありません。
順位が崩れるのは、引き継ぎに合わせてURLを変えたり、ページを消したり、新しい環境で検索に出ない設定のまま公開したりしたときです。
どうしてもURLを変えるときは、古いURLと新しいURLの対応表を作り、301や308のような恒久的な転送をサーバー側で用意します。
Googleは、この転送を一般的には1年以上、できるだけ長く残すよう案内していて、移転の間は順位が一時的に変わることを想定しておくように、とも書いています(Google 検索セントラル:サイトを移転する方法、2026年10月5日確認)。
ドメインそのものを変える場合は、Search Consoleの「アドレス変更」も使います(Search Console ヘルプ:アドレス変更ツール、2026年10月5日確認)。
URLを変えずにサーバーだけを移す場合は、アドレス変更の対象ではありません。
引き継ぎと一緒にサーバーも移すなら、その手順は先ほどのサーバーを移すとき確かめることの記事に沿って、引き継ぎとは別の日に行うことをすすめます。
もう1つ、引き継ぎで見落とされやすいのが、新しい会社のテスト環境の設定です。
テスト中は検索に出ないように robots.txt や noindex で止めておくことがあり、それが本番にそのまま残ると、ページが検索から外れていきます。
2つの違いと確かめ方はnoindexとrobots.txtの違いに書いています。
引き継いだ後の数週間は、Search Consoleの「ページ」のレポートで、登録されているページの数が急に減っていないかを見ます。
引き継ぎでつまずきやすいところ
私がいちばん気にしているのは、権限がすべて担当者個人のアカウントに付いている形です。
会社の名前で作ったつもりでも、実際には担当者の個人のGmailで作られていて、その人が辞めると誰も入れなくなります。
表の「持つべき名義」の欄で会社のアカウントにこだわっているのは、このためです。
2段階認証も見落としやすいところです。
ドメインやサーバーの管理画面に入るためのIDとパスワードは引き継いだのに、確認のコードが前の担当者のスマートフォンに届く設定のままで、結局入れない、ということが起きえます。
引き継ぎの場で、実際にログインして2段階認証まで通るかを、その場で試しておきます。
更新の連絡が届く先も確かめます。
ドメインや証明書、サーバーの更新の知らせが、辞めた人のアドレスや前の会社に届いていると、期限が来たことに誰も気づきません。
期限が切れたときに何が止まるかは、ホームページが表示されない原因に書きました。
最後に、前の会社から受け取るものに、ページの元データやソースコードが入っているかです。
サイトが表示されていても、元データを受け取っていなければ、次に直すときに一から作ることになります。
よくある質問
制作会社を変えると、検索の順位は下がりますか?
引き継ぎで、最初に何を確かめればいいですか?
前の担当者をSearch Consoleから外すには、どうしますか?
Googleビジネスプロフィールのオーナーは、すぐに移せますか?
Web担当者が辞めた後、IDとパスワードが分からないときは?
bundlyzeは、大阪市北区のグラングリーン大阪を拠点に、大阪・兵庫を中心とした関西の会社からのご相談を受けていて、打ち合わせはWeb会議でも対面でもできます。
全国からオンラインでもご相談いただけます。
この記事を書いた津嘉山は、業務システム開発とAWSを専門とするエンジニアで、自社サイトのドメインやDNS、計測のアカウントの権限も自分で管理しています。
引き継ぎの予定がまだなくても、上の表を自社のサイトで一度埋めておくと、担当者が変わる日に慌てずに済みます。
ご相談
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「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。
