この記事の結論
和歌山の中小企業がWeb集客やシステム、AIの活用を外部に任せる前には、「自社のデジタル化はどこが弱いのか」と「県外のお客様にどこで買ってもらうのか」の2点を確かめておくと、見積もりや提案の中身がぶれにくくなります。和歌山県は、30の設問に答えるだけで自社のデジタル化の状況を県内の平均と比べられる「デジタル経営診断」を、無料でオンラインに用意しています。令和7年度に受けた185の事業者の平均は600点満点の285.0点で、最も低かったのは「デジタル人材育成」でした。和歌山は果実が農業産出額の約7割を占める県で、県の食のポータルサイトは、各社が販売しているECサイトの商品を紹介する形です。県の人口は1年で1万1千人あまり減っています。依頼先が決まる前でも、回数の制限なく無料で相談できる和歌山県よろず支援拠点、費用のかからない県のデジタル専門家派遣、地元の商工会議所・商工会が使えます。
和歌山の会社は、頼む前に「自社の現在地」と「売り先」を確かめておく
制作会社や開発会社との打ち合わせは、「サイトをどう作るか」「どんなシステムにするか」から始まりがちです。和歌山の会社には、その手前で使える材料があります。県が、自社のデジタル化の状況を測る無料の診断を用意し、受けた事業者の集計結果まで毎年公開しているからです。
県の資料を読み比べて、私たちが依頼の前に押さえておきたいと考えた和歌山の事情は、次の3つです。
| 県の資料から分かること | 出典 | 頼む前に決めておくこと |
|---|---|---|
| 県のデジタル経営診断を受けた185の事業者の平均は、600点満点の285.0点。最も低いのは「デジタル人材育成」 | 和歌山県「令和7年度 デジタル経営診断 調査結果報告書」 | 自社は30の設問のどこが弱いか。外に頼むことと、社内で引き受けることをどう分けるか |
| 果実が農業産出額の約7割を占める。県の食のポータルサイトは、各社が販売しているECサイトの商品をまとめて紹介する形 | 和歌山県(農林水産省「生産農業所得統計」令和6年)、おいしく食べて和歌山モール | 県外のお客様や取引先に、どこで買ってもらい、誰が問い合わせに答えるか |
| 推計人口は1年で11,671人減。65歳以上の割合は33.4%で、市町村によって24.2%から55.2%まで差がある | 和歌山県推計人口(令和8年4月1日現在)、令和2年国勢調査(和歌山県のまとめ) | 県内のお客様に合った連絡の手段と、少ない人数でも回る業務の形 |
食品や農産物を扱わない会社は、2つめを飛ばして読んでください。
県のデジタル経営診断で、自社の弱いところを先に知る
和歌山県の「デジタル経営診断」は、経営者が自社のデジタル化の現状や課題を知るための、オンラインの自己診断です。6つのカテゴリ、30の設問に答えると、結果がすぐにレーダーチャートで表示され、県内の事業者の平均(全体と業種別)と比べられます。費用は無料で、県は診断にかかる時間の目安を約10分としています。対象は、和歌山県内に本社または事業所がある事業者(法人・個人事業主)で、県のチラシには対象の業種も書かれています(和歌山県:デジタル経営診断、2026年10月1日確認)。
県は、診断の結果を集計して毎年公表しています。令和7年度(2025年4月から2026年3月)の報告書によると、診断を受けたのは185の事業者で、製造業が84、卸売業が44、小売業が37でした。結果は次のとおりです(和歌山県:令和7年度 デジタル経営診断 調査結果報告書、2026年10月1日確認)。
| カテゴリ | 平均点(100点満点) | 報告書が挙げている課題 |
|---|---|---|
| 経営戦略 | 52.4点(最も高い) | 戦略を計画に落とし込むことと、経営の指標の管理 |
| デジタルツール | 49.7点 | AIなど新しい技術・ツールは「活用を検討したことがない」という回答が多い |
| 組織体制と仕組み | 49.1点 | 投資の判断の基準やルールを決めている事業者が少ない |
| 業務改革 | 48.9点 | 作業手順の標準化、人やモノの情報のデジタル化 |
| 新規事業創発 | 43.6点 | 顧客の声を「蓄積しているもののデータ化していない」という回答が多い |
| デジタル人材育成 | 41.3点(最も低い) | 求める人材像やスキルの要件を決めていない事業者が約48% |
この診断では、どの設問も「3」が標準とされ、100点満点に直すと60点が標準にあたります。30の設問のうち、標準を超えたのは会計管理のデジタル化だけでした。
なお、この数字は、診断を自分から受けた事業者の自己評価をまとめたもので、県内の会社全体を表すものではありません。それでも、外に頼む前の準備として、次の2つの使い方ができる、と私たちは考えています。
- 自社の弱いカテゴリを、依頼先との最初の話題にする。 たとえば「顧客の声の活用」が低ければ、問い合わせや注文の記録をどこに残しているかから話せます
- 外に任せきりにできないことを、先に決める。 「デジタル人材育成」が低い会社ほど、作った仕組みを社内で誰が使い続け、誰が直すのかを、依頼の前に決めておく必要があります
「業務改革」の点が低く、紙やExcelでの管理に限界を感じている場合はExcelでの業務管理が限界になったときの、7つのサインを、「デジタルツール」の点が低く、これからAIを試す場合は生成AIを社内で使うときのルールの作り方を、診断の結果と並べて読んでみてください。
果樹の産地の会社は、県外のお客様に「どこで買えるか」を先に決める
和歌山県の資料によると、県の農業産出額のうち、みかんやうめ、かき、ももなどの果実が約7割を占めます。令和6年の果実の産出額は906億円で、そのうちみかんが459億円、うめが146億円、かきが102億円でした。みかん、うめ、かきは、収穫量でも全国1位です(農林水産省「生産農業所得統計」ほか。和歌山県:和歌山県の農業、2026年10月1日確認)。
県は、県内の事業者が生産・製造し、各種のECサイトで販売している商品をまとめて紹介する、食の総合ポータルサイト「おいしく食べて和歌山モール」を設けています。事業者として登録を申請するときは、自社サイトのURLと、登録する商品の販売サイトのURLを書く欄があり、県内に事業所や販売店があることが条件です。取引先の会社に向けた「FOR BUSINESS」のページもあり、登録したバイヤーが商品を見て、気になる商品があれば事業者に直接連絡する仕組みです(和歌山県:令和8(2026)年度 デジタル化支援メニュー、おいしく食べて和歌山モール:事業者登録の申請、2026年10月1日確認)。
つまり県のポータルサイトは、お客様を各社の販売ページへ案内する入口で、買ってもらう場所と、問い合わせに答える人は、それぞれの会社が用意することになります。私たちは、ネット販売を外に頼む前に、相手ごとに次のことを決めておくとよいと考えています。
| 届けたい相手 | 先に決めること |
|---|---|
| 県外の個人のお客様 | 自社のサイトで売るか、ほかの通販サイトに出すか。注文が集まる時期に、受注と発送を誰がどう回すか |
| 取引先の会社(バイヤー) | 商品の規格や数量、出荷できる時期を、初めて見る人に伝わる形で書けるか。連絡が来たとき、誰が何日以内に返事をするか |
| 県内のお客様 | 店や事務所の場所と、買える場所が、地図の検索と自社のサイトで食い違っていないか |
県の「eコマース推進」のページでは、和歌山県よろず支援拠点や、県内のネット販売事業者が業績向上をめざして2014年12月に発足した「和歌山県eコマース研究会」が紹介されています(和歌山県:eコマース推進、2026年10月1日確認)。バイヤーが連絡をくれる前に、販売ページのどこを見て判断しているかを考えるときは、問い合わせが来るホームページ・LPは、何が違うのか。作る前に決めておく5つのことが参考になります。
人口が減る県では、県外に届けることと、少ない人数で回る業務を一緒に考える
和歌山県の推計人口は、2026年4月1日現在で85万7,568人です。1年前と比べて11,671人、率にして1.34%減りました。この1年の出生数は4,319人、死亡数は13,652人でした(和歌山県:和歌山県の推計人口(令和8年4月1日現在)、2026年10月1日確認)。
令和2年の国勢調査を県がまとめた資料では、65歳以上の人の割合は県全体で33.4%でした。市町村ごとに見ると、岩出市の24.2%から古座川町の55.2%まで差があります。また、県の人口のうち38.7%が和歌山市に住んでいて、この割合は平成2年の36.9%から少しずつ上がっています。一方で、新宮市・東牟婁郡の割合は、同じ期間に8.5%から6.7%に下がりました(和歌山県:令和2年国勢調査、2026年10月1日確認)。
人口が減り、地域によって年齢の構成が大きく違う県では、Webとシステムを次の2つの面から考えておくとよい、と私たちは考えています。
- お客様の面。 県内のお客様だけを相手にしていると、市場そのものが小さくなっていきます。県外のお客様や取引先に届ける入口を持つかどうかを、依頼の前に決めておきます。県内のお客様に向けては、年齢層に合わせて、電話とフォーム、LINEなど、連絡の手段を減らさずに選べるようにしておくことが大事です
- 働く人の面。 人を増やしにくい前提で、受注や問い合わせ、在庫などの業務を、今より少ない手間で回せる形にできるかを考えます。誰か一人しか分からない業務があれば、仕組みにする前に、手順を書き出しておきます
県内のお客様に向けては、会社の所在地と対応できる範囲をサイトに文章で書き(会社概要を、AIに正しく伝わる形に書く手順)、Googleマップの情報とそろえておくこと(MEO対策とは。来店型のお店でない会社が、Googleマップに出るためにやること)が、年齢を問わず見つけてもらう土台になります。
和歌山で、依頼先を決める前に使える相談先
和歌山県内の公的な窓口を、困っていることの種類ごとに並べました。どれも、依頼先を決める前から使えます。
| こんなときに | 窓口 | 公式ページで確かめた内容(2026年10月1日) |
|---|---|---|
| ホームページやネット販売を、何から始めるか相談したい | 和歌山県よろず支援拠点 | 経済産業省・中小企業庁の事業として和歌山市本町に置かれた、無料の経営相談所。相談の回数に制限はない。相談の例に「ホームページやECサイト作りについて」「SNSによる情報発信、集客について」を挙げている(どんな経営相談が出来るの?) |
| 和歌山市まで行く時間が取りにくい | 和歌山県よろず支援拠点(出張相談会)、オンライン相談 | 橋本、紀の川、田辺、新宮、那智勝浦、串本などで、出張相談会を開いている。予約をすれば、Zoomを使ったオンラインの相談もできる |
| 人が足りず、仕事の回し方を変えたい | 和歌山県よろず支援拠点 生産性向上支援センター | 人手不足などの課題に向けて、国がよろず支援拠点の中に設けた組織で、和歌山県では2026年4月に開設された。生産性向上に詳しいサポーターが、現場の課題を一緒に考える |
| デジタル化の進め方を、専門家に見てもらいたい | 和歌山県:デジタル専門家派遣、わかやま産業振興財団:DX推進員 | 県が登録した専門家から最大3名のチームを作り、県内の事業者に派遣する。1回1日で1〜2回の派遣を想定し、費用は無料。対象の業種が決まっていて、予算の上限に達すると受付が終わる。財団には、DXについて最初に相談できるDX推進員がいる |
| 後継ぎや、会社の引き継ぎが気がかり | 和歌山県事業承継・引継ぎ支援センター | 中小企業庁が設けた公的な窓口。相談は無料で、秘密厳守。親族や従業員への引き継ぎなどの相談に応じる |
| 近くの窓口で、顔なじみの相手に相談を続けたい | 和歌山県内の商工会・商工会議所 | 和歌山・海南・橋本・紀州有田・御坊・田辺・新宮の7つの商工会議所と、各地の商工会が、県のページに載っている。会員でなくても、経営の相談を受けられる |
県の補助金やセミナーは、「令和8(2026)年度 デジタル化支援メニュー」のページに担当課ごとにまとまっています。この一覧には、すでに受付を終えたものや、農業者・漁業者など対象が限られたものも並んでいます。制度を使うつもりなら、依頼先と契約を結ぶ前に、担当課のページで今年度の条件を確かめておきます。国の「デジタル化・AI導入補助金」の条件は、公式サイトで確かめられます。
窓口に行く日までに、県のデジタル経営診断を一度受けておきます。表示されたレーダーチャートの画面と、「県外の個人のお客様に、自社のサイトで売りたい」「受注と発送は、2人で回している」といった自社の状況のメモが1枚あれば、相談の時間を課題の整理から始められます。同じメモは、依頼先との最初の打ち合わせでも使えます。
依頼先には、診断の結果と、売り先と、業務の担い手を最初に伝える
県内の会社に頼むか、大阪など県外の会社に頼むかは、どちらが正しいということはありません。比べるときの物差しは、大阪で、システム開発やホームページ制作を頼むときの選び方に書いたものがそのまま使えます。業務システムを頼むなら、発注する側の準備をまとめた要件定義とは。システム開発を頼む前に、発注する側が準備することも先に読んでおくと、話がかみ合いやすくなります。
候補の会社との最初の打ち合わせでは、この記事の3つの事情に沿って、次のことを話してみてください。
- デジタル経営診断で点数が低かったカテゴリと、そこで困っていること
- 県外の個人のお客様、取引先の会社、県内のお客様のうち、誰に、どこで買ってもらいたいか
- 作った仕組みを社内で使い続ける人と、今その業務を回している人数
診断の点数や売り先、人数を聞いたうえで、「それなら最初はここまで作り、ここは社内に残しましょう」と、提案の大きさを変えてくる相手なら、和歌山の会社の事情を踏まえて考えてくれていると判断できます。逆に、どの話をしても同じ見積もりが出てくるなら、その理由を聞いてみます。
bundlyzeでは、県外のお客様に届ける販売ページと、少ない人数で注文や問い合わせを回す業務システムを、別々の会社に分けずに一社で設計しています。拠点は大阪(グラングリーン大阪)で、和歌山を含む関西の会社のご相談に応じ、全国からオンラインでも承っています。扱う分野は、検索やAIの答えに出るためのSEO・LLMO対策から、Web広告、ホームページ制作、業務システムの開発、AIの活用まで広がっています。
よくある質問
和歌山県のデジタル経営診断は、どうやって受けますか?
和歌山市まで行けなくても、よろず支援拠点に相談できますか?
ネット販売を始めるなら、県のポータルサイトに載せるだけで十分ですか?
自社の現在地と売り先が分かれば、頼む中身が決まる
和歌山の会社が外部に頼む前にできることは、思ったより多くあります。県の診断で自社の弱いところを数字で知り、県外のお客様やバイヤーに買ってもらう場所を決め、人が減っても回る業務の形を考えておく。この3つがそろうと、依頼先に頼む範囲と、社内に残す仕事がはっきりします。途中で迷ったら、和歌山県よろず支援拠点や県のデジタル専門家派遣、地元の商工会議所・商工会に持ち込めます。
神戸や阪神間にも取引先や拠点がある会社は、神戸・兵庫で、Web集客やシステムを頼むときの選び方と、使える公的な相談先もあわせて確かめてください。最初の一歩は、約10分のデジタル経営診断です。点数が一番低かったカテゴリの名前を、メモに書き出しておきましょう。
ご相談
Webからの集客について、いまの状況をお聞かせください。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。