この記事の結論
SNS運用代行を頼む先は、6つの基準で比べると選びやすくなります。アカウントを自社の名義で持ち、依頼先には必要な権限だけを付けるか。投稿を公開する前に、誰が確認するか。ステマ規制への対応を説明できるか。毎月の報告に何が書かれるか。写真や動画を契約の後も使えるか。解約したときに、権限をどう外すか。Metaは、フォローや「いいね!」を売買することを禁じています。「フォロワーを増やします」という提案は、その中身を必ず確かめます。事実の確認と、自社にしかない材料の提供は、どの会社に頼んでも自社に残す仕事です。
この記事で扱う範囲
頼む前に決めておく4つのこと(目的、分担、アカウントと素材の持ち主、数え方)は、SNS運用代行を頼む前に、決めておく4つのことにまとめています。この記事は、その次の段階として、大阪で依頼先を探し、いくつかの提案を並べて比べるときの物差しを扱います。
投稿の見た目をそろえる方法はSNS投稿を、少人数で続けるための「型」の作り方、短い動画をAIで作るときの向き不向きは動画生成AIで、SNS用の短い動画を作るときの向き不向きに書いています。また、この記事では、広告の配信ではなく、投稿の運用を頼む場合を扱います。
頼む前に、3つを書き出しておく
依頼先に相談する前に、次の3つを1枚の紙に書いておくと、各社の提案を同じ条件で比べられます。
| 書き出すこと | 例 |
|---|---|
| 目的 | 問い合わせを増やす、来店を増やす、採用の応募を増やす |
| 誰に届けたいか | 大阪市内で事務所を探している会社、兵庫から週末に来るご家族 など |
| どこにつなぐか | プロフィールのリンクからホームページの問い合わせフォームへ、電話へ、予約のページへ |
3つめの「どこにつなぐか」が抜けると、投稿が見られても、その先で何をしてもらうかが決まりません。SNSから来た人がホームページのどこに着き、どこで問い合わせるかまでを、依頼先と同じ絵で共有しておきます。フォームの見直しは問い合わせフォームを見直すチェックリストにまとめています。
比べる基準は6つある
各社の提案を受けたら、次の6つで並べます。
| 基準 | 確かめること | はっきりしない答えの例 |
|---|---|---|
| アカウントの名義と権限 | アカウントは自社の名義のままか。依頼先にはどの権限を付けるか | 「アカウントはこちらで用意します」 |
| 投稿の確認の流れ | 公開の前に、誰が、何を、いつまでに確認するか | 「お任せいただければ大丈夫です」 |
| ステマ規制への対応 | 依頼して書いてもらう投稿に、広告であることをどう示すか | 「みなさんやっています」 |
| 数字の報告の中身 | 毎月、何の数字を、どの画面で見て、何を変えたかを報告するか | 「フォロワーが増えています」 |
| 写真や動画の権利 | 依頼先が作った素材を、契約の後もホームページなどで使えるか | 「そのときにご相談ください」 |
| 解約したときの引き継ぎ | 権限の外し方、作った素材や投稿の計画を受け取れるか | 「解約後のことは、そのときに」 |
アカウントは、自社のビジネスポートフォリオで持つ
InstagramやFacebookのアカウントを会社で管理する場合、Metaのビジネスポートフォリオという仕組みがあります。Meta Business Suiteで、組織のビジネスポートフォリオにユーザーを追加し、広告アカウント、Facebookページ、Instagramアカウントなどのビジネスアセットを割り当てられます。ユーザーを追加できるのは、ビジネスポートフォリオの全権限を持つ人だけです。Metaは、業務上必要となるレベルのアクセス許可だけを割り当てるよう案内しています(Metaビジネスヘルプセンター:ビジネスポートフォリオにユーザーを追加してビジネスアセットを割り当てる、2026年10月3日確認)。
依頼先の会社そのものを「パートナー」として追加し、自社のビジネスアセットへのアクセスを付与する方法もあります(Metaビジネスヘルプセンター:ビジネスポートフォリオにパートナーを追加する、2026年10月3日確認)。
つまり、依頼先に任せるために、アカウントのパスワードを渡したり、依頼先の名義でアカウントを作り直したりする必要はありません。権限を最小限から渡す手順はMetaの権限を外部に渡すときは、最小限から始めるにまとめています。比べるときは、次の点を聞きます。
- アカウントとビジネスポートフォリオは、自社の名義のままにできるか
- 依頼先は、ユーザーとパートナーのどちらで入り、どのアセットに、どの権限を持つか
- 全権限は、自社の人だけが持つ形にできるか
Metaは、セキュリティのために、ビジネスポートフォリオの全権限を持つアクティブなユーザーを2名確保することを勧めています(必須ではないとされています)。あわせて、全権限は必要とする人だけに制限すること、パスキーか二段階認証を設定していないユーザーは、設定するまでポートフォリオから外すことも勧めています(Metaビジネスヘルプセンター:ビジネスポートフォリオのセキュリティを強化するためのベストプラクティス、2026年10月3日確認)。全権限を持つ2人は、自社の中で決めておくと、担当者が休んだり辞めたりしても、アカウントが手元に残ります。
投稿を公開する前に、誰が確認するか
依頼先が企画と制作を受け持つ場合でも、公開の前の確認は自社に残ります。比べるときは、確認の流れが具体的に決まっているかを見ます。
- 投稿の案が、公開の何日前に届くか
- 自社で確かめるのは、事実(サービスの中身、価格、日程、写真に写っているもの)か、言い回しまでか
- 修正は何回まで、どの方法で伝えるか
- コメントやメッセージに、依頼先がどこまで返信し、どこから自社に回すか
ステマ規制への対応を、提案の段階で聞く
2023年10月1日から、広告であるのに広告であることを隠す表示(いわゆるステルスマーケティング)は、景品表示法の違反になっています。広告には、企業がインフルエンサーなどの第三者に依頼・指示するものも含まれ、SNSの投稿やレビューの投稿も対象です。規制の対象になるのは、商品やサービスを供給する事業者(広告主)で、依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は対象になりません(消費者庁:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。、2026年10月3日確認)。
運用代行の会社から、インフルエンサーへの依頼や、口コミを書いてもらう企画を提案されたときに、責任を負うのは依頼した自社です。提案の段階で、「広告であることを、投稿のどこに、どう示すか」を聞いておきます。
毎月の報告に、何が書かれるか
報告で見るべきなのは、フォロワーの数だけではありません。頼む前に書き出した「どこにつなぐか」に合わせて、次のような中身が入っているかを、見本の報告書で確かめます。
- SNSからホームページに来た訪問と、そこからの問い合わせ
- どの投稿が、プロフィールやリンクへの移動につながったか
- 先月から何を変えたか、来月は何を試すか
SNSから来た訪問をホームページの側で数える方法は、GA4の使い方。中小企業が最低限見る3つの画面にまとめています。
写真や動画を、契約の後も使えるか
依頼先が撮った写真や作った画像、動画には、作った人の著作権があります。著作権は、届け出などの手続きをしなくても生まれます(著作権法第17条第2項)。著作権は、その全部または一部を譲ることができますが、翻訳や翻案などにかかわる権利(第27条と第28条の権利)は、譲る契約の中で特に書かれていないと、譲った側に残ると推定されます(著作権法第61条。e-Gov法令検索:著作権法、2026年10月3日確認)。
SNSのために作った写真を、あとでホームページやチラシに使ったり、切り抜いて作り直したりすることはよくあります。契約書で、次の点を決めておきます。
- 作った素材を、どの媒体で、いつまで使えるか
- 加工や作り直しをしてよいか
- 撮影に写った人や、使った素材(音楽、フォント、他の素材サイトの画像など)の使える範囲
解約したときに、権限をどう外すか
最後に、やめるときのことを始める前に決めておきます。アカウントが自社の名義で、依頼先がユーザーかパートナーとして入っていれば、自社の側から外せます。Metaは、過去90日間ログインしていないユーザーを、特に全権限を持つユーザーを、ポートフォリオから削除するよう勧めています(ビジネスポートフォリオのセキュリティを強化するためのベストプラクティス)。契約が終わった依頼先の権限を、そのままにしないようにします。
あわせて、次のものを受け取れるかを、契約の前に聞いておきます。
- 作った素材の元のデータ(画像、動画、投稿文)
- 投稿の型や、投稿の計画の表
- これまでの報告書と、使っていた数字の見方
アカウントやドメインを自社の名義にそろえる手順は、制作会社から、ドメインやアカウントを自社に移す手順にもまとめています。
6つの基準のうち、いちばん先に確かめるのはアカウントの名義と権限です。アカウントとビジネスポートフォリオが自社の名義で、全権限を自社の人が持っていれば、依頼先が合わなかったときも、権限を外して別の会社に頼み直したり、自社で運用したりできます。
避けたい売り文句
次のような言葉が提案に出てきたら、その理由を詳しく聞き、納得できなければ見送ります。
| 売り文句 | 確かめたい理由 |
|---|---|
| 「フォロワーを買って、最初に数を増やしましょう」 | Metaのコミュニティ規定(スパム)は、「いいね!」やシェア、再生、フォローなどのエンゲージメントのために売買もしくは交換すること、またはそれを試みることを禁じています(Meta透明性センター:スパム、2026年10月3日確認) |
| 「フォロワーが増えたアカウントを、譲ります」 | 同じ規定は、アカウントやページなどを売買もしくは交換することも禁じています |
| 「フォローといいねで、プレゼントが当たる企画をしましょう」 | 同じ規定は、エンゲージメントと引き換えに、現金や金銭的価値のあるものをオファーすることを、禁止の例として挙げています。企画の中身をこの規定に照らして確かめます |
| 「フォロワーを何人まで増やすと保証します」 | 保証の中身と、どんな方法で増やすのかを聞きます。数だけを約束する提案は、目的(問い合わせや来店)とずれることがあります |
| 「アカウントは、こちらの名義で作ります」 | 契約が終わったときに、アカウントごと手元に残らないことがあります |
自社に残す仕事
全部を任せることもできますが、次の仕事は、どの会社に頼んでも自社に残ります。
| 自社に残す仕事 | 任せてよい仕事 |
|---|---|
| アカウントとビジネスポートフォリオの全権限を持つこと | 決めた権限の範囲での投稿や予約 |
| サービスの中身、価格、日程などの事実の確認 | 画像、短い動画、投稿文の制作 |
| 現場の写真、お客様からよく聞かれること、社内の出来事などの材料 | 材料をもとにした企画と構成 |
| 苦情や問い合わせのようなコメントへの、最後の答え | 返信の下書き、よくある質問への定型の返信 |
| 毎月の数字を見て、続けるかを決めること | 数字の集計と、報告書づくり |
SNSだけでなく、ホームページや検索まで含めて、判断する人がいない場合は、作業だけを頼むより、判断する人を外に置くほうが合うこともあります。その考え方は、Web担当がいない会社のための、外部Web責任者という選択肢に書いています。地図の運用を頼む会社の選び方は、MEO対策を頼む会社の選び方にまとめています。
大阪で相談できる公的な窓口
依頼先を決める前に、何をSNSに任せるかを公的な窓口で整理する方法もあります。
大阪府よろず支援拠点は、国が全国47都道府県に設置した経営相談所で、経営上の相談に何度でも無料で対応するとしています。相談できる内容として「ホームページ・SNS・ITツール」が挙げられていて、販路の開拓や集客のためのホームページやSNSの活用について助言すると書かれています。所在地は、大阪市中央区本町の大阪産業創造館2階です(大阪府よろず支援拠点:はじめてご利用される方へ、2026年10月3日確認)。
兵庫や京都など、関西のほかの地域の窓口は、大阪・兵庫・関西で、Webやシステムを頼む前に相談できる公的な窓口にまとめています。
私たちが合う会社と、合わない会社
最後に、私たちbundlyzeについても、この6つの基準に沿って書いておきます。
合うと考えている会社
- アカウントを自社の名義で持ち、依頼先には必要な権限だけを付けたい会社
- 投稿の先で、ホームページから問い合わせまでの導線と計測もあわせて見直したい会社
- 投稿の型を作り、いずれは自社でも続けられる形にしたい会社
合わないと考えている会社
- フォロワーの数を約束してほしい会社。私たちは、約束できないことは約束しません
- フォロワーやエンゲージメントを買って、数を先に増やしたい会社
- 確認の流れを決めずに、投稿の作業だけを毎日任せたい会社
この基準で比べて、私たちが合わないと感じたら、ほかの会社を選んでいただくのが正しい判断です。
bundlyzeでは、大阪市北区のグラングリーン大阪を拠点に、大阪・兵庫を中心とした関西の会社からのご相談に対応していて、全国からオンラインでもご相談いただけます。この記事を書いている技術責任者の津嘉山は、業務システム開発とAWSを専門とするエンジニアです。
よくある質問
運用代行の会社に、Instagramのパスワードを渡しても大丈夫ですか?
依頼先がインフルエンサーに頼んだ投稿で、問題になったら誰の責任ですか?
最初だけフォロワーを買って、見た目を整えてもいいですか?
大阪で、SNSの使い方を公的な窓口に相談できますか?
名義と権限を確かめるところから始める
依頼先を比べる前に、まず自社のInstagramやFacebookのアカウントが、誰の名義の、どのビジネスポートフォリオに入っているかを確かめてください。全権限を自社の人が持っていれば、どの会社に頼んでも、合わなければやめられます。
そのうえで、6つの基準を物差しに、手元の提案を並べてみてください。埋まらない欄があれば、そこが次の打ち合わせで聞くべきことです。
ご相談
広告やSNSのクリエイティブについて、いまの状況をお聞かせください。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。
