この記事の結論
求人票や採用ページの文章は、生成AIに下書きを手伝わせやすい仕事です。AIに任せるのは、職種の説明の骨組みと、言い回しの整理まで。実際の仕事の中身、給与や勤務時間などの条件、数字は、会社が書きます。求人には法律の決まりがあり、職業安定法では、募集のときに示す労働条件が決まっていて、2024年4月から、仕事と勤務地の「変更の範囲」などが加わりました。求人の情報は、うそや誤解を招く書き方をせず、正確で最新の内容に保つ義務もあります。性別や年齢で応募を絞る書き方も、原則としてできません。応募者や社員の個人情報はAIに入力せず、求人媒体、自社の採用ページ、Googleに伝える構造化データの3つの内容をそろえます。bundlyzeでは、大阪市北区のグラングリーン大阪を拠点に、大阪・兵庫を中心とした関西の会社からのご相談に対応していて、全国からオンラインでもご相談いただけます。
求人の文章は、AIに手伝わせやすい。だからこそ確かめる
求人票の「仕事内容」の欄を書く、採用ページに職種ごとの説明を載せる、求人媒体に出す文章を整える。白紙から書くのが大変なこうした文章は、生成AIに下書きを作らせると、取りかかりやすくなります。
一方で、求人の文章は、社内の文章と違って、法律の決まりがある文章です。読んだ人は、そこに書かれた条件を前提に応募し、面接に来ます。AIの下書きは読みやすいぶん、書いていない条件や、法律に合わない言い回しが混ざっても、気づきにくくなります。
この記事では、求人票と採用ページの文章をAIで下書きするときに、会社が確かめることを、厚生労働省とGoogleの公式の説明(いずれも2026年10月3日に確認)をもとに整理します。採用ページそのものの作り方は、採用サイトを作るなら。中小企業が応募を増やすために、先に決めることにまとめています。
AIに任せる部分と、会社が書く部分
求人の文章は、AIに任せやすい部分と、会社にしか書けない部分がはっきり分かれます。
| 部分 | AIに任せやすいこと | 会社が書くこと |
|---|---|---|
| 仕事内容 | 説明の骨組み(1日の流れ、担当する範囲、使う道具の順に並べる)、長い説明の整理 | 実際にしている仕事、任せる範囲、大変なこと |
| 求める人 | 箇条書きの整え方、言い回しのやわらげ方 | 本当に必要な資格や経験と、なくてもよいもの |
| 条件 | 項目の並べ方、表の形 | 給与、勤務時間、休日、勤務地、契約の期間など、すべての数字と条件 |
| 会社の紹介 | 長い文章を短くまとめる、読みやすく並べ替える | 事業の中身、社員の人数、実績など、事実として書くこと |
AIに任せにくいのは、会社の事実と約束です。渡していない数字や制度を、AIが文章を自然につなげるために書き足すことがあります。「残業ほぼなし」「アットホームな職場」「研修制度が充実」のような一文が、確かめないまま入っていないかを見ます。
頼むときは、「渡した材料にないことは書かない」「給与や時間などの数字は書かずに空けておく」と条件に入れておくと、数字を人が書き入れる手順が自然にできます。頼み方の型の作り方は、生成AIで見積書・提案書・メールの下書きを作るときに整理しています。
法律で決まっていること1:募集のときに示す労働条件
示さなければならない項目
職業安定法では、求人票や募集要項で、少なくとも決まった労働条件を示さなければなりません。厚生労働省の求人企業向けのリーフレットは、ハローワークなどへの求人の申し込み、自社のホームページでの募集、求人広告の掲載のどれでも、求人票や募集要項で、少なくとも次のような労働条件を示す必要があると説明しています(厚生労働省:求人企業の皆さま 募集時などに明示すべき労働条件が追加されます(PDF))。
| リーフレットの記載例にある項目 |
|---|
| 業務内容、契約期間、試用期間、就業場所 |
| 就業時間、休憩時間、休日、時間外労働 |
| 賃金、加入保険、受動喫煙防止措置、募集する会社の名前 |
| 派遣労働者として雇う場合は、そのこと |
固定残業代の制度がある場合は、基本給と、何時間分の手当をいくら払うか、その時間を超えた分は追加で払うことを分けて書く記載例も示されています。
2024年4月から加わった3つの項目
2024年4月1日から、募集のときに示す労働条件に、次の3つが加わりました(厚生労働省:職業安定法施行規則改正(労働条件明示等))。
- 従事すべき業務の変更の範囲
- 就業の場所の変更の範囲
- 有期労働契約を更新する場合の基準(通算の契約期間や、更新の回数の上限を含む)
「変更の範囲」は、雇い入れた直後だけでなく、将来の配置転換などの見込みも含めた、契約期間中に変わりうる範囲のことだと説明されています。リーフレットは、更新の基準について、「諸般の事情を総合的に考慮」のような抽象的な書き方ではなく、「勤務成績、態度により判断する」のように具体的に書くことが望ましいとしています。
ここは、AIがもっとも書きにくい部分です。将来どこまで仕事や勤務地が変わりうるかは、会社が決めることで、AIに推測させるものではありません。古い求人票をもとにAIに書き直させると、この3つが抜けたままになることもあります。
書ききれないときと、条件が変わったとき
同じリーフレットは、求人広告のスペースが足りないなど、やむを得ない場合は「詳細は面談時にお伝えします」などと書き添えたうえで、一部の条件を別に示すこともできるとしています。その場合も、原則として、面接などで応募者と最初に接する時点までに、すべての労働条件を示す必要があります。面接の途中で条件が変わる場合は、変わった内容を速やかに示します。
法律で決まっていること2:うそや誤解を招く書き方をしない
的確な表示の義務
2022年10月1日に施行された改正職業安定法で、求人企業には、求人の情報と自社に関する情報を的確に表示する義務ができました。うその表示や、誤解を生じさせる表示をしてはならず、求人の情報を正確で最新の内容に保たなければなりません。対象は、新聞や雑誌の広告、書面、ウェブサイト、電子メールやメッセージアプリなど、さまざまな手段に及びます(厚生労働省:職業安定法が改正され、労働者の募集ルールが変わります(求人企業向け、PDF)、厚生労働省:令和4年職業安定法の改正について)。
AIの下書きで起こりやすいずれ
リーフレットに挙げられている、うその表示や誤解を生じさせる表示の例を、AIの下書きで起こりうることと並べると、次のようになります。
| リーフレットにある例 | AIの下書きで起こりうること |
|---|---|
| 「正社員」と書きながら、実際はアルバイト・パートの求人 | 別の職種の求人票を材料にしたため、雇用形態が入れ替わる |
| 実際の賃金より高い賃金を書く | 「月給〇万円以上」など、決めていない金額の幅が書き足される |
| 営業が中心の仕事を「事務職」と書くなど、実際の仕事とかけ離れた職種名 | 読みやすさを優先して、仕事の中身とずれた職種名に言い換えられる |
| 特に給与が高い人の例を、全員の給与のように見せる | 「年収〇万円も可能」のような一文が、根拠なく足される |
| 上場企業でないのに上場企業と書く、実際と違う業種を書く | 会社紹介を整える途中で、事業の説明が大きく盛られる |
AIの文章は、求人として「よくある言い回し」に寄っていきます。その言い回しが自社の事実と合っているかを、元の資料と照らして確かめます。
求人の文章を確かめる人は、労働条件を決めた人にします。給与や勤務時間、変更の範囲を決めた人が最後に読むと決めておけば、AIで下書きしても、会社として出す求人の確認の流れは変わりません。
法律で決まっていること3:性別と年齢で絞らない
性別
男女雇用機会均等法の第5条は、事業主に、労働者の募集と採用について、性別にかかわりなく均等な機会を与えることを求めています。厚生労働省の「男女雇用機会均等法のあらまし」は、禁止される例として、男女のどちらかを表す職種の名前を使うこと(対象を男女のどちらかに限らないことが明らかな場合を除く)や、「男性歓迎」「女性向きの職種」のような表示を挙げています。女性についてだけ、未婚であることや、自宅から通勤することなどを条件にすることも、禁止される例に入っています(厚生労働省:男女雇用機会均等法のあらまし(PDF))。
同じ資料は、「今まで女性がやっていた仕事だから」といった先入観で募集の対象を決めず、仕事の内容、求める能力と適性、労働条件をはっきり示して募集するよう求めています。AIの下書きに、性別を思わせる職種名や、どちらかの性別を前提にした書き方が入っていないかを見ます。
年齢
労働施策総合推進法の第9条にもとづき、募集と採用は、原則として年齢にかかわりなく行います。年齢制限ができるのは、定年を上限とする場合など、決められた例外に当たる場合だけです。厚生労働省のQ&A(令和7年4月1日現在)は、求人の表現について次のように説明しています(厚生労働省:年齢制限の禁止についての質問と回答(PDF))。
| 書き方の例 | Q&Aの説明 |
|---|---|
| 「年齢不問」としたうえで「35歳未満の方歓迎」と書く | 実質的に年齢制限をしているのと同じで、法の趣旨に照らして適当ではない(例外に当たる場合を除く) |
| 「学生歓迎」と書く | 年齢制限には当たらない |
| 「30歳位」「30歳前後」のように書いて年齢を絞る | 法の趣旨に照らして適当ではない。誤解を招かないよう表現を明確にする |
| 「スタッフ全員が20代」のように会社の事実を書く | 直接には年齢制限に当たらないが、その年齢でなければならない、優先しているといった誤解を生じさせないよう努める |
例外に当たる年齢制限をする場合、65歳未満の上限年齢を付けるときは、その理由を示すことが高年齢者雇用安定法で義務付けられていると、同じQ&Aは説明しています。
AIが職場の雰囲気を伝えようとして、年齢層を書き添えることがあります。「若い人が多い職場です」のような一文が、年齢で応募を絞っているように読めないかを確かめます。
応募者と社員の情報は、AIに入力しない
求人の文章づくりでは、AIに渡したくなる情報がいくつもあります。過去の応募書類、今いる社員の経歴、社員インタビューの書き起こし。これらは、どれも個人情報です。
個人情報保護委員会は、事業者が生成AIのサービスに個人情報を含む指示を入力する場合は、利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確かめるよう求めています。また、本人の同意なく個人データを含む指示を入力し、その個人データが応答の出力以外の目的で扱われる場合は、個人情報保護法の規定に違反することになる可能性があるとしています(個人情報保護委員会:生成AIサービスの利用に関する注意喚起等(PDF))。
応募者の情報には、職業安定法の決まりもあります。厚生労働省の求人企業向けのリーフレットは、求人企業は、業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者の個人情報を集め、使い、保管しなければならないこと、みだりに第三者に渡してはならないことを説明しています。
求人の文章づくりで決めておくことは、次のとおりです。
- 応募書類は渡さない。 「こういう人に来てほしい」は、書類ではなく、会社が言葉で書き出す
- 社員の経歴やインタビューは、名前と本人が分かる事情を外してから。 採用ページに載せる内容は、載せてよいか本人に確かめる
- 使ってよいサービスと設定を、会社で決めておく。 個人のアカウントで下書きしない
サービスごとの入力内容の扱いの違いや、会社のルールの作り方は、生成AIを社内で使うときのルールの作り方にまとめています。
Googleの求人検索に載せるときの決まり
採用ページに求人の構造化データ(JobPosting)を書き添えると、Googleの求人検索(Googleしごと検索)に表示される対象になります。Googleの公式の説明(Google 検索セントラル:求人情報(JobPosting)の構造化データ)には、AIで文章を作るときに関わる決まりがいくつもあります。
| Googleの説明 | AIで下書きするときに見ること |
|---|---|
| 職務の名称(title)には、職務の名前だけを書く。求人コード、住所、日付、給与、会社名は入れない。! や * などの特殊文字を多用しない | AIが目を引く見出しを作ると、記号や条件が職務名に混ざる |
| 求人の説明(description)は、職務、資格、スキル、業務時間、学歴や経験の要件などを詳しく書く。title と同じにはできない | 説明が短すぎたり、職務名をくり返しただけになったりしていないか |
| 役職や職務の説明でキーワードを乱用して、順位を不正に操作してはならない | 検索を意識して、同じ言葉を何度も入れさせない |
| 構造化データは、求職者が読める求人の情報と同じページに置く。給与が構造化データにあってページにない、といった食い違いは違反になる | 文章を直したら、構造化データも同じ内容に直す |
| 期限切れの求人は掲載できない。削除するか、締め切りの日(validThrough)を過去の日付にする | 募集を終えたページが残っていないか |
構造化データの書き方は、構造化データとは。中小企業のサイトで、まず入れるべき種類にまとめています。
求人媒体と自社の採用ページを、そろえる
求人は、求人媒体、ハローワーク、自社の採用ページと、いくつもの場所に載ります。AIで場所ごとに文章を作り直すと、言い回しを変えるつもりが、条件までずれることがあります。
厚生労働省の求人企業向けのリーフレットは、求人の情報を正確で最新の内容に保つために、次のことを挙げています。
- 募集を終えたり内容を変えたりしたら、速やかに情報の提供を終える、内容を変える(例として、自社の採用ウェブサイトなどを速やかに更新する)
- 求人媒体などを使っている場合は、募集の終了や内容の変更を反映するよう、速やかに頼む
- いつの時点の求人の情報かを明らかにする(例として、募集を始めた時点、内容を変えた時点)
- 求人媒体などから訂正や変更を頼まれたら、速やかに対応する
そろえるために、次のように決めておきます。
- 条件の原本を1つにする。 給与、勤務時間、休日、変更の範囲などを1枚の表にまとめ、どの場所の文章もそこから書き写す
- AIに書き直させるのは、言い回しだけ。 条件の欄は、原本からそのまま貼る
- 載せている場所の一覧を作る。 求人媒体、ハローワーク、採用ページ、構造化データ。条件を変えたら、一覧のすべてを直す
- 掲載した日と、直した日を書く。 採用ページの求人にも、いつの時点の情報かを書いておく
私たちの考え方
求人の文章は、AIの使い方より、条件の原本と確かめる人を決めておくことで、結果が変わると私たちは考えています。AIに渡すのは、仕事の中身を書き出したメモと、言い回しを整えたい文章だけ。数字と条件は、原本から人が書き入れます。
bundlyzeは、採用ページの制作で、仕事の中身と条件の整理から、求人ごとのページ、求人の構造化データ、募集を終えたときに掲載を終える手順づくりまでを一緒に進めています。この記事を書いている技術責任者の津嘉山は、業務システム開発とAWSを専門とするエンジニアです。条件の原本と採用ページ、構造化データを1か所の情報から作る仕組みも、同じ会社で検討できます。進め方は、採用サイト・採用ページ制作のサービスにまとめています。
よくある質問
生成AIが作った求人票を、そのまま求人媒体に出してもいいですか?
2024年4月から、求人票に何を書き足す必要がありますか?
過去の応募書類をAIに読ませて、求める人物像を作ってもいいですか?
求人媒体と採用ページで、文章を変えてもいいですか?
まず、今の求人票を1枚、並べて読む
始めるなら、今出している求人票を1枚選び、求人媒体の掲載、自社の採用ページと並べて読んでみてください。条件が食い違っていないか、2024年4月から加わった3つの項目が入っているか、性別や年齢を思わせる言葉がないか。直すところが見えたら、その求人票を条件の原本にして、AIには言い回しだけを手伝わせる。そこから始めると、次の求人も同じ手順で作れます。
ご相談
AIの活用について、いまの状況をお聞かせください。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からで構いません。返信は担当者が直接お送りします。