この記事の結論
LINE公式アカウントの友だちと自社の顧客台帳をつなぐとは、LINEが発行するユーザーIDと、台帳の顧客番号を「同じ人」として1行で結ぶことです。
LINEの表示名では結べないので、お客様に自社のサービスへログインしてもらう「アカウント連携」か、自社の予約や会員の画面に「LINEログイン」を付ける形で、本人の操作を通して結びます。
つなぐ前に決めたいのは、Messaging APIのチャネルを置くプロバイダーを自社の名義にすることです。
ユーザーIDはプロバイダーごとに違う値になり、作ったチャネルは後から別のプロバイダーへ移せません。
ほかに、すでにいる友だちをどう結ぶか、連携の解除とブロックをどう扱うか、つなぎ込みが止まったときに誰が気づくかを決めておきます。
つなぐとは、LINEのユーザーIDと顧客番号を1行で結ぶこと
LINE公式アカウントで「予約の前日にお知らせを送る」「来店した人にだけお礼を送る」といったことをしたいなら、LINEの友だちが、台帳のどのお客様なのかが分かっていなければなりません。
ここでいう台帳は、顧客管理のシステムでも、予約の仕組みでも、Excelの一覧でも同じです。
LINEの側で使う目印は、ユーザーIDです。
LINE Developersの説明では、ユーザーIDはユーザーの一意な識別子で、LINEで登録されている表示名や、友だち検索に使うLINE IDとは別のものです。
「U」の後に32文字の英数字が続く値で、LINEのプラットフォームが発行します(LINE Developers:ユーザーIDを取得する、2026-10-06 確認)。
表示名は、お客様が自由に変えられます。
ニックネームや絵文字だけの人もいるので、台帳の氏名と見比べても結べません。
結ぶ方法は、だいたい次の3つです。
| 結び方 | お客様がすること | 向いている場面 |
|---|---|---|
| アカウント連携 | トークで届いた案内を押し、自社のサービスにログインする | 会員の画面やマイページを、すでに持っている |
| 自社の画面にLINEログインを付ける | 予約や会員登録の画面で「LINEでログイン」を押す | これから予約や会員の画面を作る、作り直す |
| トークで番号を送ってもらう | トークで会員番号などを送り、スタッフが台帳に書き写す | 人数が少なく、まず手で試したい |
アカウント連携は、LINEが用意している手順です。
自社のシステムがLINEに頼んで連携用の値(連携トークン)を発行してもらい、お客様は届いたURLから自社のログイン画面に進みます。
ログインの後、LINEの側で連携を頼んだ本人かどうかが確かめられ、確かめられたときだけ、LINEのユーザーIDと自社のユーザーIDを結べます。
連携トークンは10分間だけ有効で、1回しか使えません(LINE Developers:ユーザーアカウントを連携する、2026-10-06 確認)。
LINEログインを使う形は、同じプロバイダーの中にMessaging APIのチャネルとLINEログインのチャネルを作ると、どちらでも同じユーザーIDが割り当てられる、という決まりを使います(LINE Developers:ユーザーIDを取得する、2026-10-06 確認)。
予約の画面でLINEログインをしてもらえば、その予約とLINEのユーザーIDを結べます。
ただし、LINEログインをした人が、公式アカウントの友だちとは限りません。
ログインの同意画面で公式アカウントを友だち追加してもらう設定(友だち追加オプション)も合わせて使うと、そのまま連絡を送れる相手になります(LINE Developers:LINEログインしたときにLINE公式アカウントを友だち追加する、2026-10-06 確認)。
3つ目の手で写す方法は、仕組みがいらない代わりに、番号を知っている人なら誰でもその人を名乗れます。
試しに少人数で始めるときだけの方法です。
チャネルを置くプロバイダーは、自社の名義で作る
つなぐ方法より先に決めたいのが、プロバイダーの名義です。
プロバイダーは、LINE Developersで、チャネル(Messaging APIやLINEログインの設定のまとまり)を束ねる単位です。
ここが後から直せない場所になります。
LINE Developersは、チャネルとプロバイダーについて、次のように書いています(LINE Developers:LINE Developersコンソールの概要、2026-10-06 確認)。
- 一度作ったチャネルは、後から別のプロバイダーへ移せない。LINE Official Account ManagerでMessaging APIを使い始めるときに選んだプロバイダーも同じ
- ユーザーIDはプロバイダーごとに違う値になり、別のプロバイダーのチャネルどうしでは、ユーザーIDで同じ人かを確かめられない
- 企業や団体としてサービスを出すなら、その企業や団体の名前でプロバイダーを作る
同じページでは、特に気をつける例として、チャネルとプロバイダーを別々の会社が管理している場合や、運用ツールを提供する会社が管理するプロバイダーの下にチャネルを作る場合を挙げています。
また、禁止事項として、複数のサービスでLINEのプラットフォームを使う場合に、それぞれのサービスで取得したLINEのユーザー情報を紐づけてはいけない、とも書いています。
結ぶのは、自社の一つのサービスの中で、LINEのユーザーIDと自社の顧客番号です。
たとえば、拡張ツールの会社や開発を頼んだ会社のプロバイダーの下でMessaging APIを使い始め、その後、自社のプロバイダーで予約の画面にLINEログインを付けたとします。
すると、同じお客様でも2つのユーザーIDが出てきて、結べません。
台帳に貯めたユーザーIDも、別のプロバイダーで作り直した仕組みでは使えなくなります。
外部に作業を頼むときは、自社のプロバイダーに、相手を開発者として加えてもらう形にします。
LINE Developersでは、プロバイダーとチャネルに開発者を登録し、それぞれの開発者が見たり変えたりできる範囲を限れます(同じページ)。
拡張ツールを使うか、自社で作るかの判断は、LINEの拡張ツールで足りるか、自社で作るかに書きました。
どちらを選んでも、プロバイダーの名義の話は先に来ます。
すでにいる友だちは、自動では台帳と結べない
つなぎ込みを作る前から友だちだった人を、どう結ぶかも決めておきます。
友だち追加されたときにLINEから届く通知(Webhook)には、その人のユーザーIDが入っています。
友だち全員のユーザーIDを一覧で取る方法もありますが、使えるのは認証済アカウントかプレミアムアカウントだけです(LINE Developers:ユーザーIDを取得する、2026-10-06 確認)。
どちらにしても、手に入るのはユーザーIDで、台帳の誰なのかは分かりません。
LINEのプロフィール情報の取得に同意していない人の場合、友だち追加の通知にユーザーIDが入りません。
LINE Developersは、iPhoneやAndroidのLINEを使っている人は使い始めるときに同意している、と説明しています。
PC版のLINEだけを使っている人は同意できない、とも書いています。
2020年4月からPC版のLINEでは新しいアカウントを作れないので、多くはないはずです(LINE Developers:ユーザーのプロフィール情報取得の同意、2026-10-06 確認)。
全員を必ず結べるわけではありません。
結局、すでにいる友だちには、次の予約や来店のときに、一度だけ連携の操作をしてもらうことになります。
いつ、どの画面で案内するかを決めておかないと、つなぎ込みはできても、結ばれた人がほとんどいない状態が続きます。
連携したらお客様に何がよくなるのか(予約の確認がLINEで届く、など)を、案内の一文に書いておくと、押してもらいやすくなります。
台帳に足す項目と、個人情報としての扱い
台帳の側には、顧客番号の横に、少しだけ項目を足します。
| 足す項目 | 何のためか |
|---|---|
| LINEのユーザーID | 送り先として使う |
| 結んだ日と結び方 | あとで「いつ、どの手順で結んだか」を確かめる |
| 友だちの状態(友だち・ブロック中) | ブロック中の人に送ろうとしない |
| 連携を解除した日 | 解除した人を、もう一度結ばない |
ユーザーIDそのものは英数字の並びですが、台帳で氏名と並べた時点で、その人を特定できる情報になります。
個人情報保護法は、氏名などで特定の個人を識別できる情報に加えて、他の情報と容易に照合でき、それによって特定の個人を識別できることになるものも「個人情報」に含めています(個人情報保護法2条1項1号)。
個人情報を扱う会社は、利用目的をできるだけ特定し(17条)、取得したら、前もって公表していない限り、利用目的を本人に知らせるか公表します(21条)。
条文はe-Gov法令検索で読めます(e-Gov法令検索:個人情報の保護に関する法律、2026-10-06 確認)。
LINEで送る連絡を、今のプライバシーポリシーの利用目的で読めるかは、つなぐ前に確かめます。
LINEを問い合わせの窓口にする場合の書き方は、LINE公式アカウントを、会社の問い合わせ窓口にするときに決めることにまとめました。
台帳を守るための措置(23条)に加えて、個人データの扱いを外部の会社に任せる(委託する)場合は、任せた先を監督することも、同じ法律が求めています(25条)。
誰が台帳を見られるか、誰のアカウントで管理画面に入るか、といった社内の決め方は、IPA(情報処理推進機構)の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」が手引きになります。
2026年3月に第4.0版が公開されています(ページの最終更新は2026年9月30日、IPA:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン、2026-10-06 確認)。
自社の場合に何をどう書くかは、法律の専門家に確かめてください。
解除とブロックは、別のものとして扱う
結ぶ仕組みを作るなら、ほどく仕組みも一緒に作ります。
アカウント連携について、LINE Developersは、お客様がいつでも連携を解除できるようにしておくこと、連携するときに解除できることを知らせることを求めています(LINE Developers:ユーザーアカウントを連携する、2026-10-06 確認)。
リッチメニューを連携した人と、まだの人で分け、連携した人には解除の項目を出す、といった作り方も紹介されています。
ブロックは、解除とは別の出来事です。
LINE公式アカウントがブロックされると「フォロー解除」の通知が、ブロックが解かれると友だち追加と同じ種類の「フォロー」の通知が届きます。
フォローの通知には、ブロック解除かどうかを示す項目もありますが、LINEは完全に正確とは限らないとしています(LINE Developers:Webhookを受信する、2026-10-06 確認)。
ブロックされても、台帳のお客様がいなくなったわけではありません。
台帳では「LINEでは送れない」と印を付けるだけにして、電話やメールで連絡する道は残しておくのがよいと、私は考えています。
つなぎ込みが止まったときに、誰が気づくかを決める
受け口のサーバーが半日止まっていたら、その間に友だち追加した人や、連携の操作をした人の通知は、送り直しを有効にしていなければ届かないままです。
台帳には何も残らず、後から誰がその人なのかを探すのは手間がかかります。
LINEからの通知を受け取る側について、LINE Developersは次のことを書いています(LINE Developers:Webhookを受信する、2026-10-06 確認)。
- 届いた通知は、署名を確かめてから処理する。LINEから送られたものか、途中で書き換えられていないかを確かめるため
- 受け取りに失敗した通知を、一定の期間送り直してもらう機能があるが、最初は無効になっている。有効にしても、必ず送り直されるとは限らない
- 送り直しを有効にすると、通知が届く順番が、起きた順番と違うことがある
送り直しを有効にするかどうか、同じ通知が2回届いたときにどう扱うか、受け取れなかったときに誰に知らせるかは、作る前の打ち合わせで決めておきたいところです。
問い合わせフォームについて同じ考え方で書いたのが、予約・問い合わせフォームが止まっていないか、見張る方法です。
私が最初に聞くのは、送りたい場面と、台帳がどこにあるか
私たちはLINE公式アカウントとつながる仕組みを作ってきましたが、台帳とのつなぎ込みの相談で私が最初に聞くのは、どの場面で、誰に、何を送りたいかと、今の台帳がどこにあって、誰が更新しているかです。
LINEの設定は、その2つが決まってから見ます。
LINEの設定で最初に見るのは、プロバイダーの名義です。
すでにMessaging APIを使っている場合は、LINE Developersコンソールで、チャネルがどのプロバイダーの下にあり、そのプロバイダーを誰が管理しているかを見てみてください。
よくある質問
LINEの表示名と顧客名簿の氏名を見比べて、つなげますか?
拡張ツールの会社が作ったプロバイダーのままでも、困りませんか?
今いる友だち全員を、まとめて台帳と結べますか?
ブロックされたお客様の情報は、台帳から消すべきですか?
bundlyzeは、大阪市北区のグラングリーン大阪を拠点に、大阪・兵庫を中心とした関西の会社の業務システムの開発と、LINE公式アカウントと社内の仕組みのつなぎ込みを受け持っていて、打ち合わせはWeb会議でも対面でもできます。
この記事を書いた津嘉山は、業務システム開発とAWSを専門とするエンジニアで、LINE公式アカウントと連携する仕組みも設計から作ってきました。
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